石渡写真クラブ月例会(11月)作品&講評
暑く、長引いた夏からあっという間に過ぎ去った今年の秋。運動公園のケヤキも吹き溜まりに落ち葉がどっさり。菊づくりに欠かせない腐葉土のためにせっせと掃き集めては袋詰めする光景が、冬近しを感じさせてくれます。
師走に入り、そうはいっても冷え込みが増して参りました。奥信濃では漬け物や家屋や樹木の囲いなど冬支度が本格化、真っ白な雪景色もすぐそこまでやってきています。
今年はどんな年だったでしょうか。残り一カ月。
インフルエンザが流行っております。注意して新しい年を迎えましょう。
講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
写真をクリックすると拡大して見えます。
※作品・講評の順番は、会員の氏名を「あいうえお」順に、月ごとに逆にして紹介しています。
【小池公雄】
「小春日和の湿原にて」(志賀高原・田の原湿原)=9月27日
コメント:爽やかな秋日和、志賀高原に遊びに行ってみました。未だ、周りの木々は緑が強かったですが、たまたま、ワレモコウを発見したので撮ってみました。近くで水彩画を楽しんでいる夫婦も居たりして、とても気持ちの良い散策になりました。汚点の様なものが写り込んでいますが、消し方が分らないのでそのまま出します。
講評:草地が少なくなった現在、珍しいですね、ワレモコウ。この植物を食草とするチョウ「ゴマシジミ」が長野市霊園に生息し、つい半月ほど前に信毎に違法採取され困った!という記事が掲載されたばかりです。横道にそれましたが、見事な群落をローアングルですっきりまとめました。青空と雲もいい感じです。近くに見える山の稜線が群落の向こうに垣間見えますが、もう少しワレモコウの上あたりに位置すると高原の環境が分かってプラスになったかと思います。ワレモコウの下部にある薄赤の点は、おそらく逆光の光線がレンズに差し込んだ結果できる「ハレーション」の一部と思われます。加工ソフトで画面内にあるほこりやごみ、邪魔な物?などを除去する「レタッチ」を駆使すると苦にならなくなります。
「初秋静寂」(志賀高原・一沼池)=10月2日
コメント:未だ緑が濃く、岸辺のシダ?が紅葉し始めたばかり。人影も少なくとても静かな湖畔、湖面が深い色に反射していて神秘的でした。
講評:コメントの通り、岸辺のあたりは紅葉が始まっていますが、ほかは少し早めの感じですね。水面の映り込みもいい感じですが、手前のものはまだグリーン(常緑樹ならこのまま?)で夏と秋が混在している風情。季節の移ろいといえばその状況が入り交じった色彩が面白いです。
「錦秋の奥裾花」(奥裾花ダム)=11月5日
コメント:奥裾花ダムの橋の手前までしか行けませんでしたが、紅葉を見に行きました。見渡す限りの見事な紅葉でした。橋の直線部が気にかかりましたが、解決策が見当たらなかったのでそのまま撮ってみました。
講評:裾花渓谷は、川沿いの眼前に広がる紅葉が圧巻。この赤い橋もよく被写体として盛り込まれる素材ですが、左奥に中西岳か堂津岳?でしょうか、山塊も垣間見えスケールたっぷり、水面のさざ波様の模様も効果的です。一番下の白い構築物は中途半端なのでカットしましょう。
【小島真由美】
「つかの間の休憩」(黒姫グリーンガーデン)=9月28日
コメント:コスモスの撮影に行ったのですがコスモスが終盤となっており、希望通りの写真を撮ることができませんでした。コスモスの他にもダリヤとかお花がたくさん咲いておりトンボも多く飛んでいました。トンボは人が近づくとすぐに飛んでいってしまうので正面からではなく後方から撮りました。バックにススキやコスモスがあって(ボケていますが)秋らしい1枚になったと思っています。
講評:そうですね。花々や草木がぼけて写り背景としては秋の雰囲気が満載です。ただトンボの向きが右向きなのに対し、止まっている草花の位置がやや右寄りで惜しいです。常套的ではありますが、普通トンボの向いている方向をあける。つまり、画面の左側に位置すると、その右側の“空気感”が余韻をもって迫ります。
「紅葉のパレット」(長野東和田公園)=11月8日
コメント:お天気もよく運動公園の紅葉が見頃に思えたのでお散歩に出かけました。1本のもみじが角度によって色が違っており秋の移り変わりが1本から感じられ組写真にしました。タイトルですが「紅葉のパレット」か「紅葉のグラデーション」で悩みました。どちらの方が写真のタイトルとしてよかったでしょうか?
講評:「角度」、つまり葉に当たる光の差し込み方の違いにより見え方が違ってきます。同じものでも順光、逆光、斜光などにより見え方が異なって見え、その違いによく気が付きましたね。特に赤色の紅葉の写り方が下、右上、上中と微妙に違っています。タイトルは迷うところですが、私は「パレット」の方。グラデーションは意味合い的なものから少し別ではと・・・。
【後藤祥子】
「秋祭りの終わりに・・・」(石渡八幡神社)=10月13日
コメント:楽しい太鼓や笛の音・人の声がお祭りの終わりと共に消えていく。神社をまとっている空気が「来年また待っているよ」と言っているように何だかもの悲しい寂しさをかんじた。写真が曲がっているのか、何処を基準にしていいか教えてほしい。
講評:本番のにぎやかなショットは「石渡つうしん」に掲載。その本筋とは違う視点で舞台となった神社境内をモチーフに作品化しました。喧噪も去り、また元の姿に戻りつつある神社、狛犬や灯篭、ご神木・・・。片付けに追われる当番常会の皆さんが垣間見え、その瞬間に思いを馳せた後藤さんの気持ちが伝わってきます。画面の傾きの基準は「画面内に写っているもので本来垂直の物、電柱や建物の柱などが「垂直」であるかどうかです。ワイド系レンズで歪んだ場合は、画面中央にある柱、ビルの立ち上がりなどを垂直にして左右はそれなりに。従ってこの作品は右奥にある電柱、社の柱や壁、石碑などがほぼ垂直で曲がっていません。
「町中にある秋の始まり」(長野運動公園)=11月6日
コメント:日に日に寒さが増してくる。あんなに暑かった日々が嘘のように温かな衣類を1枚羽織る。緑・赤・黄色と葉の移り変わり、冬に耐えてまた来年成長した木々に出会いますように・・・
講評:運動公園の「紅葉」とか春の「桜」を素材にした場合、よりよく見栄えのいい写真に仕上げるため余分なものを除外して、核心部分を主にまとめることが普通です。が、この作品は、そこに存在する何もかも、すべてが素材。紅葉も、道も、道路の標識も、陸上競技場も、空も、雲も・・・。そしてそれを目にする自分自身も。(哲学的領域に入り込んできました?が)そんな素材のすべてを絞り込みまとめてしまうのでなく、総花的といいましょうか、目の前に見えるものすべてが被写体として「私にとっては大切」という視点からこの作品が誕生したかと推察します。
【高山三良】
「短い秋を思いっきり」(竜が池)=11月10日
コメント:雨模様のおかげで反射のない色濃い紅葉が撮れました。
講評:写真県展に入賞、入選のあるベテランカメラマンが「私は雨降りでないと撮影にでかけません」。というほど、雨降りの、日が差さない情景はそれなりに魅力的です。しっとり感みたいなものが画面から感じられます。逆に陽光があると葉の表面はてかてかと反射し、水面には波の状況にもよりますがその映り込みがくっきりとしてしまいます。
「八子ケ峰から」(茅野市八子ケ峰)=11月8日
コメント:蓼科山を眼前に登り振り返れば車山、白樺湖。山頂からは八ヶ岳、南、中央、北アルプスまで。
講評:長ーい裾野を引いた八ヶ岳、霞んで見える向こうは南アルプスでしょうか、手前のススキの群落から奥行きたっぷり、スケールの大きい作品となりました。
【竹内一郎】
「電車」(村山)=11月6日
コメント:いつも見ている長野電鉄の車両です。たまには写真を撮ってみますか。
講評:家の中でも、庭でも、はたまた一歩出ると写真になるものはいっぱいあります。「撮ろう!」というその気持ちが第一歩かと思います。スカッと晴れた青空と郷土の山飯縄山を背景に、さっそうと走る電車が勇壮に感じられます。周辺の草木の紅葉も季節感を表しています。左側にある「むらやまはし」は読み方が「むらやまばし」ではないんですね。調べたら
連濁とは
• 後の言葉が濁る現象: 二つの言葉が組み合わさって一つの言葉になる際、後ろの言葉の最初の音が濁る現象です。
なんで?「むらやまばし」の方がしっくりしますが、どうして?
【中島弘】
「もうすこし」(長野市大岡)=10月24日
コメント:毎年1月に各戸からしめ縄が集められそれらを元に石碑に神面が飾り付けられる。今年もあと僅か。神面に風格と少し疲れも漂う様子を撮りました。 講評:今年は長く暑かった夏、米騒動といろいろとありました。色も褪せ、少々疲れた様子の守護神。が、師走に入ったものの今年はまだ終わったわけではなく、もう少しがんばってもらわないと・・・。そんな願いが色あせたわらから感じることができます。
「シーズンを終えて」(千曲市聖湖)=10月24日 コメント:夏シーズンから紅葉前の湖は人影も少なく、桟橋に並ぶアヒルボートがユーモラスで気持ちを和ませてくれていました。 講評:♪いまはー もうあき。だれもいないうみ♪懐かしい歌を連想する一枚です。アヒルボートと手前のボートを主題に、望遠で引っ張るか、あるいはワイド系レンズで迫るか、もっと強調すると印象がもっと強烈になったかと思います。
【広澤一由】
「秋を彩るヒガンバナ」(墨坂神社=須坂市)=9月27日 コメント:墨坂神社境内がヒガンバナの群生となっており、赤一面の花で鮮やかな景色に感動しました。 講評:群生すると見事なヒガンバナ。圧巻ですが、やや周辺環境の説明不足かなと思います。上部に少しあるといえばありますが、黒くつぶれてしまい分かりづらいです。左奥には何か見えますがこちらも同様です。じゃあ、どうしたらいいか?そうですね。撮影する時間帯、天気具合による光具合を考慮し背景が多少でも写り込むような露出バランスを・・・。

「昌禅寺の紅葉」(上松=長野市)=11月12日=2点
コメント:秋晴れを待ち、昌禅寺の紅葉を撮りに出掛けた。見物人が他にも数人、今年も素晴らしい紅葉に感動した。
講評:上の作品は、露出の測光を向こうの紅葉に合わせるともっとアンダーになり飛んだ調子ではなくなります。構図的には門を「囲み構図」として使いしゃれた感じです。
下の作品は、右下にある石仏群がアンダーになってつぶれてしまい残念です。日が当たらない曇り、もしくは雨降りの満遍なく光が回って撮れる日を選ぶといいです。ただし、向こうの紅葉はこんなにカラフルではなく、しっとりとしたイメージになってしまいますが・・・。
【牧内二郎】
「ひと休み」(中野市一本木公園)=10月117日
コメント:一本木公園『秋のバラまつり』に行ってきました。バラを撮影していたら珍客に遭遇しました。逃げないよう気を付けながらもう片方の手でスマホ撮影しました。
講評:小生もかつて似たことがありました。週刊長野で動植物を連載、チゴハヤブサの野鳥を撮影中でした。200-500㎜という超望遠レンズで高い樹木の上を狙っていたら、レンズフードの上に小さな昆虫が・・・。何とハラビロカマキリの幼虫でした。体長4センチ前後と小さかったのですが、かつて成虫を写真に撮ったことがありすぐ分かりました。普通のカマキリと違い南方系の珍しいカマキリで、予備のコンパクトデジカメでパチリ。鳥と昆虫と二つ、この日は一石二鳥の収穫がありました。ということで、この作品もバラを撮影中とのことで背景にバラが写っていますが、そっとスマホにてカメラを構えた自分の手に止まったトンボをパシャリ。「逃げるな!逃げるな!」と頭の中を真っ白にしてシャッターを切った牧内さんの緊張感が伝わってきます。
【宮澤一成】
「ヤギと一緒に紅葉狩り」(戸隠鏡池)=11月4日
コメント:ヤギを連れている女性を発見、珍しかったので撮影しました。
講評:そこにいる人物や人の動きを素早くキャッチすることにたけている宮澤さんならではのショット。すかさず、お馴染みの鏡池を背景にし、タイトルも気の利いたものに工夫しました。ヤギが画面の端っこですが、これが返って緊張感というか瞬時の出来事みたいなものが感じられ面白いです。
「冬近し」(戸隠=とんくるりん付近)=11月4日
コメント:路肩にはうっすら雪の後、奥の山は雪景色、少しずつ冬が近づいているようです。
講評:夏が長く、秋は少し?でも、確実に季節は巡り冬がもうすぐそこまで。秋を代表する植物ススキの群落を手前に、中継の山塊、その向こうに秋によく発生する霧(雲海)、さらにその向こうには雪を抱いた北ア連山。右ピークは五竜岳でしょうか、遠近感たっぷりスケール大の作品となりました。