輝いて―私・仲間(第13回)

喜んでもらうこと
    それが私の喜び・・横田八重子さん(80)
キッチンで差し入れをする料理を用意する横田さん。喜んでもらえるのがうれしいと話します

11月下旬の朝、横田八重子さん(1常会)の家を訪ねました。横田さんはキッチンで料理を一生懸命入れ物に詰めていました。「公民館でイベントがあり、みんなに食べてもらうの」と言います。つくったのは大きな鍋いっぱいのイチジクのワイン煮と大根の甘酢ユズ漬け、そして一個一個袋に入れた干し柿です。「おいしい」などの反応が何よりもうれしいと言います。

「喜び」へのきっかけ
横田さんが健康推進員のときに考案した「朝陽手のひら体操」。今も公民館で行われています
講師として、男性の料理教室を開いたこともあります

 長い間の会社勤めでしたが65歳で定年退職しました。とたんに地域の役をやってとの要望が押し寄せました。区の健康推進員になり、次いで支部長に。健康のため「朝陽手のひら体操」を考案しました。いまもこの体操は公民館で行われています。続いて福祉推進員になったのをきっかけに朝陽地区社会福祉協議会の理事に就任しました。交流範囲がグンと広がり、たくさんの人脈ができました。

長野市食生活改善推進協議会の勉強会。横田さん(中央)が中心になってにぎやかに進めていきます
「マーガレットの会」の忘年会。イタリア料理を楽しみながら笑いとおしゃべりが途切れません
横田さんが立ち上げた70歳以上限定の「イスでハッピー体操」。みなさん元気です

 そんな交流をもとに長野市食生活改善推進協議会の会員になり、月1回健康料理の勉強会や健康講座を開いています。また、10年前から月1回福祉施設の花壇や庭の草取りなどを行う園芸ボランティアグループ「マーガレットの会」に入会し、年2回自分たちでつくった花の苗を希望者に分けています。2年前には「70歳からのイスでハッピー体操グループ」を立ち上げ、みんなで楽しく責任者として運営を担っています。

喜んでもらえることのうれしさ
横田さんのノート。会合予定がたくさん書かれています
石渡公民館で開かれたイベントで、「おいしいから食べてみて」と参加者に手づくりの料理を勧める横田さん
イベント会場では、横田さんの持ち前の明るさで話が盛り上がります

横田さんの予定表を見せてもらいました。「80歳になったのでだいぶ減らしたのよ」と言いますが、かなりの会合の予定が記入されています。「会合では、なにかつまむものや食べるものがあると盛り上がります」と言います。いわば会合の潤滑油として機会があるごとに「差し入れ」をつくって持ち込むようにしているとのことです。会社勤めのころから、「差し入れ」づくりが好きだったとか。思いつくままにこれまでにつくった「差し入れ」を挙げてもらいました。いちご大福、草餅、五目おこわ、おはぎにおやき、豚汁、けんちん汁、白菜漬け・・・。まだまだあるそうです。

そうはいっても傘寿を迎えました。料理は好きとはいえ、大変な時もあるのでは。「でもね、気持ちを込めてつくって食べてもらう。おいしい、作り方を教えてなどの返事があるととってもうれしいの。大げさにいえばそれが生きていく励みね」

畑でつくったキクをイベント会場にたくさん用意しました。帰りにお土産として持っていってもらうとのことです
石渡公民館のカーテン。横田さんが自宅で使っていたカーテンです。寸法を直して洗濯して寄付したとのことです

自宅裏には38坪の畑がある。1年を通して大根、ほうれん草、レタス、ナスやキュウリなどを栽培しています。収穫するとそれらを友人や知人におすそ分けしています。「ありがとう」の一言が元気のもとになっています。石渡公民館の緑色のカーテンも横田さんが寄付しました。古くなったので付け替える話があった。「でも買えば高いし、家にあったので寸法を直し洗濯して寄付しました。役に立っているのがうれしい」と話しています。

不安を超えて
自宅の庭ではほうれん草や大根など一年中野菜をつくっており、友人におすそ分けしています

8年前にご主人を亡くしましたが、明るく元気に生活しています。しかし、ひざの関節が悪化しました。今年8月に左ひざの手術をして人工関節を入れました。来年1月には右ひざを手術する予定です。右ひざを手術すると当分の間、車のアクセルやブレーキを踏めなくなるため運転はできなくなります。行動範囲が大幅に狭くなります。横田さんは「心配してもしょうがない。リハビリを頑張って、またたくさん差し入れをつくってみんなに喜んでもらうんだ。それが私の一番の励み」と話しています。横田さんの話を聞いていると、「利己」よりも「利他」…こんな言葉が浮かんできました。