石渡写真クラブ月例会(4月)作品&講評
駆け足で福寿草やセツブンソウの春の妖精から桜と通りすぎ、あっという間に新緑の季節に突入しました。長野運動公園のケヤキ並木も日一日と萌黄色から緑へと色を濃くして生命力を感じます。
飛び石とはいえ大型連休が始まりました。野に山に、街の中に、さまざまなイベントや催事が盛りだくさん。ネイチャーものから人物ものまで被写体がごろごろ。天気もいいようです。事故、事件(最近思わぬもの多し)、体調管理に気を付けて自分も楽しみつつ、傑作探しに出かけましょう。
講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
写真をクリックすると拡大して見えます。
※作品・講評の順番は、会員の氏名を「あいうえお」順に、月ごとに逆にして紹介しています。
【宮澤 一成】
コメント:ご夫婦揃って写真を撮っているのを見て、ちょっとうらやましく思い、撮影しました。いつまでもお幸せに。
講評:お父さんは本格的、一眼レフを三脚付きでファインダーをのぞく、奥方はスマホで液晶画面を見ながら指でシャッター。それぞれのアクションの良い瞬間を的確に捉えました。やや斜めのスイセンの列に対し背景の大小の木立ちが垂直でリズム感を創出しています。
コメント:この日は、天気も良く多くの方がスイセンを見に来ていました。比較的高齢者が多かったです。
講評:この作品もスイセンの咲く場所が斜めや平面とアクセントがつき、花見客も右側斜めの道、中央と適度なバランスで配置した瞬間がいいですね。欲を言えば向こうの横切った道にも花見客がいるとなおよかったです。
【牧内 二郎】
コメント:天気が良かったので千曲市の『第70回あんずまつり』に行ってきました。全体的に五分咲きでしたが『あんずの里スケッチパーク』の前の木だけ満開でした。
講評:周りの木々はまだ眠りの中でしょうか、休憩所?前のあんずの花だけがピンク色の花をいち早く咲かせ印象的です。中央に配置した「日の丸構図」。花だけをアップにしなかったところが殺風景な周りの景色の中に一段と映えました。
コメント:あんず畑の中に入って撮影できるので花を接写してみました。風で枝が揺れるので枝を押さえながら、あんずの花をスマホのマクロモードで撮りました。
講評:スマホによる「作品」はあまり撮ったことがなく「マクロモード」があるとは驚きです。通常マクロ(マイクロ)撮影すると、被写体そのものがクローズアップされ背景はぼける程度で、このように景色があまり写り込みません。花一輪が大きく写り、その向こうにはほかの枝や花、さらにその向こうに山並風の波を打った稜線があり遠近が出ました。
【廣澤 一由】

コメント:8日に長野地域の開花宣言があり、早速周辺の桜を探しに散策したらエムウエーブの近くに満開の桜を発見した。早咲きの桜が満開で咲き誇っていた!
講評:例年の運動公園サブトラックの桜はまだ開花せず、開花が宣言されたのでどこかに咲いているはずーと探索した行動力がいいですね。夕暮れに近い斜光線で桜の花が立体的になり、背景のエムウエーブの特徴的な屋根を背景に単純化、すっきり感がでました。
【中島 弘】
コメント:リンゴ畑の老木が相棒の草刈り機に「今年も春がきたのでボチボチ始めようか」と語りかけているように見えたのでその雰囲気を撮ってみました。
講評:耕運機はずっとこの位置に置いてあったとは考えにくく、おそらく短期、あるいは昼飯か休憩か。たまたまと思われますが、運転する人もいない耕運機と傍らの老木に“何か”を感じてミニ物語風に仕上げた作品です。また春が来て、老木がいつものように機械に語り掛けるように見えた作者の思いが伝わってきます。
コメント:安曇野市のワサビ農園に行ってみました。当日は黄砂がひどく霞がかかっている中、インバウンドの客が春を告げる紅梅を楽しんでいました。
講評:常緑のワサビの葉に対し、ワサビ田の横には春が来て咲き始めた紅梅が彩りを放っています。適度に観光客もあしらいうまくまとまっています。
【竹内 一郎】

コメント:東北部水害対策のイベントで立ヶ花の橋を見てきました。2019年の水害の水位が間もなく橋の上層部に達しようとしていました。もし、決壊がなければこの橋はどうなっていたのでしょう。
講評:水害後、立ヶ花狭さく部の一帯は川底の堆積土砂のしゅんせつ工事が行われ増水が流れやすく改良工事が進みました。水害時に記録した水位が橋脚手前の右下に赤くマーキングしてあります。見学をした時の感想とともに、水害の時の様子を思い出した記憶に残る一枚。
【高山 三良】
コメント:自宅で春を集めました。和名「蒲公英」、別名「星の瞳」、クリスマスローズ、山茱萸、雪の下。土筆も風情があります。
講評:歴史を今に刻む「石渡館」にはさまざまな植物も歴史を継承しています。植栽したものを含め、春一斉に咲いた花々を一堂に会しました。ご先祖様たちも、身近な自然を慈しみ、楽しみ、心癒し・・・といにしえへ思いを馳せさせてくれる一枚です。
※参考。「蒲公英」→タンポポ(読み方)。「星の瞳」→オオイヌノフグリ。山茱萸→サンンシュユ(読み方)。土筆→ツクシ(読み方)
コメント:太郎山から撮りました。斑尾山は離れましたが、西の4岳は見慣れた景色よりくっついていました。
講評:山容は、見る位置が少しずれただけで微妙に変わり、「はて?」ということがあります。そこをテーマに撮影した一枚。いつもより重なりが違って見えた山は左より戸隠、飯縄、黒姫、妙高。撮影に出かけた際にはいつもマウンテンウオッチングをすると、楽しみも倍加します。
【後藤 祥子】
コメント:父親が野菜を作り、孫が大好きなパプリカを初めて作り持ってきましたが、「色が付かない、もしかしたらピーマンか?」と言うので様子を見ていたら、少しずつ色づき無事にパプリカになりました。その様子を1枚にまとめてみました。
講評:コメントを読ませていただき写真を見ると謎解きができます。が、通常の展示会などでは「タイトル、撮影場所、撮影者名」のラベルが付くだけです。従って、物語りを複数の写真で組んだ「組み写真」とした表現手法はいいのですが・・・。変化を見て分かってもらえるような組み方があるはずなので、その点に知恵を絞って組みなおしてみてください。面倒ですが・・・。
コメント:春になると庭に一斉に咲く花があります。亡くなった母が好きだった花が咲くので母に会えた様な嬉しさを感じます。夏のような暑さがきたと思ったら、次の日は雪降りです。花が「寒いよ」と言っているようで、私も衣類を1枚追加しました。
講評:思い入れの深い花ですね。これも2枚組ですが、どちらかを大きくすると、見栄えが違ってきます。さらに配置を少しずらすとかし、自分の思いを最大限「見た人に分かる」方法を工夫してみてください。
【小島 真由美】
コメント:桜の季節でもなく紅葉の季節でもなく富士山に雪がある季節でもないのですが、一度は訪れてみたいと思った場所です。ガイドブックで紹介されている構図を真似て撮影しました。3年前ですがその当時も外国人がとても多かったです
講評:ガイドブックを念のためネット検索すると、いっぱい出てきました。五重塔左の緑が桜満開、遠く富士山はくっきり。でも、それと同じ写真を撮っても、立ち位置が多少のずれはあっても同じなので、「どこかで見た写真だなあ」、「絵葉書調だな」。写真初心者はそれでいいのですが、いつしか壁にぶつかります。その意味で、季節をずらすとか気象条件、光線状態など別の視点で臨むことになります。その意味で、この作品は空の雲がいい感じでこの瞬間ならではと思います。それを活かすには、下の部分を思い切って切り、空の雲をもっと取り入れるともっとオリジナル性アップ!
※参考。新倉→あらくら。浅間→せんげん。ともに読み方。
コメント:この日の残雪はまだ1メートル近くありました。その雪の上にネコと思われる足跡が続いており動物のたくましさを感じた1枚です。
講評:よく気が付きましたね。ただし、足跡がやや遠いです。もっと手前にまであればこの画角でよかったですが。雪の中に入ると靴の中に雪が入ってくるので、望遠系で引っ張り、手前部分をカットするとよかったです。
【小池 公雄】
コメント:厳しい冬に耐えて、蕾を膨らませてきた福寿草。近寄ってみると気品の良さというか、何か気高さのようなもの漂わせているように思われました。
講評:春一番に咲き、おめでたい花で被写体になる確率が高い花です。多くの写真愛好家が作品を産みだしていますので「私ならこう撮る」という視点がないとオリジナル作品が出てこないという難しい?花です。まあ、どこかで見たような写真でもいいのですが・・・。満開の花にミツバチが来訪したり、背景に北アルプス、あるいは思わぬ降雪とコラボなどなど。この作品は、花開く寸前のつぼみ状態ですが、これからという将来性、勢い、初々しさなどを感じさせてくれます。背景のぼけ具合も主題を強調しています。
コメント:未だ3分咲き、ちょっと気が早いですが、森の杏畑に行ってみました。咲ききらないのと平日の曇天で、人影はまばらでしたが、見事な老木が花を付けて、春を告げていました。
講評:いっぱいの老木を発見。上に伸びた枝は剪定され短めですが、幹の太さは生きてきた年月を物語っています。左3、右1と左右に分かれてしまいやや迫力を減衰しています。どれか一本の幹を代表して前面に出し、その向こうに同格の木が見えるという遠近法で迫ると老木の風格、力強さが表現できたと思います。
コメント:満開になった梅の木にヒヨドリが飛んできては、蜜を吸いながら花びらを落としていきます。あまりに器用に、いろいろな姿勢を見せてくれるのでシャッターを押してみました。
講評:メジロほどではないですが、結構花から花へと動きが早い鳥です。セオリー通りに頭部にフォーカスがきていますが拡大してみるとやや甘いか・・・。羽の部分はぶれていて、逆に動き(躍動感)があっていいです。ファイル情報を見ますと、250分の1秒、絞り5.6、ISO720です。シャッタースピードをもっとアップし少なくても500分の1以上、絞りも望遠レンズなので微妙ですが8以上に。このセットにするには連動してISO感度を思い切って1600とか3200とアップしてみましょう。いい天気でも。そして前後の動きにも対応、ピントを追尾するフォーカスモードし、さらに「ここぞ」という動きを逃さない連写に。いろいろといじる設定がありますが、挑戦をしてみてください。