石渡写真クラブ月例会(8月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(8月)作品&講評
 異常な暑さが続きますが、このところ朝夕は心なしか涼しくなり虫の声も。スーパームーンも雲間から見え隠れ、秋本番までもう一歩と言うところです。
 先月末までに、県内の写真コンテストの中でトップレベルの第73回写真県展、第28回信州写真展の審査が終わり、間もなく展覧会も開かれます。追い打ちをかけるように、各クラブの展示会も次々と開かれます。ぜひ会場に足を運び観賞、参考にしてください。撮る人も、撮らない方も、さまざまなシーンに出合えることが出来ます。写真は見るだけでも楽しいです。

 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【吉田 幹男】

「飯綱の里山」(飯綱町)=8月3日
コメント:飯綱町のそば店の駐車場から日が差していた南東の方向を撮影しました。奥の志賀の山並みと手前の里山の緑を狙いました。                                          
講評:田園地帯が広がり集落が点在する、日本のどこにでもある里山の光景。雑木が茂る丘陵をはさんだ向こうの山との間には同じ光景があるのではと連想させてくれます。営々と神代の昔から続いてきた人々の暮らしに想いを馳せシャッターを押した作者の思いが汲み取れます。

【宮澤 一成】

「涼花」(いもり池妙高)=8月4日
コメント:猛暑の中、水面に咲いている真っ白な睡蓮の花がちょっと涼しげに思えたので撮影しました。           
講評:3枚の葉が三角構図で並び、左上から水中に伸びた赤い茎とその上に白い花。思い切った切り取りがいいいです。涼感を誘います。水面にコイかなんかが顔を出しているとか葉の上にカエルかなんかがいれば最高!ちなみにハスとスイレン、ヒツジグサの違いは?ハスは木島平村稲泉寺のハスのように、水面から茎が立ち上り、その頂点に花があります。スイレンは水面に花があり茎は水中にあり、花の色はさまざまあります。その仲間のひとつがヒツジグサで花の色は白です。
「三点倒立」(飯山市北竜湖)=8月4日
コメント:学生たちが湖面に大きなボードを浮かべ、その上で色々なパフォーマンスをするウォータースポーツをしていたので、珍しく思い撮影しました。
講評:倒立している人物に左のボートの全員の目線が集中。そうかと思うと、右のボートではぐったりとした人物がいたりアンバランスな動きが左とは対照的。水面に仰向けに浮かぶ人がその仲介役となり、シンプルな背景も主題をぐんと引き立てています。

【廣澤 一由】

「山上テラスから」(車山頂上)=7月25日
コメント:車山にも山上テラスが出来て、高校生らしき集団が大勢で、爽やかな風に吹かれて山上での空気を満喫していた。
講評: 山岳地帯のあちこちにお目見えのテラスが流行です。個人的には、人工物をなるべく自然の中に登場させないのが望ましい心情ではありますが、テラスから霧ヶ峰の丘陵地帯、さらに向こうの八ヶ岳連山、雲たなびく空と順を追って遠近感がたっぷりの作品。高原の爽やかな風を感じます。

「思い出すWindows?」(車山)=7月25日
コメント:草原と青い空と白い雲、初めて出会ったPCWindowsを思い出すような景色にシャッターを切る。
講評:パソコンでは、よく「壁紙」写真とも呼びますが、色彩が豊富だったり珍しかったり、場所や被写体の形がユニークだったり・・・。そんなイメージと自分の感覚がうまくかみ合った瞬間に出合え、切り取った作品かと思います。写真とは、まず何を感じ、それを残したいと思うかどうかが一歩です。その感度を磨き高めるために、できるだけさまざまなシーンに出合う(体験する)こと、追体験できる作品を多く見ること(展示会など)かと思います。以前触れました「目を肥やす」ことが大切です。

【早川 球喜】

「夕陽との競演」(石渡の自宅)=8月6日
コメント:夕方、ふと家の窓から外を見ると、黒い雲の中から突然炎が現れた様な夕陽に思わず1枚。
講評:今年は雨が降らず、夕暮れ時に東の空に残った入道雲が夕焼けに染まり奇妙な光景が出現しています。この作品は、まさに夕陽を浴びた雲のひとコマで、雄大な自然現象の瞬間を捉えています。前述のピンク色に染まる入道雲と類似の現象として、日が沈む時間帯に東の山上に横長にピンク色の帯ができることがあり、「ビーナスベルト」というそうです。日の出、日没の前後、それぞれ40分ほどは刻一刻と光が変化し「マジックアワー」と言われます。一番写真になる時間帯です。

【中島 弘】

「霊山のご来光」(石川県白山山頂)=7月24日
コメント:日本三大霊山の白山のご来光見るため、夜明け前に山頂を目指し、雲の合間からご来光を捉えることができました。
講評:何度見てもいいものですね。ご来光。神秘的、宇宙的な一瞬を求めて足を運んだ甲斐がありました。しかも、たなびく雲も味方し付加価値がぐんと上がりました。ご来光の自然と手前にお仲間さんの姿を配し、人と自然をコラボした点はいいですが、ややアンダー気味でよく分かりにくいのが気になります。その分、向こうの景色に目が行きやすいかも知れませんが・・・。少し、加工の中の「シャドー部のみを明るく」するファンクションで調整してみました(写真下)。見比べてみてください。

「涼を求めて」(新潟県苗名の滝)=8月2日
コメント:落差55mの滝は水量も多く迫力があり、猛暑を忘れる清涼感がありました。RAWデータの現像で滝を強調するよう背景を暗くしてみました。
講評:こちらは、手前の部分はややアンダー気味ですが、ほどよく出て(つぶれず)いい感じかと思います。背景を暗くして流れ落ちる水を強調、自分のイメージに近づける撮影、加工が功を奏しました。水の流れを止め、それぞれの水の塊の姿が見え、見た目(肉眼)では絶対に見ることのできない写真ならではの世界(表現)となりました。ちなみにファイル情報から、撮影データは、640分の1、絞り14、ISO400、焦点距離85㎜でした。

【竹内 一郎】

「ボンボン」(朝陽夏祭り)=7月29日
コメント:4年ぶりに開催となりました朝陽夏祭り。めったに行くことがありませんでしたが、孫と一緒に出かけました。大変な込み具合で楽しんできました。
講評:ボンボンは釣り上げるのでしょうか?周りを囲んだ子どもたちや親御さんたちでにぎやかな雰囲気がややハイアングルから表現できました。いつの時代も、もらったお小遣いで夜店の綿あめや金魚すくいなどに興じる子どもたちの姿は変わりませんね。今もって続くお祭りのシーンを普遍的に記録した報道写真となりました。

【高山 三良】

「月と百日紅」(自宅)=8月5日
コメント:月と百日紅を一緒に撮るのが難しく、位置関係をいろいろ変えて撮りました。彩りを添えた感じに。
講評:月、約38万㌔彼方の物体と目の前の物を合体、一枚の中に収めることは確かに難しいですね。でも、何とかこの距離感を克服して表現してみようという努力が素晴らしいです。超望遠で小さい月を大きめに、ぼけてはいますがサルスベリのピンク色、空のブルー、色、構図ともどもシンプルにまとめました。
「もう秋」(屋島河川敷)=8月8日
コメント:朝6時から菊芋畑の草取りです。自宅付近からは見られない景色でした。もう秋、まだ暑いけど。
講評:朝夕は少し涼しくなってきましたが、いつまでも暑い今年の夏。しかし、この酷暑も過ぎる9月末ころには標高の高い山の上から紅葉が始まります。待たずして、空の雲も入道雲から秋を代表するイワシ雲(ウロコ雲)が時折顔を見せ、秋到来を告げてくれます。暑さの中、すでに秋模様の上空の雲をすかさず捉えています。