石渡写真クラブ月例会(2月)作品&講評
日本海沿岸を中心に「あちこちで最多積雪」のテレビ画像を見ていると、嘘のような話に。本格的な雪かきはたったの一度で、なぜこの長野市は?でも、立春、雨水と過ぎたのに寒さだけは厳しい毎日です。
確実に昼間が長くなり、陽光も日増しに強くなってまいりました。間もなく3月弥生。スプリングエフェメラル、春の妖精と呼ばれる春一番に咲くセツブンソウ、フクジュソウなどが待ってましたと花を咲かせます。
春を待ちわびるのは私たちも同じ。陽気がよくなったら、カメラ片手に野に山に出かけましょう。
講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
写真をクリックすると拡大して見えます。
※作品・講評の順番は、会員の氏名を「あいうえお」順に、月ごとに逆にして紹介しています。
【宮澤 一成】
コメント:二羽の鴨が同時にエサを取っている様子を見ていたら、思わずあの「ことわざ」が浮かんできました。
講評:越冬にやってくるコハクチョウやカモでにぎわう明科の池で、カモが水の中に頭を突っ込んでいる瞬間ですね。瞬間と言っても、餌をあさるため何回も何回も繰り返すしぐさで、初めて見ると滑稽にも見えます。ふと浮かんだことわざをタイトルに表現しています。
コメント:真剣におみくじを結ぶ女性、「良き一年でありますように」と、祈るばかりです。
講評:やや離れた光景を望遠レンズで撮影しましたが、手振れ?ややフォーカスが甘く惜しまれます。合わせるピントは、手前のおみくじ、それと女の子の目と2つどちらかです。どちらの方が主題をより強く表現できるかは分かれるところですが・・・。いずれにしろ、女の子の目にキャッチライトが入るとか、目が生き生きとしていると主題がさらにグレードアップしたと思います。
【牧内 二郎】
コメント:日課のウオーキングで運動公園の近くを通った時に、夕暮れの濃紺色の空に浮かぶ運動公園の木が綺麗だったので撮りました。カメラ設定をワイドにしたら両サイドが少しカーブするように歪んで、流れる空の雲の影響もあって動きのある感じになりました。夜間モードで割と明るく撮れています。
講評:昨年まで区の「どんど焼き」でお世話になった空き地。今は運動公園整備で工事中ですが、まだ雑草などが残り空き地の面影がたっぷり。薄暮からもう少し進んだ時間帯。まだ青空の余韻が残る空に早くも輝き始めた宵の明星金星と月がコラボ。それに負けじと流れる雲。各家では夕食の団らん、やがて暗闇へと移る時の流れを感じさせてくれます。
コメント:同じく、夜明け前の白くなり始めた空に浮かぶ運動公園の木。この日は少し雪が降って薄っすらと白く雪化粧した朝でした。ノーマルで撮影したので歪みがなく、動くものも一切なく静寂な世界の雰囲気が出ていると思いました。
講評:上の作品と同じ場所ですが、今度は暗闇が支配する夜からしらしらと明け行く朝へと移り行く時間帯を狙っています。何もかもが眠りにつく夜の「静寂」さが感じ取れます。上作品が「動」とすると、こちらは「静」。せっかくなので二枚を組みにして一枚のボードに表現する「組み写真」で表現してみる手法もあります。
【廣澤 一由】
コメント:去年に続き、今年もりんごを樹に置いたところ早速ヒヨドリが飛び降りてきて満足げに食べてくれた。地味な色の野鳥だが、撮りながらよく見ると可愛さを感じた!
講評:餌を食べにやってきたヒヨドリ。つついたりんごのご馳走の残り?がまだくちばしに残った瞬間をタイミングよく捉えました。枝とのバランス、背景もぼけて主題が浮き立ちました。
コメント:野菜の残りを水栽培してみました。立派に成長する生命力に感動しました。人形達とコラボしてメルヘン調に仕上げました。
講評:写真の対象物は、顕微鏡でないと見えない極小のものから宇宙の銀河まで神羅万象、何でもです。ごく身近、繰り返される日々の生活の中で見つけた素材ですが、残った野菜から新たな命が芽生える姿に感動した作者の気持ちが伝わってきます。
【中島 弘】
コメント:雪が降っている時の高井橋を撮りたかったが、雪道の運転に自信がないので、降雪後の撮影としました。雪と神秘的な雰囲気を出すようRAWデータを現像しました。
講評:よく紅葉と対比させた作品は見かけますが、白一面の銀世界は初めて見ました。手前、橋下のC構図の川の様子が単調な中にリズム感を表出、上部の立ち込めた雲(霧)も臨場感を助長しています。白一色の中の赤色が際立って見えます。
コメント:大寒波到来で外での撮影が厳しいので、「深度合成」処理にトライしました。今後はマクロ撮影等で作品作りに挑戦したいと思っています。また「比較明合成」もトライしたいです。
講評:本来、被写体の大小に関わらずにどこかにピントが合い、ほかはぼけるというのが写真です。中でも、手前から奥の方までピントが合っている範囲がたくさんある写真を「深度」がある(深い)といいます。深度を稼ぐ(深くする)には絞り値を数値の多い方にします(絞ります)。望遠系よりワイド系レンズの方が効果的です。従来はこの方法で深度を深くしていましたが、近年ではカメラ内やパソコンソフトで「合成」なるものが簡単にできるようになりました。この作品も、鳥を手前から尾に向けてピントを少しずつずらしながら「20数枚撮影」(中島さん)し、それを合成し1枚に仕上げたものです。従来の方法、絞りを最大に絞ってもこれだけ立体的なものですと限度がありぼけてくる部分が少なからず出てきます。しかし、このように「合成」するとものの見事に隅々までピントが合った作品となります。中島さんが手法解説写真=写真上=と完成写真=写真下=を作ってくれましたのでそのまま掲載します。
ちなみに野鳥やチョウ、トンボ、カブトムシなどの昆虫の写真では、頭部、とりわけ「目」にピントを合わせるのが常套的です。と、このような写真とは反対に、絞りを開放(数値の少ない値)にした「ぼけ」の世界が写真表現としてあることも頭に置いてください。
【高山 三良】
コメント:電線に寄り添ってとまり寒さをしのいでいます。電線が1本の太い線に。
講評:子育てが終わった秋ごろから、ムクドリやスズメは集まって行動します。その数は数えきれないほどに膨らみ圧巻です。よく電線に一列、横並びに止まっているところを見かけますが、この写真を見ると電線だけでなく変圧器やそのほかいたる所に所狭しと止まっていてすごみを感じます。スズメだそうです。
コメント:特別支援学校新年会でのハプニングです。アトラクションで石渡神楽の獅子舞を披露しました。舞が始まると獅子舞が好きな生徒3人が隣で舞い始めました。手作りの獅子頭に幌を付けて。
講評:手作りの獅子と歴史ある石渡の獅子が並んで舞う。神様が出合わせてくれた珍しい場面で、三枚の組み写真でまとめました。これを機に、もっともっと交流が深まり、神楽の歴史に新たな展開が訪れるといいですね。
【後藤 祥子】
コメント:雲(空)を見ることは好きです。雲はいろいろな姿になっていたりと楽しみを感じます。買い物に行き空を見上げ、楽しい様子を写しました。
講評:趣味?の雲見。いい雲を見つけ、すかさずカメラに収めたところがすごいです。いい被写体に出合う(見つける)➡シャッターを押す、という心掛けを忘れないようにしてください。ケーズ電機の屋上とのことですが、やや画面が右下がりに傾いていますが、この場合雲の切れ間の斜めの線となぜかマッチングしてそんなに苦にならないです。むしろ、この傾きが不安定感を醸し出し作品に躍動感みたいなものを表出しています。
コメント:公民館役員のため準備に参加していました。だるまが列をなし、役目を終えて準備されてゆく姿がとてもおもしろく写真をとりました。この行事(どんど焼き)やるのか、やらないかとの話がありますが、私は続いてほしい思いです。
講評:長く連結されただるまが“面白い”と感じたところが素晴らしいですね。たまたまか、今年の干支「へび」のように長く捉えられました。一年間の見守り役を終えいよいよ最後を迎えるだるまさん。「ご苦労様。ゆっくりお休みください」。そして、この作品も極端に傾いていますが、なぜか苦になりません。
【小島 真由美】
コメント:いろいろ彩られてどの柄のところで写真を撮るのがいいか悩みまし板。一回(5分)見てから2回目で構図を考えながら撮りました。
講評:うまく撮れましたね。まず、撮る前によく被写体を観察したことが結果に結びついたと思います。よく「(写真は)シャッター以前・・・」ということを昔から言いいます。撮ろうとする被写体に対峙したらまずじっくり観察することは写真の基本、第一歩です。「何を自分は表現したいか」「何を第3者に伝えたいか」。被写体に語り掛け対話をすることです。次に、表現を手助けする機材の選択、設定、操作・・・と進んで行きます。
コメント:友人とランチデート。テレビで(バナナマンせっかくグルメ)放送されたハンバーガーを食べてみました。大きさをひきたてる撮り方が難しかったです。
講評:どこかで見たことのある物体は、脳がおおよその大きさの見当を推し量ってくれます。が、写真に収めた場合大きさがよく分からないことがままあります。具体的にぱっと見で分かってもらう方法は、画面内に見た人が大きさを想像できる物、例えばはしとかスプーンとか・・・(このバーガーの場合)。一番手っ取り早いのは手に持ってもらうことです。手の大きさは大人、子どもの違いこそあれ、おおよその見当はつくはずです。もう一つ、ワイド系レンズ(20㎜・24㎜)、あるいは度を超すかもしれませんが魚眼レンズ(16㎜)でバーガーに近づいて撮ることです。ややデフォルメ(歪曲)されますが、この世のものか?と思うほど画面手前いっぱいに大きく写り、おまけに背景も写り込みます。
【小池 公雄】
コメント:青空にくっきりと頂を見せる飯縄山を背に、大勢が見守る中、三九郎に火が放たれ見事な火柱になりました。コロナもインフルエンザもこの火で焼いてくれ!!無病息災を祈りました。
講評:松本地方では「三九郎」と呼ぶ「どんど焼き」。めらめらと燃え上がるやぐらを望遠レンズで狙い、バックの取り巻きの区民、飯縄山が重なるように見えて、望遠レンズの「引き付け効果」がよく表れた作品となりました。
コメント:今年は数年に一度の大寒波、スキー場の軒に下がるツララも、見事に成長して迫力がありました。
講評:最初にできた太めのつららが屋根の上の雪の落下に伴い内側にぐんと曲がり、さらに後続のつららが垂直にその姿を太らせている。2つの曲がり方が背景のカラマツの垂直と対比的でリズム感が出ました。
コメント:22回目を迎えるという、灯明祭りを見に行ってきました。石井幹子先生によると今年のテーマカラーは「紫」とのことでしたが、私の撮り方では・・・・・。違う色が出てくるまで待てれば良かったかと後で思いました。
講評:鐘楼の赤色、本堂の紫色とカラフルなコントラストでいい感じと思います。色は追及しだすと多彩で奥が深く難しいです。適度に、納得する段階で踏ん切りをつけないと前に進めません。手前右下にお祭りを楽しむ人物を点景に入れた点も効果的です。
【倉澤 利和】
コメント:成田山新勝寺に初詣に行ってきました。1泊2日の旅でした。二日目のホテルから見た日の出が素晴らしかったので、撮ってみました。久しぶりに見た海に感動しました。
講評:目覚めとともに部屋に居ながらにして日の出が見ることができた。このホテルの、この部屋はこれが「売り!!」なんでしょうね。部屋は2階より上の階でしょうか、やや俯瞰した感じで海原が遠くまで見渡せ、中央に配した太陽を起点とした四方八方に広がる雲が外に向かって規則的な広がりを見せています。雄大なスケール感がいいです。
コメント:ウオーキングの途中、運動公園サブトラックを見たとき神秘的な情景が目に入りましたので、思はずスマホで撮ってみました。
講評:降り積もった雪景色の夕暮れのサブトラック。灯り始めた照明に照らし出され、アンツーカーコートのトラックだけ雪が解け、そこを走る一人のランナー。低速シャッターでぶれ過ぎて人影かどうかすら分からない感じですが、もう少しぶれずに「人」と分かるとよかったですね。また、照明の電球から発したフレアがいい感じで作品に味を添えました。もっと、色濃く出るともっともっと幻想的になったかと思います。