石渡写真クラブ月例会(6月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(6月)作品&講評
 例年より遅い梅雨に入りました。梅雨の晴れ間ともなると、真夏並みの暑さで早くも熱中症アラートが出る陽気です。
 うっとうしい梅雨ですが、それなりにこの時期ならではの被写体があります。雨、滴、傘、水たまり、カエル、カタツムリ・・・。        無理は禁物です。家の中にこもりがちですが、身体とよく相談してでかけてみましょう。

 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。
※作品・講評の順番は、会員の氏名をあいうえお順に、月ごとに逆にして紹介しています。

【吉田 幹男】

「残雪の蓮華岳、木崎湖」(大町市平のチェーン脱着所、木崎湖)=6月6日
コメント:美麻新行のそばを求めて「手打ちそば美郷」に出かけた。そこから峠を下りたチェーン脱着所で蓮華岳を撮りました。また、そこは「鹿島槍を写す田 雪形」とアースに表示も、そして木崎湖に向かいました。                                     講評:白馬への五輪道路、青具交差点を左折すると新行のそば所。隣接した旧中山スキー場を過ぎると大町市の平。目の前に北ア連山が迫るように現われます。ちょうど鹿島槍から爺ケ岳、針ノ木、蓮華岳がほぼ正面、そんな一枚です。やや空が多めなのと、露出がオーバーです。せっかくの連山なので、ワイドにトリミング、明るさとコントラストを補正してみました(写真下)。木崎湖も空が多めです。その分画角を下方に修正、キショウブやヨシなどが茂る湖畔の雰囲気を入れると全体が落ち着いてきます。

 

【宮澤 一成】

「手を貸して」(白馬村)=5月23日
コメント:田植えのシーズン、今では機械で植えるのでだいぶ楽になったのでしょうが、人手は掛かるみたいです。
講評:かつて私の子どもの頃(昭和30年代前半)の田植えは、家族総出、足りない分は「ゆい」といって田植え農家が順繰りに助っ人を出し合い、一列横並びで手で植えて行きました。そんな写真は残念ながら手元に残っていません。時代は半世紀以上も経過していますが、何と田植え機も8条?植えでしょうか、植える(働く)のは機械ですが、その分仕掛けに人手が必要ですね。身体は楽になり、相当の時間短縮となりましたが、人の手がいることは昔も今も変わらないということでしょうか。今の時代を記録した貴重な一枚です。
「冬春夏(とうしゅんか)」(大町市青木湖)=5月23日
コメント:数十年ぶりに青木湖へ行って来ました。冬を思わせる残雪、新緑の春、夏を感じさせるカヌー遊び、3シーズンを1枚に収めてみました。
講評:タイトルは季語か?と思いましたが、作者の造語とのこと。写真とともに大いにタイトル作りも楽しんでいただきたいと思います。その意味で、写真を撮る行為とは、被写体を見つけカメラ、レンズを駆使し、アングルや光線、背景などもミックスしてシャッターを切る。一連の行為の中で「自分は今何を表現したいか?何を第三者に伝えたいか?」を考えながら・・・と言われます。すでに、そこにはおぼろげながら「タイトル」が頭の中にできあがっているという図式です。「タイトルがすっと付けられるような被写体(主題)を見つけよう」です。造語ながら、目の前にある三つの季節を感じながら作画した作者の心情がタイトル、作品双方から読み取れます。

【廣澤 一由】

「奇麗でしょ!」(中野市一本木公園)=5月25日
コメント:一本木公園のバラ祭初日、園内には沢山のバラが咲いていました。その中の一角で、周りが蕾なのに、この一輪だけが咲き誇っていました。
講評:いち早く開いた一輪を見つけました。目立ちますね。ほぼ標準レンズに近い焦点距離41㎜、絞りは開放に近い5でほかの蕾をぼかして、主人公を際立たせました。タイトル「奇麗でしょ!」は確かにきれいですが、ややストレート。先んじて咲いたことに関わる言葉のタイトルにした方がベターかと思います。
「バラに囲まれて」(中野市一本木公園)=5月25日
コメント:沢山のバラに囲まれた小径を、心ウキウキ歩くカップルが印象的でした。
講評:若そうな?カップルですね。いつも付きまとう「肖像権」がまた問題となります。が、そこをクリアできればカップルは正面の方がインパクトがあります。将来の夢を語り合っている表情などが盛り込まれれば、周辺のバラの雰囲気にぴったりでしたが・・・。(クリアするには?は以前この講評内で紹介したかと思いますが)
「ポプラの木倒れる」
講評:この写真は2点のほかに説明なしでお披露目されました。公園内のポプラの大木が倒れ小学生がけが」とニュースにもなりましたが、廣澤さんが撮影に訪れ偶然遭遇した時の一枚です。すかさずシャッターを押したこと、素晴らしいです。
写真は時を刻みます。写真を読み解くと、事故直後かと思われますが、腐った根をこちらに向け倒れたポプラの木が写っています。突然起こった事故に花見に訪れた人たちがわいわいがやがやした騒然とした雰囲気が伝わってきます。救急車やけがをした人物が写っているとなおよかったと思いますが、貴重な報道(記録)写真となりました。
ニュースは刻一刻、日々どんどん動いています。その時の様子をよりリアルに伝え、見た人に信ぴょう性を持って納得させるのが一枚の写真です。この事故は幸いにも軽いけがで済み大事に至りませんでしたが、警鐘を鳴らす意味でより多くに人に見てもらうこと、同じ事故が再び起こらないことを喚起するのが写真の役目でもあります。
地元紙信濃毎日新聞では、読者が撮影したこのようなニュース写真を随時受け付けて紙面に反映するシステムになっております。これはーというニュース写真を撮った時は連絡をしてください。その場に居合わせ瞬間を捉えた写真は貴重なスクープ写真です。

【早川 球喜】

「花の共演」(我が家の庭)=6月3日
コメント:我が家の小さな庭にブーゲンビリア、ゼラニウムなどが咲き揃い、夕陽を受け可憐さを増しています。
講評:見事ですね。手塩にかけた花々が期待に応えて咲いてくれる。物言わぬ植物とはいえ、「我が家の一員」のようなつながりを感じさせてくれます。前々回の「クンシラン」のように、画面の背景かどこかに小さくても「我が家の小さな庭」の片鱗が写りこむとよかったかと思います。ブーゲンビリアの花は数も色もあり、多少小さめにしても存在感は保たれますので・・・。

【中島 弘】

「里山の息吹」(千曲市大林山)=5月29日
コメント:千曲市の大林山。登山道を行くと1mほどのシダの群生。里山に生える木、草、苔。そこに住む鳥、動物、昆虫、微生物。全ての調和が取れて里山を形成する自然の仕組みに改めて感動しました。
講評:シダ類の中でもよく見かける「オシダ」。語源は?ですが、林相を分けた手前の明るい斜面に群生したシダの造形美が見事です。点景に登山者のグループを配置、スケールの大きさが分かります。
「初夏に向けて」(安曇野市)=6月1日
コメント:田植えを待つ田んぼ。北アルプスの残雪も夏山モードに変更。カッコーやオオヨシキリの鳴き声が聞こえそうで夏を控えたワクワク感を捉えました。
講評:代掻きが終わり、無風の水鏡に写る北ア前山の連山。安曇野の典型的な光景です。中央の屋根の赤色とそこを起点に斜め手前に延びた畔道が力強く、アクセントとなりました。私には、田に水が張り、夜になると始まるアオガエルの大合唱が聞こえてくるようです。

【高山 三良】

「薔薇競演」(なかのバラ園)=5月30日
コメント:倒木騒ぎがあったなかのバラ園、切り株は見当たりませんでした。毎年新種が出品されていますが、淡い彩りのがいいですね。
講評:微妙な色のサンプルの「みほん」を見ているようです。原色ではなく中間調の淡い色が並び、それぞれが自分の形、色を主張し、過去流行した歌謡曲のリズムが頭をよぎります。多様な色をどうやって見せるか、発想と撮影、まとめ方がうまく連携した労作です。
「優勝・三位決定戦」(運動公園運動ひろば)=6月6日
コメント:上は優勝チームのプレイ。下右側は優勝決定戦、下左側は三位決定戦。石渡チームはどちらにも出場し優勝と三位に。
講評:金銀銅を決める戦いぶりを組み写真で表現しました。中央の電柱を二枚とも軸に配置、戦いの流れが読み取れます。

【小池 公雄】

「水瓶を跨いで」(長野市裾花大橋)=5月25日
コメント:梅雨にそなえてか、水位を少し下げて見える長野市の水がめ。ここを通るたびに、湖底に水没した泥んこ道を走るボンネットバスに乗った記憶が蘇る。異常気象の中、夏の水不足の対応お願いします。
講評:通常の水位が水面の上に白っぽい線状になって見えます。その底にあった道、走るボンネットバス・・・。今は、上部にできた赤い橋を渡り基幹道路が走ります。何か小池さんの記憶がボーっと透けて見えてくるようです。その頃の写真があると貴重です。
「光彩」(中野市一本木公園)=5月29日  
コメント:むせ返るほどのバラの匂いと、色とりどりの花に圧倒された「バラ祭」でした。見るほどに見事な花の造形美に吸い寄せられる感じでした。
講評:手前左側のバラの固まりをデフォルメし、右側向こうの固まり、青空と遠近法を使い作画できました。左手前の斜めにあるバラ3輪、空の斜めの雲がバランスよく印象的です。
「もう限界」(長野市戸隠=旧柵村)=6月9日
コメント:かつては9軒/20数名が暮らしていた集落でしたが、今は3軒、4人の集落に。人の数より獣の数の方が多いと嘆く住民。ダルマにも応援してもらいます。
講評:それでも故郷を捨てず、営々と暮らしが続く。その生き方や故郷に寄せる想いがひしひしと伝わってくる作品です。錆びたトタン屋根、切れたまま放置されたハウスのシート・・・。住む人の人数、年齢などを連想させてくれます。ダルマや左側のキショウブの花に生活力というか生活感を感じます。手前に畑の片鱗が垣間見えますが、できれば畑を大胆に入れ、農作業をするお年寄りを点景に入れた構図もよかったのでは・・・。もちろん、背景はこのまま。