石渡写真クラブ月例会(5月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(5月)作品&講評
 九州から中国地方、近畿から早くも梅雨入りです。長野、石渡も間もなくです。雨が幾日となく続く日がやってきます。「今日も雨降り。撮影には不向き・・・」ではいけませんね。晴天時の光をうまく使った作品作りとは逆に、雨降りならではの素材がたくさんあります。しっとり感、雨粒、雨に伴う動物・・・など狙いを定めて、滑りっ転ばないよう足元をしっかりし、出かけてみましょう。
 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【高山三良】

「飯縄山を望む」(附属小学校周辺)=5月3日
コメント:水田に水が入るころとなり、畔にはヒメジョオンが咲き乱れていました。見慣れた飯縄山を地面すれすれから眺めてみました。
講評:ほぼ同じ立ち位置から飯縄山を望む光景を2枚組で表現。下のカットは代掻きが始まる水田に水が入り、上のカットは田んぼの畔に咲く群落のヒメジョオンの花を手前に配置。双方とも春の農作業が始まった季節感を素材にした記録写真です。ローアングル目線が新鮮に映ります。

ヒメジョオンとハルジオン
 春先の雑草の代表格、どこでも見かける花です。北アメリカ原産の外来種で、見た目はよく似ていますが、違います。
 どこが違うかと言うと、まず名前の末尾の「ジョオン」と「ジオン」。ヒメジョオンは「姫女苑」、ハルジオンは「春紫苑」と和名があり、「ジョ」と「ジ」の違いがあります。
 そして、生態としては、
①ハルの方がヒメより早く咲き始め4~5月、梅雨時前には姿を消します。が、ヒメは5月からずーと秋、霜の来る頃まで長い間咲きます。
②一番簡単な見分け方は茎を折ってみます。ハルは茎の中が空洞でヒメは詰まっています。別名「貧乏草」とも言われ、折るのは嫌な方は、茎をつまんでみると、柔らかかどうかで分かります。柔らかいとハル、固めだとヒメです。ヒメでも柔らかな場合もあるとのことで、その時は「貧乏」を覚悟して、茎を折って・・・。
③ハルのつぼみは比較的垂れ下がり、ピンク色が多い。また、花(白色)の数がハルの方が多く、ヒメの方が少な目です。
④次に茎から出る葉の付け根部分。ハルは茎に巻き付くように派生、ヒメは茎の横からスッと単純に出ています。
⑤外来種で日本の生態系に影響を及ぼす侵略的外来種ワースト100の中に入っている植物です。日本に移入はヒメの方が早く明治初期、ハルは大正期とされています。
 被写体の生態や歴史、地理、由来などを調べる、勉強するのも写真を志す者にとっては楽しみの一つです。撮りっ放しではなく、もう一歩踏み込んでみましょう。写真に深み、厚みが加わります(増田)
 さて、上の高山さんの作品はどちらでしょうか?

【高山三良】=もう一作品

「二輪草群生」(飯綱リゾート)=5月1日
コメント:水芭蕉で有名な飯綱リゾート。道を挟んで二輪草の群生地があります。コブシ、リュウキンカ、二輪草の共演です。
講評:こちらも2枚組で、上記作品の飯縄山に隣接した霊仙寺山のふもと、いいづなリゾートスキー場脇にニリンソウ群生地があります。一面にあるものの小さな花なので結構写真にすると思うようなにぎやかさが出てこない難しい植物です。下のカットは林立する木立の中に咲くという環境を表現していますが、花が目立ちにくい感じです。上のカットは手前に主題のニリンソウ、その向こうに黄色のリュウキンカ、さらに向こうに木立があり、手前(前景)にコブシの花をあしらい、こちらは画面全体ににぎやかな雰囲気が漂っています。下写真の木立も盛り込まれているので、これ一枚の単写真で完結している気がします。

【竹内一郎】

「猫に小判?」(自宅)
コメント:アルミ缶を自家製の炉で溶解し、砂型に入れて磨きをかけました。ほかにも銅、真ちゅうも。
講評:銀ピカのバナナ、リンゴ、向こうには小判。そして右には原料のアルミ缶。立派なオブジェを自作し、そこに猫をあしらい故事来歴の諺を掛け合わせた労作写真ですね。猫にとっては、金や銀の塊は所詮金属にしか映らず、餌の方がいいに決まっていますよねー。納得!珍しい自作自演の創造作品となりました。

【中島弘】

「谷間のハナミズキ」(長野市豊野)=4月28日
コメント:小さな沢で放置されながらも堂々と咲く大きなハナミズキを撮りました。
講評:アメリカハナミズキなので在来のものではないはずです。長野運動公園の入り口交差点から西の通りで一斉に咲くイメージの街路樹ですが、この花は手入れがされていないだけにばらつき感のある花の様子が面白いですね。そして花の塊が左下から右上に点在、向こうの笹か竹のやぶの塊も点在した感じで画面全体が踊っているようにも見えます。
「菜の花にせかされて」(中野市千曲川)=4月28日
コメント:今年の菜の花の開花は1週間~2週間早く、まだ早いかなと思いつつ一台のトラクターが始動している北信濃の情景を撮りました。
講評:千曲川沿い、中野から飯山の山里に集落が点在、周辺には田畑が広がり、営々と続いてきた農山村ののどかな光景が見られます。長い冬から春が到来、菜の花が咲き、米や野菜を作る時季が今年もやって来た。年々歳々同じことの繰り返しですが、歴史を刻みそこに暮らす人々の生命感が感じ取れます。

【早川球喜】

「色鮮やかな花の競演」(長野市若穂綿内「見晴らし公園」)=5月11日
コメント:「見晴らし公園」は名前のとおり手前の長野盆地から遠くは北アルプスの山々が見渡すことができます。この公園は、「区民の憩いの場として、藤棚を創ろう!」と昭和51年に始められたそうが、今年も色鮮やかに咲き誇り、風に揺れると花が乱舞しているかのようです。
講評:もう半世紀が経過した老木一本(に見えますが・・・)が四方八方に伸び、広がった棚いっぱいに花を付けて見事ですね。ちょうど右下に咲いたレンゲツツジの朱色が共演、いい感じにまとまりました。フジの花の間に人物が垣間見えますが、分かりにくくて惜しい気がします。記念写真を撮っているように見えますが、その感じが分かると良かったかなと思います。

【広澤一由】

「鯉の川のぼり」(須坂市百々川)=5月3日
コメント:百々川を跨いで鯉のぼりが掛けられ春を楽しませている。橋と川と鯉のぼりがバランスよく収まった景観が良かった。
講評:画面下に流れ落ちる水、鯉のぼり、橋、山並みと連続した素材を遠近感を持ってまとめました。鯉のぼりがだらりと垂れ下がり無風ののどかな春の光景を切り取っていますが、ドーンと存在感のある橋脚がやや重たい感じです。むしろ除外したら軽やかな感じになったかと思います。橋は、向こうに一脚あるんでそれで賄い切れるかと。

【宮澤一成】

「ハッピーロード」(飯山市菜の花畑)=4月24日
コメント:手をつないでいるところを撮りたかったのですが、知り合って間もないのか、つないではくれませんでした。残念!                          若者よ、お幸せに。
講評:人物の配置、しぐさ、あっちを向いている男性に対しこっちを向いて「あのおじさん、こっち(自分たち)を撮っている」と言う感じの女性。ほかの菜の花と道、山並みはありきたりの光景ですが、この人物の動きに思いを巡らせるといろいろな想定ができて面白いですね。 
「かくれんぼ」(飯山市菜の花畑)=4月24日
コメント:皆さん、この人は、菜の花畑で何をしていると            思いますか?
講評:上の作品同様、菜の花畑の中に人物がいます。そして、満開の花や茎の中に隠れてしまい何をしているか分かりません。一人のようですが、さて?もう少しヒントのある位に見えてもよかったかも知れませんが、見る人に想像力を与えてくれる作品。増田の答え:写真を拡大してみると白帽子の左方向に茎の間から指が垣間見え、指の動かし方、形から察すると「写真撮影中」では?)

【吉田幹男】

「小さな幸せ」(自宅)=4月16日
コメント:写真は、4月から咲き始めたブルー系のスミレを中心に、その周りに白のつぼみのスミレを撮りました。白スミレは、青スミレの後を追うように5月中旬まで咲きます。大事な白スミレは勢力を拡大中です。
講評:望遠系レンズを使って、中央の3,4輪だけにフォーカスがきて、あとはぼかした望遠レンズの持つ特徴をよく生かした作品となりました。右側にある塊もぼけていて、にぎやかさを助長しています。自宅の庭とは思えない感じですね。