石渡写真クラブ月例会(11月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(11月)作品&講評
 ぐんと冷え込むようになり、長く続いた酷暑がうそのようです。いつの間にか、運動公園のケヤキもほぼ落葉、家並みの間から遠望できる北アルプスも真っ白。冬がそこまでやってきました。
 今回は「秋」を切り取った作品が主ですが、これからは冬のもの狙いです。写真は現場に出向かないと撮れません。寒いところは大変ですが、無理せず体調管理を整え頑張ってみましょう。
 年末年始の行事、イベントもあります。記録を含め、カメラ持参で出かけてみましょう。

 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。
※作品・講評の順番は、会員の氏名をあいうえお順に、月ごとに逆にして紹介しています。

【小池 公雄】

「秋を行く」(中野市竹原マレットゴルフ場)=11月8日
コメント:秋の日を浴びながらのんびりと、マレットに興じる人の頭上を湯田中温泉行の観光客を運ぶ電車が通過するところを撮りに行きました。プレーヤーがいませんでした。
講評:少し高い位置からずーと向こうが見渡せて遠近感、広がり感が出ました。電車の配置もいいですが、シャッタスピードを遅めにするとぶれて動きが出ました。画面全体が右下がりなので、電車の送電線支柱が垂直になるよう矯正しましょう(撮る時、もしくは後で気が付いたら加工の時)。
「朽ちて、なお」(長野市豊野石)=11月13日
コメント:老木が大きな傷口を見せながらもなお、実をつけて頑張っていました
講評:いい素材を見つけました。物には誕生があり終末が必ずあります。何が原因で倒れたのか分かりませんが、倒れてもなお根とつながり養分を吸収し、実をつけている老木に思わず「頑張れ!!」と声を掛けたくなる一作になりました。
「まだまだこれから」(長野市豊野石)=11月13日
講評:同じ木の別角度からの一枚。上の作品の方が倒れて斜めの感じがよく出ています。こちらは斜め感があまりないですが、辛うじてつながっている痛々しくも見える傷口が鮮明でショッキングでもあります。

【高山 三良】

「霧中の紅葉」(山田牧場)=10月28日
コメント:霧で何も見えないと思ったら一瞬霧が晴れて現れました。
講評:いい条件に出会い、ものにしました。まだ残る黄葉、すでに葉を落とし冬枯れの樹木、その間にシラカバと霧に包まれた高原の秋の一瞬が描かれています。霧は上がらずそのままで一枚もものにならない時もありますが、日帰りなら時間の許す限り、このような瞬間が訪れることがあるので根気よく待ちましょう。
「シーズン終わりでも」(裾花ダム)=11月6日
コメント:前日にシーズンが終わり橋は閉鎖されていました。それでもダム湖の紅葉は奇麗でした。
講評:湛水のダム湖の両岸に広がる湖畔の紅葉が見事です。右奥へと曲がる川筋の流れがリズミカルで水面の2トーンの波もバランスよくいい感じです。

【竹内 一郎】

「富士山」(静岡県焼津)=11月11日
コメント:静岡市へ行ってきました。天気が良くてよかったです。
講評:はるか向こうに富士山。やや雲が多めで分かりにくい感じですが、手前の競技場でしょうか施設、その向こうに市街地の家並み、右には太平洋とスケール満載の一枚となりました。もう少し富士山が見えていたら、望遠レンズで引っ張って市街地と富士山でまとめると、また違った感じになります。

【中島 弘】

「霧に包まれて」(鬼無里大望峠)=11月6日
コメント:バイク仲間と奥裾花峡から戸隠を走りました。戸隠へ抜ける大望峠で期待していたアルプスは姿をみせず、霧に包まれた峠道を撮りました。
講評:本来なら遠く北ア連山、右手前には戸隠西岳が紅葉の鬼無里の里山を前景に絵になる峠です。多くの作品が産出されていますが、霧で見えないとだめですね。また、挑戦してみてください。
「蜜を求めて」(長野市内)=11月13日
コメント:秋晴れの日差しの中無心に蜜集めをする蜂?を撮りました。こんな風になりたいものです。
講評:クローズアップで多輪の菊の花でしょうか、蜜を吸う瞬間をシャープに止めました。光も斜光で花の立体感がよく出ました。「蜂?」と疑問符を付けていますが正解です。よく調べないと分かりませんが、アブの可能性もありますね。間違いやすい、あやふやなものは調べて確実なものにしましょう。地名や名前など。

【早川 球喜】

「ある日のこと」(柳原文化センター)=11月3日
コメント:色々な行事等を取材しているうちに、柳原の文化ホールに辿りついたら和太鼓演奏が行われていました。特に興味が有る訳ではありませんが、偶然の出会いに、記念にと思い撮影しました。
講評:人は、ふと歩いているといろいろな光景に出会います。その中で「何かを感じる」ものがあり写真に収めた一枚。確実に写真という媒体は、その時、その瞬間を記録し残してくれます。数えきれない早川さんの人生の中で、たったの一瞬ですが早川さんにとっては一生に一度の、ある日の思い出となりましたね。

【廣澤 一由】

「遥か古代に想いを馳せて」(森将軍塚)=10月31日
コメント:長寿会の旅行で古墳を見学した。古墳の頂上で周囲を見渡すと、古代の風景に置き換えて想いを馳せた!
講評:千曲市から遠く長野市街地までの善光寺平が見渡せる旧更埴市の森将軍塚。塚の天頂部に立ってみると、「かくもよく見渡せる場所、高さに作ったものだ」とその度に思いますね。大変な年月と労力がかかったのだろうとも。そんな思いが想起される一枚です。
「山また山を越えて」(苗場山)=10月18日
コメント:延々と5Kmの「苗場ドラゴン」で、紅葉には少し早い山々と谷間を高見の見物で楽しんだ!沢山のゴンドラが連なって、まるで提灯行列のようだった!
講評:ドラゴンのゴンドラは一基とばかりに見えましたが、よく見るとコメントにある通り複数が点在していました。人間はその様子を見、提灯行列のようだと脳が判断、記述に至るわけですが、写真はその過程ができなくてありのままを映し出すだけです。人間の脳が考えたようにできるだけ近付けて表現するには、カメラの機能やレンズ特性を駆使し悪戦苦闘しなければ実現しません。そこが写真をやる面白味、醍醐味でもあります。離れて点在するゴンドラを「提灯行列」のように、にぎやかにするには、ポジションとレンズの長玉を使えば少しはそれに近づきます。が、そんな場所(ポジション)が取れるかどうか?

【宮澤 一成】

「釣れね~な」(聖湖)=11月8日
コメント:釣りの事は、よく分かりませんが、1時間ほど粘りましたが、誰一人釣れませんでした。
講評:ん?とタイトルを見て、作品を見て納得しました。右から2人目の釣り人が竿を少し上げていますが、釣果は釣り糸の先に見えません。紅葉の静かな秋日和で動きの乏しい中、わずかな竿の動きをうまく捉えています。釣り人も我慢強いが、作者も我慢強く待ってものにした一枚ですね。

【吉田 幹男】

「採りごろ」(飯綱町赤塩毛野地区)=11月9日
コメント:リンゴ採りの傍ら、朱く色づいたりんごと民家を撮影しました。朝は霧が出ていて心配しましたが、11時ごろ漸く霧が晴れて快晴の天気になりました。
講評:気持ちローアングルで意識的にたわわに実った真っ赤なリンゴを青空に浮かし空気感が出ました。背景に集落をあしらい信州北部の農山村を描き出しています。細かいことですが、害獣除けの白いネットが横長に張られ時代背景も盛りこまれました。