4人の個性派

 知的障がい者が共同で生活しているグループホームで、宿直を始めてから5年になります。週3日または4日、ホームに泊まり込んで4人を見守るのが仕事です。

 4人の一日の生活は、世話人さんがつくった朝ごはんを食べ、それぞれの適性に合った施設、たとえば洗濯工場や農園などに出かけます。夕方、帰宅すると食事をして入浴、それぞれの部屋に入ります。

 私は夜9時に出勤すると、4人が穏やかに過ごしているか見守り、朝6時に起きるよう声かけをするのが仕事です。7時に交代です。何もなければ仮眠も十分でき、楽な仕事です。しかし、世の中はそれほど甘くありません。みなさん個性あふれる人たちばかりだからです。

Aさんは、居間のテレビが一晩中、ついていないと気がすみません。だから深夜、1時間置きくらいに階段をドドドっと降りて来てテレビをつけます。その音でBさんが目を覚まして騒ぎ出します。Bさんは興奮すると大声を出したり、リモコンを投げつけたり…。こんな時はハグして「若い女性ならいいんだが…」なんてボヤキながら背中をさすってなだめます。Cさんは「恋人ができた」と自慢して、彼女のことになると話が止まりません。Dさんは全くのマイペース人間。こだわりが強く着替えだけでも20分はかかります。急がせても頑として言うことをききません。

うれしい時があります。出勤した時に迎えてくれる笑顔、帰るときにハイタッチした手を離さず、帰ってはいけないと訴える真剣な顔…。彼らから、優しく接することの大切さを教わったような気がします。みなさん、これからもお手柔らかに、そしてよろしくお願いしますという心境です。

【石渡区長:水越渉】