講演「差別を考える」を聴いて

 少し前になりますが「差別・人権侵害の要因を考える」というタイトルの講演がありました。朝陽地区の各種団体の役員を対象にした研修会で、講師は長野市役所の人権・男女共同参画課の小澤千秋さん。

 冒頭、小澤さんは「5年ほど前から部落地名総監がインターネットに掲載されるようになった。全国の被差別地区が載っており、GPSとつなげると自宅まで判明できる。それが就職や結婚に使われ差別が深刻化している。その被害を受けた人の相談がとても多い」と話しました。これには少なからず驚かされました。

 こうした差別がどのように生まれたかが、講演の主題です。小澤さんによると、江戸時代にさかのぼります。飢饉や過酷な年貢の取り立てで一揆が多発します。為政者(藩主や幕府)は支配が揺らぐのを恐れ、農民の中に被差別部落をつくり、互いに憎しみ合うようにしむけて不満をそらせました。農民の方も、人間が持つ優越意識が差別を助長したということです。そして全国の農民を地域のお寺の檀徒に登録させて「宗門人別改帳」を作成しましたが、やがて被差別地区の人たちをそれから除外して、別冊に記載するようにしたとのことです。つまりお寺も差別に深く関与したとの説明でした。

 小澤さんは、差別をしないための3か条を提案しました。差別の歴史を学び不当性を知る、差別してしまう自分を自覚する、日ごろから相手の違いを認め気持ちを理解する―です。私としては、優越感に浸りたくなる“内なる差別の心”をどう自覚して抑えていくかが小澤さんから与えられた宿題だと思っています。でも、久しぶりに難しい話を聴いたり考えたせいか、その晩は“知恵熱”が出て眠れませんでした。

 

【石渡区長:水越 渉】