石渡写真クラブ月例会(6月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(6月)作品&講評
 梅雨の晴れ間、しとしと雨が交互にやってきます。この時季ならではの被写体が花を中心に多くあります。リュウキンカはもう終わりでしょうか、まだ間に合う高原のレンゲツツジ、アジサイ、蓮、ニッコウキスゲなどなど。湖沼や高原で、水やカエル、トンボなどの動物、行楽客などの点景を工夫して撮ってみましょう。図鑑的、観光パンフレット的な写真から一歩抜け出る作品作りを。

 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【宮澤一成】

「整然と」(安曇野)=5月24日
コメント:安曇野は、県内でも田植えの早いことで有名ですが、初めて行ったので撮影場所を見つけるのが大変でした。
講評:安曇野といっても広うござんして・・・。穂高や豊科かいわいを散策するとより取り見取り、たくさんの適地があります。有名な場所としては大王わさび農場周辺ですが、どこにでもスポットがあります。わさび田や道祖神などを絡めたりするとご当地の特徴が出ます。作品は上部真ん中を起点に手前に広がりを見せる放射線構図で、田んぼの苗がいい感じで表現できました。残雪を抱いた北アルプスも効果的です。
「新緑の壁」(長野市大座法師池)=6月4日
コメント:石渡公民館の春レクに参加させて頂きました。新緑を撮影したいと思っていたところ、空に飛行機雲が現れたのでシャッターを切りました。
講評:もこもこと新緑の葉を伸ばした木々、そして青空にひと筋の飛行機雲。右には小さめですが雲がアクセントとなり初夏の高原の装いが表現できました。やや左下がりで、右側の池の水がどーっと左側にこぼれそうですので矯正を。

【広澤一由】

「初夏の鏡池」(戸隠)=6月4日午後
コメント:初夏の鏡池の様子を見に出掛けた。うっそうとした緑の木々に囲まれた鏡池とその上には戸隠連山がどっしりと姿を表し、湖面に写っていた。日差しは暑かったが涼しい風に癒やされた!
講評:鏡池といえば晩秋から初冬、紅葉と戸隠連山の初雪を絡めての作品、あるいは芽吹き、新緑の作品が定番です。過去、多くのカメラマンが同じような作品を創出していますので、類似の作品を撮ることも結構ですが、この作品のように少しタイミングをずらして狙ってみることは新たな作品を創るという意味ではいいですね。2枚とも、やや画面下が窮屈な感じです。草むらなどが中途半端なので、思い切って空部分を少なくしその分下を入れるか、ズーミングを広くして下の草むらやほとりを入れてみましょう。そして、池の命名由来「鏡」のごとく水面に上部の景色を投影する手法もあります。

【早川球喜】

「麦秋の十五夜の月」(長野運動公園)=6月3日
コメント:月は仲秋が一番美しいとされ、月見や団子をお供えする習慣がありましたが、今は初夏で時候の挨拶は「麦秋」です。そして満月でなく十五夜です。こんな月見もいかがですか。
講評:運動公園のケヤキ並木の上にぽっこりと顔を出した十五夜の月。まだ明るさが残り、出たばかりの月が郷愁を誘います。

【中島弘】

「八坂の大滝」(大町市八坂)=6月5日
コメント:何度か撮影に行ったが水のない岩壁でした。水が流れているという情報を得たので行って見ると、細い流れでしたが落差50mは迫力があります。裏側に入ることもできるそうですが、いまは進入禁止となっています。
講評:いつもはあまり水量が少ない滝とのこと。何度も出かけてやっと出会えた滝。水は細めですが高さと左右の針葉樹、落葉樹の対比した樹木が雰囲気を盛り上げています。紅葉、あるいは厳冬期の光景もいいかも知れません。水があるかどうかですが・・・。裏見も見たいですね。
「田植えを終えて」(千曲市姨捨の棚田)=6月5日
コメント:青々とした棚田を撮りたいと思って行ったが早かったようです。急斜面に棚田を整備した先人の苦労を思いつつ撮りました。
講評:そうですね。悠久の昔から先人が守ってきた棚田の形はそう変化してないと思いますが、一年の営みの中でどのタイミングを切り取るかは撮影者の考え方次第かなと思います。代掻き、田植え、稲穂、刈り取りなどなどいっぱいあります。この作品の場合は、田植えが終わり、青々と茂るまでの中間で確かに中途半端と言えばそうですね。何度通っても絵になる素材、場所なので、また足を運び先人の労苦に触れて作品作りを。

【竹内一郎】

「怖いもの知らず」(飯綱大座法師池)=6月5日
コメント:石渡公民館主催の春のレクリエーションに参加をし湖畔を散策中、若い女の子が高い所を何とも思わないのか楽しそうに遊んでいるのが印象的でした。
講評:今はやりの「ツリークライミング」でしょうか。高さのある樹木にロープを吊り下げ登降するポーツですが、大昔、我々が子どもの頃はせいぜい木登りでした。しかもおてんば娘以外の大半の女子はしなかった。そんな思いから、新鮮に映った竹内さんの気持ちが作品から伝わってきます。ハラハラドキドキ感とともに樹木の緑色の葉、青空と清涼感たっぷりの作品となりました。横位置の写真ですが、女の子たちの高さをもっと強調するなら縦位置にして上の方に配置するとよかったかも。

<縦位置と横位置>
 テレビや映画の画面は横位置なので、日ごろ見慣れているせいか、撮る人も観賞する人も違和感なく感じるのが横位置の写真です。
 しかし、被写体によっては縦位置にした方がより効果的なものがあります。例えば先の4月の例会発表の中で解説した「最短距離」の作例写真。樹木は概して下から上へと伸び、まとめるには縦がいいかと思います。あるいは滝。上から下へ流れ落ちる水、落差(高さ)を表現するにはやはり縦かと。ただし、次の中島さんの「八坂の大滝」のように周辺の環境を入れ込むと横位置という事もあり、一概には論じられない部分もあります。
 そこで、どちらがいいかという決断は後回しにして、撮る段階では以下のようにすることを心掛けてください。まず被写体と向かい合ったら素直に心が動いた「位置」でシャッターを押しましょう。そして、近づいたり、遠のいたり(レンズのズーミングもあり)、右に寄ったり左に寄ったり、高い場所から低い場所から、フレーミングや立ち位置を変化させながら納得いくまで撮りましょう。
 液晶画面で確認しつつ「よし!」ですが、これからが私の言いたいことです。納得いく最初の画面が横でしたら縦、縦でしたら横。つまり反対の位置でもう一度ファインダーを覗き撮影をしておいてください。その位置ではまとまらないなあと思っても一枚でいいです。逆位置のコマを残すよう心掛けてください。
 場合によっては、撮りながら縦を撮ったり、横を撮ったり、また縦、横・・・ということもあり得ます。
 そして、最終的にはデータを整理整頓、保存。再度コマを見ながら作品選びをしますが、そこでもどちらが見る人により効果的なインパクトのあるのはどちらか選んでください。

【高山三良】

「ユリノキ」(長野運動公園)=5月14日
コメント:運動公園には何本かのユリノキがあります。こんなに可憐に咲いていることに気づいている人は少ないです。
講評:石渡八幡神社西隣のトラックの周りでしょうか、背景の照明塔から推察できます。背景は主題のユリノキと重ならないようにうまく配置、環境が分かります。葉の中をよく見ると、黄色い花がポツリポツリと見えますが、花の時期は短く確かに花がないと何の木か分からないでいる人が多いですね。
「俺様の縄張りだ」(長野運動公園)=5月25日
コメント:早朝、鳩がエサをついばんでいるところへカラスがズシン。一斉に飛び立ちました。ほとんどの鳩の顔が見えています。スズメも。
講評:いい瞬間を止めました。こっちを向いているようにも見えるカラスは脚を踏ん張り高山さん(撮影者)を睨みつけているように見えます。そして、侵入者から逃げた瞬時のハトたちの頭部にきちんとフォーカスがきていながら、羽はぶれて動感が出ました。よく見ると、飛び立たないハトやスズメ(手前中央下ぎりぎり)もいてユーモラスな一面も合わせ持った作品です。

【倉澤利和】

「脱走」(自宅庭)=5月30日
コメント:近所に蜂蜜を作っている方がおられ、巣箱から出た女王蜂を追いかけて庭の松に群がってきていました。
講評:珍しい光景が、まさか“我が家”に。よく気が付いてカメラに収めましたね。女王バチはどれか分かりませんが、群がる働きバチが圧巻です。ハチと松だけの単純化した素材だけですっきりした作品となりました。