言葉と記憶力

  お酒が飲めません。ビールならコップで1杯目はなんとか、2杯目になると頭の中で除夜の鐘がゴーンゴーン、3杯目は半鐘がカンカン鳴り出し、4杯目になると胃の中のマグマ(?)が噴出するという下戸です。だから酒席が怖い。

 ところが区長になるとその恐怖の酒席が増えました。いつも断るわけにもいかないので、4月早々初めてスナックに…。みんなグイグイ飲んでいるのに私だけウーロン茶。ママさんに「お酒を飲まなくてすみません」と謝ると、返ってきた言葉が素晴らしかった。「無理して飲まなくていいんですよ。飲めない人に悪い人はいないといいますから」。

 50年前の学生時代、当時コンパが流行っており、ガールフレンドといきました。スクリュー・ドライバーなんて強いカクテルを見栄を張って飲んだところ、案の定、胃の中のマグマが噴出。彼女が耳元でささやきました。「水越くんって弱いのね。駄目ね~」。お酒に関してのトラウマとなって今でも胸の中に生きています。

 そんな私にとって、ママさんの優しい言葉は本当にうれしかった。しかも先日、配りものを届けた際、ママさんに「水越さん、忙しくて大変ですね」と言われたんです。何が驚いたかといいますと、1カ月も前、ほんの一言あいさつしただけなのに私の名前を覚えているんです!。私なんか何回聞いても人の名前を覚えられないのに。優しい言葉と素晴らしい記憶力…。尊敬すべき女性がまた1人、増えました。

【石渡区長:水越渉】