石渡写真クラブ9月例会写真集

<五十音順に掲載>講評は石渡写真クラブ:増田今雄講師
作品の下に、「タイトル」、<撮影場所>、(講評)の順に掲載
*写真をクリックすると大きく鮮明に見れます。

1.池田 治雄

「夕暮れ時の千曲川」 <村山橋から>
(きらきらと一面に光る水面を前景に、河川敷内の樹林、重なる山々の向こうに姨捨山。遠近法で奥行きを表現しています。ワイド四つ程度に横長ですが、加工方法は2点。一つはさらに天地をもう少し詰めてパノラマ風にトリミング。もう一つは、幾重にも重なる山々を中心にアップ気味にトリミング。それぞれがこの作品と比べると別の感じを見る人に与えます。
 撮影した写真(コマ)は、撮った時点の自分の思い描いたイメージ通りにトリミングをしますが、時として、上記2番目のトリミングのように、まったく別のイメージの作品に仕上げることもあります。このトリミングという作業では、被写体を見つけ、レンズを選び、ファインダーをのぞき、フレーミングやアングルを決めシャッターを切るという一連の撮影時点にフィードバックして勉強になります。つまり、「こうやってトリミングしたらこんな作品になった」ということを元に「撮影段階で“トリミング”をしておけば」ということにつながります。)

2.笠原 美敬

「珍しい青いけしの花」<竜王山頂>
(ヒマラヤの高山に咲き「ヒマラヤの青いケシ」として有名ですが、大鹿村や白馬岩岳などでも栽培されていますが、国内では自生しない珍しい植物です。中央の上に咲く一輪を中心にバランスよく配置し、ブルーの色彩もきれいに再現されています。ただ、バランス優先で選んだアングルなので仕方ないのかとも思いますが、背景の壁が人工的で無粋な感じがします。できれば、自然の雰囲気を表す背景を選んだ方がよかったと思います。あるいは、思い切って背景に壁を白一色にして建物を感じさせない工夫をするという手もあります。)

3.萱津 信子

「若穂の丁史」 <若穂川田 領家>
(面白い素材をみつけましたね。その時々の改良工事とか家並みの建て替えとかさまざまな理由で、取り残された石碑や祠。かといって粗末にされず、大切に現代まで保存されてきた悠久の時代の流れというものを感じさせてくれます。背景の白壁の建物にマッチし、水平垂直のバランスもとれ安定感があります。惜しむらくは、おそらく左右に道がある三差路かなと思いますが、もう少し引いてその感じが出ると、さらにどこかに“現代”を入れ込むとぐーんとグレードがアップしました。)

.倉澤 利和

「二羽で大空へ」 <南掘>
(ダイサギが二羽、飛び立つ光景をピントよく捉えました。押し寄せる住宅街に抵抗するように?続く稲作の田んぼ、黄金色の稲が今の時代を記録しています。よく見ると、稲穂の上に学童が2人いますが、もう少し分かるようなアングルだといいアクセントになりました。)

.高山 三良

「おじばんフェス」 <Mウェーブ>
(おじさんのバント演奏のフェスティバルという意味でしょうか。高齢者健康づくりフェスの様子を全景、セミロング、アップの組み写真でまとめました。各地から参集のようすがゼッケンの地名で分かり、にぎやかさが出ました。やや近づいた演奏シーンで、男性に交って女性の混成が分かり、中央のアップ写真は、演奏に合わせて歌う参加者の表情を表現。全体から会場全体の雰囲気がよく伝わってきます。各写真の境目をもう少し分かる色の線で区切った方が見やすいと思います。)

6.中島 弘

「オーイ、きもちイイカ」 <上越水族館>
(上越の水族館とのことですが、イカの群れでしょうかブルーが印象的で並びもバランスよく、右上から左下へ斜めの構図がいいです。アクセントになったシルエットの子どもの揚げた腕、斜めの身体も躍動感を表現しています。ただ、イカの調子がややハイキー過ぎなので、もう少し調子を出した方がいいと思います。)

.早川 球喜

「晩夏の黒姫山」 <信濃町 野尻湖>
(野尻湖を手前に黒姫山の山容を捉えた作品。一艘の釣り船をあしらい湖のスケールを、湖岸端の家並みを入れ山の大きさを対比的に表現できました。中腹、山頂付近、空と三段になった雲の層、雲間からちらっと垣間見える山腹と右下がりに伸びる稜線がバランスよく配置されています。絵画を思い起こす一枚となりました。
写真は、快晴、晴ればかりではありません。旅行でもイベントでも何でも雨が降らないにこしたことはありません。が、こと写真に関しては「あー、今日は晴れてよかった」では、あまりいい写真は望めないと言っていいでしょう。むしろ、ざんざんぶりの雨、音もなく降りしきる雪、ビュービューと叩きつけるように吹く風など、通常あまりカメラを取り出してシャッターを押さない条件の天候の方が傑作が生まれる確率は高いと思います。これから冷え込みが増した早朝、山合いに立ち込める霧、そこに差し込む朝日・・・。どんな条件でも、どん欲に自分のイメージ、創造を追い求めてシャッターを切る、そんな姿勢を持ち続けることが大切です。)

.廣澤 一由

「黄・みどりの風景」 <黒姫高原>
(黒姫高原の黄色のコスモスと裾野から野尻湖、斑尾の山腹とスケール感が出ました。ほぼ二分割にした構図でまとめましたが、上の光景が「みどり」とはいえ新緑や紅葉などの色彩感に乏しくやや寂しい。黄色の中に数本背丈の高い株がありますが、ぼかしつつ上半分の「みどり」の中に配置するとしゃれた感じになったと思います。あるいは、思い切って下の黄色を三分の二以上占める三分割構図にすると「黄」主体のまとめ方ができたと思います。)

.吉池 安雄

「水に映せり我が美貌」<東和田運動公園>
(ほぼ毎日目にしている運動公園の光景。さりげない「物」でも、よく観察しシャッターを切る心構えには脱帽です。フェンスに絡みつたアサガオの花が少しそれた感じで水路の上で存在感を誇示している。「そうか、お前は自分の美貌を水鏡に映して・・・」。花の心をよく汲み取ってまとめた作品で、フレーミング、構図、タイトルもうまい。)

<HPへの掲載担当:広沢 一由>