石渡写真クラブ月例会(3月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(3月)作品&講評
 作品&講評のHPアップは遅れましたが、早くも新年度4月です。例年にないスピードで花々が開花。運動公園の桜も見ごろ、写真になります。例年の一週間から10日早めといいます。
 桜前線が北上すると、新緑の季節。コロナも何となく収束へ向かいつつあります。感染予防に気を付けながら、野に山に、出かけましょう。(4月1日)

 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【高山三良】

「あかり」(アクアウィング南)=2月22日
コメント:月と近くで明るく輝く二つの星(金星と木星)を撮りに出かけました。道路から月を狙うとヘッドライト、街灯、信号、月、星がデコレーションのように輝いていました。
講評:身近なところで題材は宇宙。想像、時空を超えた素材と、目の前の現実をうまく組み合わせました。そのキーワードが「光」。タイトルは「あかり(灯り)ですが、下部のヘッドライトが水平に、そして右下から左上に斜めに街灯を配し、その上の闇の部分に月と星。ロマンを感じさせてくれます。惜しむらくは、月が街灯の延長線上、つまりもう少し上だとバランスよくまとまったかと思います。
「月とカラス」(附属中学校北)=3月6日
コメント:カラスが木にとまっていました。逃げないでと祈りながら近づき月を絡めた写真を撮ることができました。山も入れたくて小さくなりました。
講評:「月落ち烏啼いて霜天に満つ。・・・」。古代中国の詩人が詠んだ漢詩を連想するかのような作品。樹木をシルエットに1羽のカラスと満月を隣り合わせて作画、シンプルにまとめました。月はもう少し左の方がよかったかな、とか、背景が朝焼けか夕焼けの淡いピンク色だともっと臨場感が出たかな、といろいろ欲が出てくる作品。もちろん、これはこれで「詩」を連想させる質素な感じが満点の作品です。
「啓蟄翌日」(運動公園)=3月7日
コメント:三月の満月をワームムーンと呼びます。日本では前日が啓蟄。虫が動き出すのは世界中一緒なんだなー。
講評:月がテーマの3作目ですが、ワーム(虫)を絡めた呼び方をすることは知りませんでした。ちょうど虫がはい出るころを差す「啓蟄」に合わせるかのように出た満月を、由来の意味を込めて撮影しました。志賀高原の横手山頂からやや左にあるのは坊寺(ぼうでら)山でしょうか、付近の山稜からポッコリ出た満月が迫力満点です。タイトルはそのものずばり「ワームムーン」の方がよかったかと・・・。

【中島弘】

「春開幕」(松本城)=2月28日
コメント:奥の常念岳はまだ深い雪の中、里は気温上昇と共に春が近づいている。スタッフの慌ただしさと客を迎えるワクワク感を捉えました。
講評:真っ青な空や公園内の樹木の雪つり、侍姿のお城の観光客を迎えるスタッフの動き、残雪の北ア常念岳。やってきた春を感じます。
「望郷」(安曇野市犀川)=2月27日
コメント:4カ月にも及ぶ越冬生活も終わりに近く、北帰行を控え故郷に思いを馳せる雰囲気を撮りました。
講評:長い冬を過ごし、ぼつぼつ故郷に帰る時季のコハクチョウ。故郷に帰ると大変な子育てが待っている。でも、いつまでもここの留まることは許せない。そんな想いを抱きながら、旅立ちのタイミングをじっと待つコハクチョウの思いが伝わってくるようです。

【広澤一由】

「北アルプスのぞき見」(千曲川右岸(村山橋鉄橋)の堤防)=2月9日(立春)
コメント:朝日山と葛山の谷間から北アルプスが見え、日本の屋根とのコントラストが絶景でした。
講評: 北アルプス、不帰の嶮から八方尾根の天頂部唐松岳の雪を抱いた稜線とわが故郷の善光寺盆地を手前に望遠レンズでうまくまとめました。左下には石渡区に隣接するアクアウイングを配し、親近感があります。撮影場所は千曲川右岸ですが、村山橋や屋島橋、小布施橋などの橋をつなぐ右岸沿いの堤防をぶらつくと手前の長野市街地の光景と北アを絡めたショットがいい感じで撮れます。これからは堤防沿いの果樹園や川沿いの野鳥、菜の花などなどほかの被写体も転がっています。春を堪能しながらカメラ片手に・・・。
「仲良く遊ぼう!」(吉田辰己池)=3月1日
コメント:辰巳池の野鳥を撮ろうと出掛けたが、なかなかシャッターチャンスに恵まれず・・・やっと撮れた1枚だった。不満足!!
講評:フォーカスが合ったアオサギは向こうへ飛来、後ろ姿。池の上のカモも少なくおっしゃる通り中途半端な一枚かと思います。確かに辰巳池の野鳥はいっぱいいるものの、カモ類は動きが単調。たまにカワウなんかもいることがありますが、これまた枯木の上でじっとしているだけ。時折、アオサギやカワセミなどが飛来しますが、なかなか遠かったり、このように反対方向に飛んでいったり。動物はいうことを聞きません。思うようなショットをものにするにはやや難解な被写体です。しかし、それだけに「やりがい(撮りがい)」があります。体力、気力と相談しながら早朝に行って見るとか、よく観察して鳥の習性をよく知り対応する事からスタートです。頑張ってください。その代償としていい写真が撮れた時の喜びは格別です。

【宮澤一成】

「春の予感」(安曇野市御宝田)=2月28日
コメント:山の雪解けも進み、春間近になっているのに、北帰行を始めないコハクチョウたち。
講評:のんびりとした風情のコハクチョウ越冬地旧明科町の犀川河川敷の「御宝田」。「春は名のみの風の寒さや・・・」の早春譜を思い起こす1枚です。写真は静止したものなので、風は写るべくもなく感じませんが・・・。北帰行の始まりはどうやって分かるかというと、朝一で毎日カウントする生息数がガクンと減り北帰行の始まりを認知するそうです。北方向へ飛んでいくので、春一番、つまり南風が吹いた夜中に群れが一つ、二つ・・・。人知れず去ってゆくとのことです。
「春の匂い」(富竹)=3月6日
コメント:畑にオオイヌノフグリが咲き始めました。そろそろ畑仕事の始まりです。
講評:日だまりで早くも咲き始めたオオイヌノフグリ。望遠系で右代表の花一輪を中央に配置した「日の丸」構図。周辺をぼかし視線を誘導する手法です。これから、ホトケノザやナズナ、スギナ、タンポポなど雑草と呼ばれる植物が数多く群生し花を付けます。昭和天皇は「雑草といってもちゃんと名がある」と慈しんだという雑草ですが、よく注意して観察、レンズ、アングルを工夫、朝露や昆虫を付加価値としてあしらうといいショットが撮れます。

【花の撮影】=以前の記事再掲です。
 花は撮影適期の情報を得て出掛けますが、早かったり、遅かったりすることもあります。タイミングよく満開であったとしても花の撮影は、花をいかに引き立たせるかが成功のカギです。群落なら花の周りの状況、さらに離れた山々、空、雲などの遠景。そして、一帯に差し込む陽光の状態、背景処理。もっといえば、霧や雨、水流なども格好の引き立て役となります。
 群落でなくても花には、昆虫や両生類などが寄ってきます。くれぐれも図鑑の説明調な写真にならないよう、自分の感性、想い、考え方を移入していきましょう。
 もう1つのキーポイントはレンズ選択と絞り。ズームレンズの中望遠系やマイクロ(マクロ)レンズ、あるいはほかのレンズでも絞りを開放値近くにすると、背景や前の物が微妙にぼけて写真(望遠レンズ、マイクロレンズ)ならではの世界を表出します。  
 花は美しいです。が、「ああ、きれいだなー」写真で終わるのではなく、自分なりに感じた、工夫したオリジナルな作品作りに挑戦してみてください。

【吉田幹男】

「さいたさいた」(自宅)=3月4日
コメント:一昨年の暮れに、正月飾りにと頂いたサクラの切り花が見事に咲きました。葉が落ちないので養生すると発根し、鉢に移すと今年も咲いてくれました。
講評:桜の花ですが、挿し木から根が出た鉢植えとのこと。室内でしょうか、まだ3月というのに早くも開花。たったの数輪ですが、このようになるまでの経過がコメントにあり、作者と共に生きてきた生命の不思議、喜びみたいなものが伝わってきます。写真的には、やや主題が小さめなのでトリミングしてみました=写真下。