石渡写真クラブ例会(12月)作品、講評

石渡写真クラブ月例会(12月)作品、講評
 年を越してしまいましたが、昨年12月の例会作品の紹介、講評です。ここにきて、新型コロナも新たな展開に入り、出口がなかなか見えません。感染をしない、させない努力をしながら、作品作りに出かけてみましょう。そんなフィールドを、被写体を探すのも楽しみの一つと言えます。
 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【高山 三良】「赤銅色求めて」(自宅)
コメント:部分月食最大を撮影(上)して、月食が半分を過ぎた頃、レンズの贈り物が現れました(下)。
講評:部分月食を上下の2枚組みにしています。上下二枚の写真の境目がないので、欠けた月が複数あるようにも見え、それがかえって見る人に「おやっ?」あれっ?」といった興味をそそります。さらに、下のカットにはこの前話しましたレンズのフレアのいたずらでしょうか、周りを取り囲むようにいっぱい見えて、興味をさらに深めています。

【中島 弘】「採り入れのあと」(長野市)
コメント:今年の収穫を終わり、冬に向けて慌ただしく後始末をする田園模様を撮りました。
講評:刈り取りの終わった水田に、ロール状の稲束がころころと無数にありアクセントとなりました。ただ、稲束の群落がやや遠く、小さく、写真を大きくプリントすると分かりやすいですが、小さめですと分かりにくい。半切以上のサイズをお勧めしますが、稲束をもっと望遠レンズ(ズームレンズ)で引きつけるなり、あるいは自分でもう少し近づいて画面の中に占める割合を増すと、主題が明確な作品になると思います。

【早川 珠喜】「晩秋の彩り」(長野市若穂清水寺)
コメント:新聞の紅葉が見どころの記事に誘われて、訪れてみました。何回か来ていますが、今年の紅葉は何となく違う印象をうけました。境内へ入ると、杉の木の間に赤、黄色の彩りが現れ、大勢の人々が❝紅葉狩り❞と言うか見物しておりました。木々から漏れる光の浴びた紅葉も素晴らしいのでが、今回は紅葉の下に集まる(群がる)人々にスポットを当てて見ました。
講評:コメントの「群がる」という形容詞がぴったりと当てはまる見物人の多いところをシャッターチャンスよく切り取っています。周りを囲む紅葉や手前の常緑樹もにぎやかな感じで、人々を迎え入れているように感じます。何かざわめき、人々の感嘆の声が聞こえてきそうです。やや全体に調子がアンダー なのでプリント、作品化する前にやや明るめに加工してください。

【原 芳幸】「今昔」(長野運動公園)
コメント:紅葉にひかれ早朝の散歩にゆく。かまぼこ型が面白い、アクアウイングがバックに見えた。20年前の五輪に想いを馳せ懐かしむ。若かったなあ…。
講評:散歩中に見つけたかまぼこ型のツツジの低木。呼応するように同じような形のアクアウイング。面白い場所、物を発見しましたね。かまぼこ型がぽんぽんと並びリズム感があり、その向こうの建物も溶け込むように同じ形で銀色に反射した感じが印象的です。

【広澤 一由】「初冬の木立」(長野運動公園)
コメント:公園に昨夜早くも積雪が!撮影時には解けてしまい残念だったが、微かな木漏れ日が惜しみゆく初冬の木立を照らしていたのが印象的であった!
講評:微かな木漏れ日が・・・。写っている陰から推察すると、お天道様はカメラのレンズが向いている方向とは逆の、つまり完全逆光の光景です。ヒマラヤ杉でしょうか、幹も暗くつぶれやや重い感じです。その木立が主題かも知れませんが、ふと画面の左上にきらきらと光る黄色の葉が・・・。逆光の効果で、わずかに秋の名残を感じさせてくれます。地面の落ち葉も沈みがちなトーンなので、思い切って光る黄葉を生かしトリミングしてみました(下写真)。

【宮澤 一成】「冬、間近」(屋島橋)
コメント:街路樹の葉が全て落ち、奥の山はうっすらと雪模様、もうすぐ本格的な冬がやって来そうです。
講評:暖冬傾向とはいえ雪を抱いた東方の峰々。左には葉を落としたイチョウ並木でしょうか木立が並ぶ。近景、遠景をうまく取り入れて作画できました。ただ、屋島橋は造形的なアーチでやや遠いのであまり気になりませんが、右の街灯の直立は前の方にあるので目立ちやや無粋な気がします。トリミングしてみたら、さしたる影響もなくすっきりした感じになったと思いませんか?(写真下)

                                 

 

【吉池 安雄】「水たまりに映るアクアウイング」(長野運動公園)
講評:吉池さんのフィールド、運動公園の朝の光景。11月下旬というのに水たまりが陸上競技場前にでき、水鏡に映るアクアウイング。まだ余韻が残る朝の雲が効果的です。車止めが気になるといえば気になりますが、これも長い目で見ると今日性と言えますね。

【吉田 幹男】「初冬の妙高山」(飯綱町四ツ屋)
コメント:天気になる日を待って撮影に出かけました。一茶が奉公に出るときに父親と別れた一里塚の三本松付近で撮りました。講評:収穫の終えたりんごの木が、後は葉を落とすばかり。妙高の山頂には、冬将軍の雪が冠雪、北信濃の初冬のたたずまいを表現しています。画面のほぼ半分で横に分割した二分割構図で安定感のある作品です。ただ、欲を言えば上の青空部分がブルー一色で何か雲とか鳥とか点景が欲しいかなとも。左手前に2本直立した枝は効果的です。もっと長めに取り入れると効果倍増!