4月月例会作品

<五十音逆順に掲載>講評は石渡写真クラブの増田今雄講師

作品の下に、「タイトル」<撮影場所>(講評)の順に掲載

1.吉池 安雄(3点)

「娘十八」 <東和田運動公園>
 タイトルからストレートに意味が伝わる作品です。今にもハチ切れんばかりに膨らんだ桜のつぼみをクローズアップでまとめ、娘さんに見立てました。中央のつぼみにフォーカスを合わせ後はぼかしたところは見る人の目を誘導してくれます。ぼけてはいますが、背景の斜め横にある太い枝は余計です。

「平和な世でありますように」 <屋代駅前>
 少女と少年が踊りと音楽を奏でる彫像。タイトルは、この彫像からヒントを得たものでしょうか、辛うじて平和の象徴のハトがいて「平和」と結びつきますが、やや難解なタイトルのような気がします。背景の町並みが中途半端で、もっと入れ込んで環境を分かるようにするとよかった。

「孤独を楽しむ鳩」 <東和田運動公園>
 たかがハト。されどハト。単純に木の枝に止まっているだけの写真ですが、下から順に太くなってゆく枝がリズム感を生み、シルエットにしたところとグレーの背景のトーンが「哲学的」な印象を与えてくれる作品になりました。

2.広沢 一由(3点)

「桜の下からの眺望」 <東和田運動公園・サブトラック>
 二分割構図でまとめ非常に安定しています。が、ややおとなしい感じがします。少しアングルを上にして桜を画面の半分以上占めるように(三分割構図)すると、主題が明確になってきます。

「満開の桜と残雪の菅平」 <東和田運動公園・サブトラック>
 この作品も、少し空の部分が多く無駄なので、今度はアングルをもう少し下げて空の空間を減らした分、桜をボリュームいっぱいにしましょう。さらに、レンズを少し左にし、菅平の手前の山の右端ぐらいでカットすると、もっと主題の桜、菅平がすっきりとします。

「満開の桜の下で」 <東和田運動公園・サブトラック>
 こちらは、桜の下で馬乗りでしょうか?動きのあるいい被写体をいいタイミングで捉えています。せっかくの被写体を生かすには、思い切って左部分をカットしズーミング、トンネルの中にいるように撮るとぐんとグレードアップします。

3.早川 球喜(3点)

「湖畔の桜並木」 <須坂市 臥龍公園>
 満開の桜、水面に垂れさがるような枝ぶりがいい感じです。東屋や花見客のアクセントも入れて工夫していますが、右上のガードレールが少し苦になります。もう少し一行が歩を進めたところとし、少し右をカットするとガードレースが少し減り、主題の桜が迫力を増してきます。

「一本でも華やかなり」 <須坂市 臥龍公園>
 今度は、やや引いた全景です。上の作品に比べると、主題の絞り込み、つまり何を表現したいかが少し曖昧な印象です。「あれもこれも・・・」という感じがしなくもないですが、思い切って上と下を大胆にトリミングし、横長作品にすると意外と見る人に「おやっ」という感じで見てもらえます。

「湖畔に寄り添う古木」 <須坂市 臥龍公園>
 もう一度、主題を絞った作品になりました。一番目より、「垂れ下がった桜の感じ」を表現したかった意図が伝わってきます。アクセントとして入れたボートが、多分来た瞬間を「しめた!シャッターチャンス」と撮ったと思いますが、ややうるさい感じがします。かと言って何もないと寂しい。絞りを工夫して、もう少しぼかす工夫をしてみてください。それと、上の方の画面を横切るガードレールはアングルを下方にずらすことにより画面からはずれ、すっきりします。

4.中島 弘(3点)

 「いにしえの勇姿」 <長野市川田>
 左右対称のシンメトリック構図でまとめ、中央に“鎮座”する電車と左右から手前に広がりながら迫ってくる線路が印象的です。長い間人々を運んだ電車と線路、今は廃線となりゆっくりと休んでいる光景が、人の一生とも重なり感慨深い作品となりました。

「サイクリング」 <長野市松代>
 菜の花かハルザキヤマガラシか、堤防に咲く黄色の花を主題に、取材の足となった「自転車」をアクセントに、タイトルとともにまとめました。よくある絵は、堤防上を散歩の家族連れとかカップルなどをあしらうことが多いですが、それを待つ時間が・・・。

「花よりおしゃべり」 <千曲市森>
 アンズの花の木を手前、右と左、奥に配置し、奥行き感を出しました。暗めの背景で花が浮きでました。アクセントに入れた2人連れの花見客をもう少し手前、できればこちらに向かって来るシーンだともっとよかった。

5.田川 晴琉(3点)

「休まず働く電車たち」 <東京都内>
 上にも下にもある都会の混み入った線路とほぼ絶え間なく動いている電車を捉えました。次々と往来する電車を2台が重なるようにタイミング良くシャッターを押しています。自分が考えて表現したかったことをまとめています。

「初めて乗った東京メトロ」 <東京都内・東京メトロ>
 地下鉄の暗闇からぬーっと出てきたのか、逆に暗闇に消えてゆくのか、黄色い電車と宣伝のお姉さんの対比が面白いですね。できれば、都会の人たちが入るともっと写真に都会の“味”が出ました。

「名所が2つ」 <東京・浅草>
 浅草寺と東京スカイツリーの両方を入れて、東京の名所を一枚の写真の中に収めました。古いものと新しいものを対比することで、日々、どんどん生まれ変わっている東京の人たちの生活の息吹を感じさせてくれます。

6.高山 三良(3点)

「花」 <自宅・花壇>
 盆灯籠のような円形の花を真上からのアングルでうまく捉えています。左上にある花芯の下の部分が黒っぽく抜けた数輪がすっきりとした感じで、この部分をもっとアップにしてまとめるともっとさらに印象的な作品になりました。

「獣避」 <須坂市>
 現代の生物の生態系と農業を取り巻く環境、問題を端的に表現した報道写真といえます。高い位置からのハイアングルで、ぶどうやリンゴ畑と思われる耕作地をぐるりと囲んだ柵がパッチワークのように分かりやすく捉えられ、隣接する民家や山を入れて奥行き感も出ました。

「春花共演」 <石渡>
 待ちかねたように一斉に伸びた春の草花。足元の身近なところに主題を見つけ、うまく切り取りました。スミレの紫を中央に、取り囲むようにタンポポやツクシ、これから花を咲かせるクローバー、ジャーマンアイリス・・・。にぎやかに表現できました。

7.倉澤 利和(2点)

「そらとひめ」 <自宅>
 まあ、何と犬と猫が仲良く、気持ち良さそうに眠っているではないですか。何を夢見ているのか・・・。今でも始まってしまいそう?な第三次大戦を起こそうとしている人たちに見せてやりたい。「平和っていいな・・・」。作者の思いがレンズを通して伝わってきます。

「桜とライオン」 <長野市城山公園>
 桜と銅像のライオンだけをモチーフにまとめました。なぜ、ここにライオンの像が置かれているか意味はよく分かりませんが、色調もほぼ2色とシンプルでライオンの存在感が際立ち、公園とは思えない雰囲気を醸し出しています。

8.萱津 信子(3点)

「マラソン日和」 <石渡八幡神社>
 ややワイド系レンズでしょうか、手前がデフォルメされて桜の花もぼてっとしないで青空を背景にすっきりした感じになりました。ただ、ワイドの分、向こうのものがさらに向こうに小さくなってしまい、お守りシールを配布している光景が少し小さくなってしまい、無事完走のシールを配る「マラソン」の部分が分かりづらくなってしまいました。

「裏も見て下さい」 <旭山のカタクリ>
 カタクリは誰がどう撮ってもカタクリ。群落を前に人とは一味違うオリジナル作品に仕上げるには相当の眼力と技術など経験が必要です。そんな中で、面白い素材を見つけましたね。鏡の中には、カタクリの咲く環境の林が写り込んでいて画面の下で逆さまながらも奥行き感が垣間見えていいです。

「私の好きな場所」 <東和田運動公園・サブトラック>
 二分割構図で画面が無駄なくまとめられています。横の構図ですが、手前のアンツーカの斜めのラインがリズム感を演出、一斉に咲いた花や芽吹きを入れ、さらに向こうに残雪の飯綱山、霊泉寺山がどっしりと構え遠近感が出ました。

9.笠原 美敬(3点)

「雨に降られた比叡山延暦寺」 <延暦寺>
 小雨に煙る寺の様子がムード満点に捉えられています。点景の人物のあしらい方(位置やしぐさ)と画面全体が左下がりなのが苦になります。癖かも知れませんので、直していきましょう。私も、その傾向があります。なかなか、直りません。

「工事中で残念だった!」 <延暦寺 根本中堂>
 「せっかく訪れたのに工事中とは・・・」という心情を作品にしようと収めたところがいいです。何でも撮ってみようという心意気でこれからも頑張りましょう。右下に「撮影」の文字がちらりと見えますが、「撮影禁止」?でしょうか。寺の中でなく、工事の部分なら問題なし?とも思いますが、いっそのこと、もっと下の部分を大胆に入れ、上の方にちらっと見える変なもの?を削ると、タイトル通りの作品に迫れました。

「琵琶湖よりよく運んだものだ」 <京都 南禅寺>
 明治時代に開通した水路が威風堂々とお寺の境内?を横切っている様子がよく分かります。できれば、右の赤い傘を持った人物が、アーチの下かその向こうの階段あたりに配置できるともっと芸術性が増しました。下のコンクリートと上の部分をトリミングしてカット、横長の作品にすると見栄えがします。

10.池田 治雄(2点)

「ついでに参拝」 <石渡神社>
 先に出た萱津さんの桜とほぼ同じアングルですが、満開の桜を画面いっぱいに入れたところがいいです。春夏秋冬の八幡神社の桜を組み写真にする構想の中の一枚とのことで、組みの仕上がりのサイズや並べ方を今から考えて、残る「夏」をうまく切り取ってみましょう。

「桜の木の間から」 <東和田運動公園>
 広澤さん、萱津さんに続く運動公園サブトラックの桜を主題にした3作目。それぞれに違った表現で見比べてみるとそれぞれの感性が出ていて興味深いですね。手前の桜から続く向こうの桜の間にぽっかりと飯綱山。遠近感を出した構図はいいですが、山の周辺の雲がもう少し少なく(自然現象なので仕方ない部分あり)、手前の桜の花も光線がもう少し当たるともっとグレードアップしました。

【担当:広澤一由】