平成29年8月月例写真

<五十音逆順に掲載>講評は石渡写真クラブ:増田今雄講師

作品の下に、「タイトル」、<撮影場所>、(講評)の順に掲載

1.吉池 安雄(2点)

「祭り」 (ねぶた展示場:青森市)
(講評:出番前の倉庫でしょうか、勇壮なねぶたの大きなはりぼてを背景に記念写真を撮るところをパチリ。踊り手とその家族か知人たちでしょう、Vサインで納まり、これから始まるお祭りの雰囲気を楽しもうという高揚した気持ちが伝わってきます。手前のカメラマンの編み笠のカラフルさも主題を助長しています。)

「虫たちの会話」 (自宅) 
(講評: くいの先端に静止するカミキリムシ。その左下にアシナガバチ。小さな生き物をよく見つけ、写真に収めようとしたことが素晴らしいです。そして、そこに虫たちが話を交わすように感じたツーショット、タイトルもいいですね。いろいろなことを想像させてくれる1枚です。)

2.広沢 一由(2点)

「アムール河に沈む夕陽」<ハバロフスク:アムール河展望台>
(講評:川面に沈む夕景をきれいにまとめました。できれば、もう少しアングルを高くして夕日の筋を長くするのと、人物をもう少し左に寄せ、もうひと回り小さくするとスケール感がもっと出ました。)

「噴水で遊ぶ少女」 <ハバロフスク:レーニン広場>
(講評:少女が交差する瞬間、それぞれが泡を手にしたり、ボールに向かうアクションも明確でいいです。惜しむらくは、右奥も噴水だそうですが、ややスケール感に欠けるので、右に寄り(自分が)左にある噴水を思い切って多く取り入れた背景にすると主題にぴったりの構図になりました。)

3.早川 球喜(2点)

「我が家のインパチェンス・ベコニア」 <自宅>
(講評:赤い花が数輪ありますが、ほぼ平面に並ぶので、写真に“味”というかアクセントが出てきません。もう少し並ぶ花びらを前後のものを探すか、絞りを工夫してどれか一輪にピントを合わせ、後はぼかすなどの工夫を。

「夜景」 <JR長野駅前>
(講評: 長野駅前の夜景を表現しています。三脚を立て、通り過ぎる車を流し撮りにして流動感を出すことに挑戦。どのくらいシャッターを開けるか、絞りはどのくらいかなど露出決定に苦労したことと思います。車の赤いバックランプがきれいに出ました。)

4.中島 弘(3点)

「避暑の飛翔」 <千曲川>
(講評: ゴイサギかササゴイかと思われますが、真っ青な空を飛翔する姿をシャープに捉えました。ピントがいいのでもう少しアップに、粒子の荒れが目立つぎりぎりぐらいまでトリミングしてみましょう。そして、いつか飛翔にプラス“何か”アクションを付加したショットに挑戦してみましょう。)

「ブナの出迎え」 <妙高市>          
(講評: 登り始めと思われる光景ですが、大きなブナの木を画面の大半に取り入れ、右下に登山者の列を適度な大きさで(小さめ)あしらい、登山口付近の山の状況がスケール感をもって迫ります。

「渓流の涼」 <妙高市>
(講評: 渓流の流れをスローシャッターで、流れ落ちて向かって左に向きを変える水の流れを表現しています。できれば、もう少しローアングルにして奥の流れを入れること、たち位置を少し左にずらし左の柳の枝をもう少し入れること、画角を広めにして上の柳の葉の幹を(あったら)入れること・・・。さらにグレードアップ。)

5.髙山 三良(2点)

「ねぐらへ時間調整」 <自宅裏>
(講評: ムクドリの大群が集まる夕暮れ時。ここ(高山家)で、いったん終結し、まとまって西南方向(権堂、鍋屋田、?)へと飛び立つ。そんな現象に気がつき、大群、集結、飛び立つの3枚の組写真でまとめています。大きな写真でにぎやかさと飛び立つ鳥をぶらして動感が表現できました。)

「朝日に輝く」 <東和田運動公園>
(講評: エノコログサの群落ですが、逆光をうまく使い、穂の立体感が出ました。嫌われ者の雑草とはいえ、これも命のひとつ。存在感ある作品として撮ってもらいさぞかし喜んでいることでしょう。そう見えます。)

6.倉澤 利和(3点)

「バッタ(本物みたい)」 <自宅>
(講評:自然素材を使った手作りのキリギリスでしょうか、止まったススキの葉を斜めに配した構図、「斜め構図」が効果的です。すだれでしょうか背景をぼかしたところも主題を浮かび上がらせています。左上のススキは中途半端なので、もう少しとまっている葉と同じラインにして大胆に入れてください。)

「山小屋」 <妙高市>
(講評:これも人工物ですが、見上げた超ローアングルが斬新なイメージの写真となりました。屋根の上部を支えるがっしりとした柱も印象的です。天窓のブルーもアクセントとなっています。ブルーの中に、飛行機雲とか鳥とか、はたまた星空・・・さらにグレードアップ。)

「火打山」 <妙高市火打山>
(講評:こちらは大自然。火打山でしょうか、妙高でしょうか。山頂の池塘をあしらった作品で、水面に連山の山容を映しこみ、静止した様子に山の静寂さが伝わってきます。やや左下がりの感じがしますが・・・。)

7.萱津 信子(2点)

「飯縄山と対峙」 <大座法師池>
(講評: 大座法師池と飯縄山を素材にまとめています。水面だけだと単調になり、手前の手すりを入れて作画したところがポイントとなりました。人工物をあえて入れ、「いっそのこと」?とウオーキングポールまでも入れたところは“人くささ”を感じさせてくれます。普通は、風景写真としては邪魔なので入れません。)

「緑 陰」  <大座法師池>
(講評: 並んだ3本の樹木を主題に、池の水面とうまくマッチングさせています。3本から出た枝の張り方も見事で、グリーンの発色もいいですね。ただ、タイトルにあるように「陰」の部分が少し物足りなく、もう少し下にこの倍くらいの陰があるともっと安定感が増し、主題通りの作品に仕上がったと思います。)

8.笠原 美敬(2点)

「水面を渡る冷風」 <須坂市臥龍池> 
(講評: あずまやが佇み、誰もいない光景です。誰もいない場合は、画面全体を引いて点景にボートを入れるとか、水面がさざ波だつとか、水鳥がいるとかのアクセントが欲しいところ。あずまやに家族連れなどの人物を配置するとぐっと画面が引き締まります。)

「静寂の弁天橋」  <須坂市臥龍池>
(講評: 赤の橋を印象的に捉えています。手前の水草の群落と左のアジサイの花が彩を添えていい感じにまとめています。この作品も、できれば橋の下の水面にカモかなんかがいるとか、橋の上を家族連れが通るとかするとアクセントができ、写真がぐんとグレードアップ。そうした場合でも「静寂」さは、変わりません。)

9.池田 治雄(組3点)


「真夏の花」 <スーパー デリシア店周辺民家>
(講評:ノウゼンカヅラ、ヒマワリ、ネムノキの夏の花をテーマに撮影。それぞれが、暑さの中、暑さにめげず元気よく咲いている様を、ほぼセミロングでにぎやかに画角設定をしています。講義でも「アップの方がいいか迷った」とのことですが、アップですと花の形や様子はよくわかりますが図鑑的な写真となってしまいつまらないと思います。その場合は、昆虫が花芯にやってくるとか、雨上がりの水滴が花びらにあるとか何かアクセントを付加しないと“作品”まで昇華しません。)

                         (HP掲載担当:広沢 一由)