石渡写真クラブ月例会(9月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(9月)作品&講評
 台風一過、急に寒く?なったかと思いきや暖かくなったり体調管理が大変です。標高の高い山からは紅葉の便りも届き、秋本番を迎えつつあります。
 コロナも手のひらを返したように大人しくなった昨年秋以降とまでは行きませんが、何となく元気がなくなってきた感じです。このまま収束に向かってくれるといいなと期待を寄せますが、感染すると高齢者には怖い病気。これまで身に着けた手洗い、マスク、換気、人ごみ回避などを徹底し、撮影に励みましょう。
 間もなく運動公園のケヤキが染まります。身近では千曲川沿いで霧、霜なども発生、志賀高原や鍋倉高原などでブナ林やダケカンバが徐々に姿を変えます。
 区の文化祭も展示のみは決定とのこと。最終的に「(人様に)観てもらってなんぼ」の写真の世界。頑張って写真クラブの展示に向け準備しましょう。

 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【吉田 幹男】「出番」(自宅)=8月29日
コメント:ノウゼンカズラの花が、今月下旬遅れて一枝咲いたので撮りました。七月にも撮ったのですが、作品にならず九月の発表になりました。まるで自分の出番を待っていたようです。
講評:わが松本の実家の生垣にもありますが、盛夏のころ、ほかの樹木を覆い隠すようにわが物顔に大群の花を付けます。群生のイメージが強い植物ですが、理由はともかく遅咲きに固まってぽつんと咲くのも味な物ですね。背景、周りの葉はヤツデでしょうか。

【宮澤 一成】「犬?猫?それとも・・・」(長野市民病院南)=8月6日
コメント:車を走らせていると、東の空に変な雲を発見スマホで撮影しました。皆さんは、何に見えますか?
講評:北アルプスや南アルプスなどに姿を現す雪形と同じで、雲の形もさまざまな姿に見えることがあります。しかし、雪形も雲も、誰が見てもその形に見える確率が高い物から、見る人によっては分かりにくい物もあります。それだけに、古より農業の作業開始の目安となったり、想像力をたくましくし楽しむ魅力はあります。さて、自分は犬か猫のように見えるが、あなたは・・・?と問いかける素材を提供するのも写真の「伝える」という特徴の一つですね。
さて?

「雲を釣るぞ」(長野市民病院南側)=同
コメント:現在市民病院では増築工事中、伸びたクレーンが長い釣り竿のように見えました。
講評:上の作品の雲が含まれますが、クレーンを釣り竿に、獲物を雲に見立てた擬人化作品。着眼点はいいですが、下の市民病院や里の光景が中途半端かと思います。もう少し入れるか、さもなければ思い切ってカットしてクレーンと雲だけで単純化してまとめてみる手もあったかと。

【広澤 一由】「夜明け直前」(長野運動公園)=9月1日
コメント:大型台風11号の影響か?朝焼けが幻想的、宗教的な色彩に輝いた防災の日の夜明け直前であった!
講評:お天道さんが出る前ですが、朝焼けした雲が印象的です。運動公園サブトラックの西にあるポールが辛うじて見える下部分ですが、暗くつぶれて画面全体が重たい感じになってしまいました。カメラのアングルを少し上に向け下のアンダー部を削り、その分空を入れると雲の印象が強くなったと思います。

【早川 球喜】「初秋の里山」(木島平村の国道403号線(糖塚?)から望む)=9月7日
コメント: 写真撮影に向かった日は、長野を出る頃はまだ曇りでしたが、飯山市、木島平村へさしかかる頃雨模様に。それでも秋を撮るために「やまびこの丘公園」に向かいました。公園の辺りは雨でかすみ、初めて訪れたこともあり、自分の場所すら確認することができません。高原の木々は、まだ緑で、秋を感じさる色はありませんでした。仕方がなく秋を探しながらの家路へ。飯山に入る直前に黄色にたわわに実っている稲穂を見て、山里を背景に2~3枚撮影しました(はっきりしませんが「糖塚」辺りかもしれません)。
講評:霧雨というか雨模様のしっとり感が出た作品。山里の裾野まで霧が立ち込め、山里の丘陵地帯に点在する家々・・・。その手前に広がる、黄金色に実った稲刈り前の田んぼが見え隠れしますが、手前の雑草(オオブタクサ)に隠れてしまい残念です。やや高い立ち位置か脚立を使用、田んぼの広がりがもっと出せると里山の印象がもっと盛り込めたと思います。

【中島 弘】「食べちゃうぞ」(破風岳毛無峠)=8月11日
コメント:破風岳に登ってきました。登山口の毛無峠から小串鉱山跡へ続く林道から見上げると草原にへばりついている大きな岩を襲うような雲が現れ自然が創り出す造形の面白さを撮りました。
講評:失礼ながら「犬も歩けば・・・」ではありませんが、写真は外に出なければ撮れません。その意味で、破風岳方面へ撮影に出かけた際に見つけた素材を、そこにある岩を絡めて作品化しました。雲の怪獣が、岩を食べようとした瞬間に見立て擬人化、タイトルと共に楽しい感じに仕上げました。

【素材を発見したらとにかくシャッターを】
写真は目的地方面に出掛けたらいかに「絵になる」、「今までに見たことのない」オリジナルな素材を探し出すことが勝負どころです。そして、見つけたら次にカメラという機材を通していかに切り取るか。レンズの選択、ズーミング、アングル、角度、露出や絞りなどカメラの設定と予め準備している項目もありますが忙しいです。最後にパシャリですが、素早く行動しないと、モノによってはどんどん変化し場合によっては無くなってしまうこともあります。「帰りに(後で)撮ればいいやー」は禁物です。その場でその時に撮ること、シャッターを押しておくことを心掛けましょう。多くの場合、帰りには、最初に発見した時の状態は無くなっているか、光線状態も変わってしまい、時には無くなってしまうことも。「さっき撮っておけばよかった」という経験を幾度となくしている私の経験からひと言。

「一緒に飛びたいな」(破風岳毛無峠)=同
コメント:破風岳登山口の毛無峠は上昇気流が良いのか多くのグライダーマニアが愛機を飛ばしていました。赤いグライダーが本物のジェット機の飛行機雲を追うように飛行しているところを捉えました。
講評:飛行機雲は自然のものとはいえ、飛行機が生み出した産物。その飛行機雲と、同じ仲間の飛行体「グライダー」とのコラボが面白いですね。それと、飛行機雲がやや斜めに下降しているのに対し、グライダーはやや右上方向、斜めに傾いているバランスもいいですね。さらに空の青、雲の白、グライダーの赤のシンプルな3色がすっきり感を助長しています。

 
「秋の気配」(千曲市姥捨の棚田)=8月29日
コメント:自転車で姨捨の棚田を訪ねました。猛暑の最中夏の気分でいたが、季節は確実に秋に向かっている情景を撮りました。
講評:やや高台から棚田、集落の家並み、川筋、そしてはるか遠方の市街地、山並み、締めくくるように秋の空と雲。遠近が出てスケールある作品になりました。稲刈りをする一群とか案山子とかの点景があるともっと臨場感が出ました。

【高山 三良】「待ちわびて」(知人宅)=8月31日
コメント:「3年目にようやく咲きました!スマホ撮影です。夜8時ころから開きだして徹夜の見守り。朝にはしぼんでいました。寝不足が続きました。」と撮影者。開く度に香りが漂うそうです。一生懸命開こうとしている姿に優しい穏やかな気持ちで見守ったとも。その感激を感じて組み写真としました。
講評:ご存知「月下美人」の花。月下に一夜だけの開花を去れる幻の花。我が家でも先の中秋の名月の9月10日、つぼみが大きく膨らみタイミングよく咲くかと期待しましたが、3日後でした。月と花の撮影でコメントと同じく寝不足に。さて、作品の上半分に全体、よく見ると右からこれから咲くつぼみ(上向き)、中央は開き終わってしぼんだところ、左に開いた花と3様がうまく入りました。そして、下写真は開花の真正面とやや斜めから角度を違えて大輪の姿を見せています。知人がスマホ撮影したものを組み写真に仕立てたとのことですが、ライティング(光の当て方)が、スマホなのでレンズと同軸で正面からなので、幾重にも重なる花びらの立体感が薄れてしまい惜しまれます。ちなみに小生は、カメラから延長コードでストロボをやや離し、斜め上方から照射してみました。それと、花の色が純白なので、露出をマイナス補正してやらないと「白飛び」と言って露出オーバーになりますので注意が必要です。

【倉澤 利和】「トレッキングには最高の破風岳(1,999㍍))」(高山村)=8月11日
コメント:好天に恵まれて清々しい気分になりました。
講評: 破風岳の山容に雲浮かぶ青空、手前に大きな岩を入れてスケール感ある作品になりました。同好のお仲間たちの人や車も点景として入れ、人の気配を感じます。タイトルがやや長いですね。例えば「清々しい1,999㍍」(高山村破風岳)とか「真夏の山稜」(高山村破風岳)など。破風岳は地名なので、タイトルに併設する場所の方に移動するとその分短くなります。