石渡写真クラブ月例会(6月)作品紹介&講評

石渡写真クラブ月例会(6月)作品&講評

 一旦落ち着きを取り戻したかにみえたコロナ感染者数も、再び増加に転じしたたかさを顕示。いつになったら・・・と気が重くもなります。が、時はどんどん経っていきます。めげていては何も前に進みません。感染予防対策をきちんと励行し、ワクチンを切れ目なく、頑張って行きましょう。
 例年になく早い梅雨明けで熱中症も加わり大変ですが、無理なき範囲で撮影に挑んでください。

 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【高山三良】

「私がヒロイン!」(南堀)=5月22日
コメント:蜘蛛と薔薇が主役を競っている、妖艶でもあり可愛くもありシャッターを押しました。
講評:幾重にも花びらを咲かせた真紅のバラ。その花びらの片すみに1匹のクモが・・・。写真はまず主題があり、その主題をフォローといいますか、手助け、引き立てる脇役として「点景」が盛り込まれることがあります。あくまで、主従の関係は崩れません。しかし、この作品はどちらが「主題」?かと問うたところに作者の意図が汲み取れて面白いというか意味深長です。生き物としてこの世に存在し、どちらも主人公!どちらもヒロイン!

【竹内一郎】

「湖畔の花嫁」(軽井沢塩沢湖)=5月
コメント:目が覚めたらテレビに雲場池中継があり早速行きました。が、駐車場がなくゆっくり撮っている暇がなく塩沢湖に行きいろいろと撮りました。離れ島にウエディングドレスの花嫁さんが記念撮影をしており湖に映る姿が印象的でした。
講評:有名な撮影ポイントは、近年、カメラマンだらけ。場所取りが大変ですが、酷評すると「出てくる作品は大同小異、みんな同じ」となります。みんなと同じ写真を撮って満足感を味わうのも、それはそれで否定するものではありませんが、できれば、オリジナルな作品を狙った方がいいかと。で、塩沢湖に矛先を変えたところ、いい素材に巡り合えてよかったですね。ただ、「印象的だった」花嫁さんがやや小さくて残念ですね。対岸からだと超望遠レンズが必要ですが、再度挑戦をしてみてください。対岸でなく、そのものずばりお断りして目の前で撮影する手もあります。(参考までに、花嫁さんが分かるように拡大トリミングしてみました。東山魁夷の「白馬の森」みたいになりました)

【中島弘】

「道端に咲く」(長野市真島付近)=5月30日
コメント:普段見過ごしていた野草の花が見事だったので撮りました。クローズアップレンズを装着しマニュアルフォーカスで狙ってみました。花の名前は知りません。
講評:いやはや、見事な色の花を見かけ、よくぞ車を止め写真に収めました。近年、河川に近い堤防や炉端で猛威を振るっている外来種ナヨクサフジと思われます。サツキなどの低木街路樹を覆い尽くし、薄紫色の大群落は「見事」です。マメ科で幾つもの花が集合していますが、ロング、セミロングで撮ると意外と見事さが出てきません。そこで、クローズアップで表現したところがいいですね。背景のぼけも、薄紫がありそれとなく群生の様子が汲み取れます。
(参考までに、屋島橋近くの河川敷内に群生したナヨクサフジがありましたので掲載します。白花も混在していました=2020年6月2日)

【早川球喜】

「飯縄山」(戸隠栃原大昌寺付近)=5月24日
コメント:飯縄山をその山麓から撮影しました。障害物もなく目の前に飯縄山を見ることができました。
講評:善光寺平市民から親しまれ、どこから見ても絵になる飯縄山。ですが、いざ写真に収めようとすると意外と難しい。つまり、手前にくるものが今いちしっくりこないことが大半です。いい広がりを持った、コメント通り「障害物」もないいいポジションを見つけました。田園近くにある集落、よく見ると田植え?でしょうか軽トラとトラクター、手前の木々、空の雲も効果的にまとめました。

【広澤一由】

「鬼(木)門を通過して頂上目指す」(上越市と柏崎市境の米山・993m(登山道)=5月18日
コメント:登山道の途中に何とも言いようのない奇妙なカタチの大木に巡り会い、鬼門?の様に、不気味さもあり印象的だった。
講評:何とも存在感のあるブナの木に巡り合えましたね。鍋倉山のコブ太郎ほどコブコブではありませんが、大量の雪の中で何百年と生き抜いてきた力強さがあふれています。斜めの構図、向こうに登山に出発する人を点景に入れ木の太さ、大きさがよく分かります。惜しむらくは、左端にちらっと幹が見えますが、この幹は根の部分を共有しているとすればもう少し入れた方がさらに迫力が増したのではと思います。前後コマを探し、比較検討してみてください。

【宮澤一成】

「新緑を求めて」(妙高高原いもり池)=5月29日
コメント:立夏も過ぎ、新緑が鮮やかな季節になりました。
講評:残雪の妙高山を仰ぎ見る、妙高高原のいもり池。二分割構図で池に投影した山塊が青空とともに爽やかに広がり、空気感を漂わせた作品です。池の手前 左に浮かぶヒツジグサでしょうか、もっと色が鮮やかに出ると存在感が増しポイントとなりましたが惜しいですね。その左下の岸辺のシダ類を入れたことで画面が安定感を持って迫ってきます。

【吉田幹男】

「梅花ウツギ」(自宅)
コメント:白くて、大きく八重に咲くウツギを撮りました。今年の春先に背丈を揃えて収まりを良くしようとしましたが、撮ってみると発表できるものになりません。マニュアルでF値を大きくして見ました。
講評:カラーでありながら、モノトーンの色調というかかつてのモノクロ写真の世界に引きずり込まれるような魅力を感じます。背景の黒バックも主題「ウツギ」を浮き立たせてくれました。白花なので光がダイレクトに当たると飛んでしまいますが、適度に“日影”部分があり花芯のデティールが表現されました。F値を大きくしたのは正解で、キリキリと花にピントがきていて爽やかです。