石渡写真クラブ月例会(8月)作品、講評

石渡写真クラブ月例会(8月)作品、講評
 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
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【高山 三良】「夕陽映え」(自宅)
コメント:雑草ネコジャラシが夕陽に映えて綺麗。
講評:家庭菜園、農家にとっては厄介者の「ネコジャラシ」。畑以外でも道端や空き地、河川敷などどこにでも群落を形成、雑草とはいえ一斉に伸びた穂はなかなか見応えがあります。この作品は、夕陽の斜光線をうまく使い、命輝く瞬間をアップ、セミロングの2枚組みで芸術性高くまとめました。

※ネコジャラシは別称で、和名は「エノコログサ」。実った穂が犬の尾に似て、「犬っころ草」が由来とされる。「猫」、「犬」と面白いですね。写真をやると、いろいろな雑学?が学べて勉強になります。

 

【竹内 一郎】「熊に注意」(塩尻市洗馬)
コメント:のどかな村には熊が出没するらしい。道祖神も見守る中、立て看板・・・・・。
講評:さりげない農村の曲がり角で発見した黄色の看板。出没するクマに注意とのこと。目立つ黄色に、「あれ?何だ」と車を止めパシャリ。好奇心が写真を志す人にとっては第一歩となるお手本作品です。ただし、気付いたまではよかったと思いますが、看板が小さくインパクトが減ってしまいました。もっと近づいて、背景や周りに道祖神などを配しアングル、角度を工夫すると主題の看板が存在感を増したと思います。参考までに、看板が生きるようにトリミングしてみました(下写真)

 

【中島 弘】「蓮の楽園」(木島平村稲泉寺)
コメント:木島平村の稲泉寺の蓮を撮ってきました。ちょっと早かったのか一面の蓮の花と言うわけではなかったので一輪を大きくトリミングしてみました。
講評:仏教と関わりのある花、蓮。咲き始めと思われますが、花びらの一枚一枚の鮮度が良く、開いたばかりの様子を特徴ある花芯とともに捉えています。花全体を入れると正に「これが蓮の花」とばかりの図鑑的な説明調の写真に陥ってしまいますが、花をアップにして迫り、小さな昆虫がバランスよく表現されところに作者の工夫が感じ取れます。今日風に関連付けると、今開催中の「東京五輪・パラ2020」の聖火台(球形が回転しつつ花びらのようにねじれて開いた中央に聖火)にも似ている気がします。

 

【早川 球喜】「不揃いの向日葵たち」(長野市長沼)
コメント:令和元年東日本台風がもたらした大雨で堤防が決壊し、長沼地区の河川敷の畑に、数カ所の向日葵畑がありました。不揃いが自然的で、一本、一本が個性を主張しているようで、なんとなくシャッターを切ってみました。
講評:普通、一斉に同じ背丈で同じ方向を向いたヒマワリがよく見る光景(写真)ですね。それはそれで見事で綺麗ですが、そうではないアブノーマルなヒマワリ群落に何かを感じた作者の感性が伝わってきます。同じヒマワリでも一つ一つが「個性を主張しているようだ」という感性は、近年よくクローズアップされる「どんな人、人種、性別、性的マイノリティー、障害の有無などすべてを乗り越えた共生の社会、世の中」と相通じた理念を連想させてくれます。sただ、河川敷内の畑のようですが、ヒマワリの向こうに堤防とか、何でもいいですが環境が盛り込めるともっと作品が生きたと思います。

 

【広澤 一由】「夏空に咲く」(自宅)
コメント:準備した道糸に巻き付き、空に向かってぐんぐん伸びた朝顔の蔓に、やっと沢山の花が咲き始めた喜びを撮りました!講評:自宅とのことですが、足元で絵になる素材を見つけ作品として上手にまとめ上げています。壁面に這い上るアサガオのつるを前面に、家屋をさりげなく隠し、雑物が入らない空と雲が自宅を感じさせない作品となり、暑い真夏の光景を表現しています。斜光に映える葉だけの空間、上部に少しだけ咲いた花の面白さも単純明快でいいです。

 

【宮澤 一成】「夜遊び」(長野市城山公園)
コメント:今年7月に新設された城山公園の噴水広場、金・土曜日の午後6時から午後8時までライトアップされることを知り、撮影してみました。
講評:近代的な仕組みを備え復活した城山公園の噴水。南長野運動公園、小布施のハイウェイオアシスに続き、最近では長野駅東口や中央通りのセントラルスクウェアにも同様のものがお目見えしていますが、珍しいライトアップは初めて見ました。写真は現実を写し取るもので、一番最初に写し、作品として世に出した人の勝ちで、次の類似の作品は“2番せんじ”となってしまいます。人物を入れたものと全景の2作品を寄せてくれましたので、両方紹介します。どちらもカラフルで幻想的、清涼感を感じさせてくれます。

 

【吉池 安雄】「花に蝶」(自宅)
講評:黄色の花一輪を右下から左上に配置した「斜め構図」が画面をしゃれた感じに仕立てています。背景も黒っぽくつぶれて、主題をすっきりと単純化、存在感を助長しています。そこに吸蜜にやってきたチョウがアクセントを添え、右向きの方向性も斜めの花とは反対でバランスが取れました。惜しむらくは、右側にある葉に映る影ですが、もう少し葉の中央にどんと写り込むとまたひと味違った作品になったと思います。細かい所まで、気配りをしてみましょう