石渡写真クラブ12月例会写真集

<五十音逆順に掲載>講評は石渡写真クラブ:増田今雄講師
作品の下に、「タイトル」、(撮影場所)、講評の順に掲載
*写真をクリックすると大きく鮮明に見れます。

1.吉池 安雄

「私は、翔べない」(長野運動公園)
運動公園入口にある円盤投げの塑像とハトの群れを対比して表現しました。選手は飛べないのは当たり前ですが、飛ぶハトと比較して擬人化、「飛べない。1回でもいいからハトのように飛んでみたい」。何か、小説の世界にでも引きずり込まれそうな、吉池さんの撮影意図が伝わってくる面白みが感じられる作品です。

2.広沢 一由

「夏と秋が同居」(茅野市横谷峡)
たまたまでしょうか、左側は常緑の針葉樹林、右は落葉の広葉樹林。光線状態も味方し明暗が分かれ、その光景が「夏」と紅葉の「秋」に見えたと思います。真ん中に青空を入れ左右対称構図で感じた印象をうまくまとめましたが、手前にいる人物がザックとともに大き過ぎてうるさいです。もう少し小さく、点景として入れ込むと主題がぐんと引き立ちました。

3.早川 球喜

「光の演出」 (長野市善光寺)
この作品を見た時、「あれっ?」。例年の灯明祭りの作品とは少し違う。後になって平成最後の善光寺を彩る、ハスの形を中心にした善光寺をライトアップする企画の一環ではと判明、「そのリハーサルでは?」。ハスの花は見えませんが、人の気配がまったくない静かな雰囲気がいいですね。ブルーを基調に真ん中に黄色と色調のバランスもよくライトアップされた善行寺の別の顔が見えてくるようです。

4.中島 弘

「霜月祭り」 (飯田市木沢)
 ご存知、遠山谷の霜月まつり。寒い、煙い、眠い・・・。私も昭和の終わりの頃、信毎の「南アルプス」の企画取材で撮影しましたが、似たような場面をひたすら朝方まで待ち続けたことを思い出します。湯立て神楽のクライマックス、煮えたぎるお湯を素手でまき散らす一瞬の表情を切り取っています。沸き立つ湯気、瞬間に驚く人々の表情、何よりゆらゆらと湯気に揺れる御幣がおどろおどろしく印象的です。この場合は画面が左下がりになっていることが動感を生み出し、手前にある提灯も効果的です。
 そこに居合わせたカメラマンが一斉に、狭い場所でひしめき合いながらも譲り合い?シャッターを切ります。上記の評は、結果として生まれた作品を見ての評です。現場では、いろいろな点をよく観察してじっくりシャッターを切る状況ではありません。とにかくお湯を跳ね上げる瞬間だけに集中し夢中でシャッターを切る。それだけの行為ですが、その一瞬のさまざまな表情が画面内に見て取れる。そこが写真の面白み、醍醐味でもあります。ご苦労様でした。

5.竹内 一郎

「雨の太鼓橋」(福岡太宰府天満宮)
 旅先のワンショットとのことですが、空き隙のない構図で樹木の存在感が画面いっぱいに表れています。大小の木のバランス、遠近感も出ました。レンズ前についた雨粒でしょうか、ところどころがぼやけて見えますが、雨の日のしっとり感がよく出ました。太鼓橋の赤色がそんなに嫌味なく風景にマッチしました。ただ、中央付近の人物がよく見ると2人、できれば位置がもう少し前後でカップルと分かるシャッタータイミングの方がよかった。連写してあったら、前後コマを探してみてください。

6.高山 三良

「善光寺からイルミネ」(長野市善光寺)
 年末年始を彩る善行寺界隈を飾ったイルミネーションを2枚の組み写真でまとめました。上の1枚は山門でしょうか、向こうから差し込む光とそれを受ける人物の影が印象的です。下は、もう一歩進んで大門町から中央通りに向かい両脇に輝く街路樹をにぎやかに表現、こちらも人物をうまく配置できました。上部の提灯が切れてしまい惜しい気がします。左下の人物の足が切れても、その向こうの2人の足は切れないので、提灯を見せたほうが落ち着いたと思います。そうすることにより、主題のイルミネーションもぐっと引き立ちます。

7.倉澤 利和

「寒い朝」(自宅畑)
昨年1年の食卓をまかなってくれた野菜畑。手前から収穫を終えて休養に入った地、2番目に冬越しのタマネギの苗、向こうに冬の漬物の野沢菜。うっすらと積もった雪の朝、自宅の畑を被写体に「季節」を表現しました。できれば、左上の道路に通学の児童とか散歩の人とか、点景人物を入れるともっとグレードアップ。

8.萱津 信子

「130年の山寺の紅葉」(清水寺)
 紅葉真っ盛りの寺の光景です。中央に紅葉見物でにぎわう人たちの石段を置き左右対称にまとめ、紅葉が迫ってきて圧巻です。ただ、右に灯ろうがあるが、左になく、おそらく一対であるはずのもの?で落ち着かない感じです。でも、画面左に灯ろうの一部分川ちらっと見え、「あるのでは?」と思われます。きっちりと左右対称にいかなくても、よく観察して構図を決めましょう。

9.笠原 美敬

「広々とした善光寺平」(茶臼山)
 下に紅葉の木々、中に善光寺平、上に山塊と空の三段構図で、やや俯瞰したスケールある作品にまとめました。下の紅葉部分に日が当たり色彩が出るとよかったです。微妙ですが、画面全体がやや左下がりの傾斜が気になります(気にしなければ分からない範囲ですが)。

10.池田 治雄

「深秋」(長野運動会)
 冒頭の吉池さんとほぼ同じ運動公園の円盤投げの周辺です。扇状に広がるケヤキ、右の直立したシラカバ。それぞれが霧の中で紅葉を存分に主張し深まる秋を演出しています。扇の要に塑像を点景にし、放射構図でまとめました。像が少し大きめかなとも感じます。もう少し小さめの方が主題の紅葉が引き立ったと思います。   

              <HP掲載担当:広沢 一由>