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石渡写真クラブ月例会(11月)作品と講評

講評はクラブ講師増田今雄さん(5常会)
写真をクリックすると大きくなります。

【早川 球喜】「仲見世散策」(善光寺) 
 さりげないスナップですが、実はこうした街並み写真が貴重な後世に残す記録写真となります。山門はじめ人々の服装、髪型、家並、左側の栗ソフトクリームと書かれたのぼり旗などなど。すべてがこの瞬間、時代を止めています。

【中島 弘】「冬支度を終え」(妙高・いもり池) 
 ブナの木でしょうか、すっかり葉を落とし近づいた冬空に枝だけが・・・。下方の向こうにも小さいながらも木々を取り入れ遠近感を出し、青空空間と木々に囲まれるように配置した雲が何より効果的です。構図をよく考え、まとめた作品です。

【竹内 一郎】「こんな処に」(茅野市・横谷渓谷) 
 旅した渓谷の岩場で発見したスズメバチ系の大きなハチの巣。よく見つけましたね。それを写真に収めようという気概が伝わってきます。巣のある切り立った岩場の感じ、手前にあしらった紅葉の枝葉で季節感も満点。やや色調が暗い感じなので、加工段階で明暗を明るく、ややコントラスト出して調整してください。

【高山 三良】「晩秋の彩り」(長野運動公園)
 総体的にパッとしなかった今年の紅葉ですが、部分を切り取っていつもながらのきれいな紅葉を表現しています。少しも染まってこない紅葉に「やっといつものようになった」という作者の期待通りになった安堵感のようなものを感じます。

【萱津 信子】

「被災前・被災後」(小布施町)
 未曾有の台風災害が襲う3日前の10日、急いでリンゴを収穫。同じ場所を10日後の23日に再訪、一面泥で覆われた一帯、ごみがひっかかったりんごの木を撮影、前後を3枚の組み写真でまとめました。今回ならではの写真が残した記録写真となりました。問題意識を持ったこと、比較して訴えるため足を運んだ行動力に脱帽です。

【笠原 美敬】「紅葉も終わり」(長野運動公園)
 冷え込み不足か雨不足か、あまりパッとしなかった今年の紅葉。真っ赤な鮮やかさまでは届きませんが、まあ、そこそこの紅葉が青空に映えきれいです。どんとメインの樹木を中心に、奥行き感のある並木の感じもともに良く出ています。右上、左下の角にあるUFO?何かのカメラケースの傍らか、あるいはフィルターの中途半端な装着か、画角内に写りこんでしまったようですね。主題に影響がなければ思い切ってトリミングしてみましょう=下。

【池田 治雄】「朝霧の中」(屋島) 
 千曲川のいつも出掛けるフィールド界隈でしょうか。地面に立ち込めた霧を取り入れ、晩秋の朝を端的に表現しています。収穫の終わった長芋の支柱を前景に、河川敷の木々、特に中央のひょっこり背伸びしたプラタナスでしょうか、右の枝を広げた木とともに樹形が画面にアクセントを添えています。下の野菜がもう少し入ると安定感が増したと思います。

 

 

石渡写真クラブ月例会(10月)=文化祭出品=作品と講評

11月3,4日に行われた石渡区文化祭に出品の作品です。一年間の成果をご覧ください。
講評は、クラブ員増田今雄(第5常会)。
(写真をクリックすると大画面になります)

【池田 治雄】「夜明け」(長野運動公園)
 サブトラック西南方向にある大ケヤキの幹をシルエットにし、昇ってきた太陽を中央に置いた構図は「日の丸構図」。素材選び、アングル、構図とも計算した作品です。

「陽春」(村山堤防)
残雪の飯縄山、霊仙寺山、黒姫山を背景に、里から咲き始めた桃やプルーン?などの花々が長い冬を抜け出しようやく訪れた春の雰囲気を感じさせてくれます。

【笠原 美敬】「2000年前の古代蓮」(木島平村稲泉寺) 
 赤い屋根の寺を囲むように満開の古代蓮。花開くのは午前中、開花も短期間と撮影が限られる花をタイミングよくまとめました。右と左奥にいる点景人物も効果的です。

「晩秋の鏡池」(戸隠高原)
 初雪が垣間見える戸隠連峰西岳を背景に、鏡池の紅葉を切り取っています。さざ波立つ水面に、肌寒くなった冬将軍間近の季節感が盛り込まれました。

【萱津 信子】「台風19号救助活動」(長野運動公園)
 近くで起きた台風災害。救助にはヘリが大活躍し、前線基地は目の前の運動公園。全国各地から駆け付けたヘリをさまざまな角度から撮影、慌ただしい雰囲気が伝わってきます。後世に残る記録写真としても貴重です。

「自衛隊活躍」(長野運動公園)
 被災者の避難所に指定の運動公園体育館。陸上競技場前に駐車する自衛隊の車両、サブトラックでしょうか自給自足する隊員の基地となるテント場が臨場感を持って迫ってきます。

【倉澤 利和】「待っていろよ八ヶ岳」(野辺山高原)=8月月例会作品・講評参照

「登ったよ八ヶ岳」(硫黄岳)=9月月例会作品・講評参照
期待した八ヶ岳、登った八ヶ岳の関連性を持たせた2作品。それぞれ、タイトルとともに作者の想いが込められました。

【高山 三良】「大盆踊り祭」(善光寺)=9月月例会・講評参照 
 9月例会の3枚組の組み写真の1枚ですが、単写真でも十分な作品です。信毎のコンクールに組み写真として応募してきた作品の中にも、「一枚で十分なのに」という事例が散見されました。基本の1枚をしっかりマスターし、組み写真に移行していきましょう。暗闇の中、左右対称の盆提灯の中央で踊り手が適度にぶれ、雰囲気、動感ともにいいですね。

「百花繚乱」(県北部)
 近隣あちこちに咲く園芸種の花を集め、足で稼いだ労作。スマップの「世界に一つだけの花」の歌が思わず出てくるようで、同じ花はなく「ひとつ、ひとつが個性的で輝いています」。周りの黒い台紙も花を引き立てています。

【竹内 一郎】「4日間」(石渡)
 咲いても花開くのは午前中。午後には閉じてしまう蓮の花の命は4日間。ぼつぼつ散り始めでしょうか、手前の花びらが垂れ下がっていますが、中央の次世代を継承する実が黄色に輝き、希望を感じさせてくれます。

「ソフィアとマーヤ」(石渡)=9月月例会作品・講評参照

【中島 弘】「ジージのロマン」(北海道江差)
 はるか向こうからつながるC字の湾岸、それに沿う道路、広々とした北海道ならではの光景に「ロマン」を感じさせてくれる作品。二分割構図ですが、右の海とつながる空のブルーが一体感を産み、左側にどこからか飛んできた一匹のトンボがこの作品の命。旅する自分の心情と重ね合わせた作者の意図が読み取れます。

「山のオアシス」(八ヶ岳)
八ヶ岳登山でのひとコマ。クリンソウの群落が奥行き感を持って表現されています。右側の古木、左の樺系の樹木が抑えになりました。

【早川 球喜】「下校」(長野市城山公園)
 満開の桜のトンネルを集団下校する児童たち。ボリュームいっぱいの桜を満喫しながら家路に急ぐ子どもたちの話声が聞こえてくるようです。

「裏見の滝」(高山村)
斜めに流れ落ちる滝と右の樹木の葉に光があたり、背景の黒バックに浮かび上がりすっきりとまとまりました。勢いのある水の流れも200分の1のシャッタースピードでぶらし躍動感が出ました。欲を言えば、左に滝を裏から見ている人物がいると「裏見」が端的に分かったかなと思います。

【広澤 一由】「滝の紅葉」(茅野市横谷渓谷おしどり隠し)
 右上から左下に滝を斜めに配置した「斜め構図」が流れを演出。右手前の草紅葉、対岸の赤の紅葉が対称的です。点景人物も自然のスケール、大きさが分かり効果的です。

「春の訪れ」(白馬・大出公園)
冷たい雪代の流れとともに下界からやってきた春。手前左、やや離れた右に配置した桜で表現、背景の北ア連山の残雪はまだ春遠からじ・・・。標高差のある信州の春を的確に表現しています。

【吉池 安雄】「習わぬ座禅を組む」(木島平村・稲泉寺)
 お寺で見つけたアマガエル。組んだ脚を座禅に見立てて擬人化、タイトルとともに発想がユニークです。緑色の一色も印象的です。

「朝食」(石渡)=9月月例会作品参照
 9月例会の講評通り、主題を強調するためにトリミングして出品しました。スマホ画像とのことでしたが、データ量の関係かと思いますが、トリミングし拡大した事によりやや粒子が荒れたこと、昆虫写真のイロハである「顔、目玉にピント」がややはずれていることが惜しまれます。

【増田 今雄】「秋暮色」(美ケ原)

「完熟」(木島平村・カヤの平)

石渡写真クラブ月例会(9月)作品と講評

石渡写真クラブ月例会(9月)作品と講評 
講評はクラブ員、増田今雄(5常会)講師。

【吉池 安雄】「韮の花でお食事中」(石渡)
 ニラの花で蜜を吸うセセリチョウの仲間。スマホ撮影とのことですが、クローズアップ撮影が可能なスマホで迫った選択肢はいいです。小さなチョウなので、逃げないよう息をこらし、そっと近づいてシャッターを切る作者の姿が想像できます。ただ、少し拡大してみるとややピントが甘いのが残念です。右の背景に何もなく無駄なのでカット、トリミングすると主題がぐんと生きてきます。

【広澤 一由】「青空に映える教会」(軽井沢)
 
真っ青な空にそびえ建つ教会の建物。壁の茶色、空のブルーの色彩が鮮やかで印象的です。建物がずばり三角構図で安定感が出ました。が、やや屋根より下がアンダー気味で面積が多く重たい感じになってしまいました。トリミングで半分程度を減らすと、主題の上の部分が強調され生きてきます。

【早川 球喜】「それひけ!」(長野市古牧小学校)
 
小学校の運動会の綱引き。児童らの表情がほとんどなく、グラウンドから舞い立つ砂煙と唯一見える先生の表情が印象的な作品。アングルやレンズ選択を工夫し、画面のどこかに1人でも児童の表情が見たかった気もします。

【中島 弘】「頂上はまだかな」(八ヶ岳連峰硫黄岳)
 
もうすぐ山頂。ジグザグの急登を息せき切って登る一行の息遣いが聞こえるようです。天空に取り込んだ太陽、ややアンダー気味のトーンから作者の表現意図が読み取れます。

【竹内 一郎】「強面」(自宅)
 カマキリがモチーフ。薄暗い中で獲物探し?でしょうか、ギュッとたたんだ前脚とタイトル通りの頭の部分が暗いトーンとともに不気味さを漂わせています。背景のぼけ具合も主題を浮かび上がらせています。アングルが真横ですが、真正面から襲い掛かるように、獲物を捕まえようと広げた前脚・・・。よく見る絵柄ですが、迫力が出るアングルかと思います。時間が許せば、「強面」のイメージを膨らませつつじっくりと構えてみましょう。

【高山 三良】「精霊会と大盆踊り会」(善光寺)
 精霊会から盆踊り会までを時系列、アップ、ロングでまとめた組み写真。上の夕暮れと下の夜景が対照的でいいと思います。ただ、中央の二枚はセミロング、アップで状況がよく分かるものの精霊会の中からのショットで、ややだぶり感があります。むしろ、下の盆踊りから何か工夫したアップものを入れると天地2つのテーマの交差が生まれ、もっと融合したイメージ、画面全体の一体感が出たと思います。

【倉澤 利和】「登ったよ八ヶ岳」(硫黄岳)
 
前々回の月例会出品の「待ってろよ八ヶ岳」の完結編。八ヶ岳連山の「硫黄岳」山頂直下で、青空に浮かぶ雲をアクセントにした山岳写真。ほぼ中央から広がる放射状に伸びた雲が流れを表現、雄大です。左下にいる登山者たちが大自然のスケールを分からせるスケール、アクセントになっています。

【池田 治雄】「野猿公苑行き」(西掘)
 主題の赤白ツートンカラーの電車が印象的です。結構速いスピードかと思いますが、高速シャッターで動きを止めています。立ち位置(札死場所)、気象条件もありますが、背景に飯縄山とか山並みが入るとスケールが出たと思います。右端にススキの穂が一本見えますが中途半端、できればもっと一株ぐらい入れると季節がアクセントとして盛り込めたと思います。

<シャッタースピード>
 低速から高速まで自由自在、さまざまな表現が可能です。写真ならではの表現の一つとしてぶれがあります。目で見る感覚と違いスローシャッターが独特のものを表出、見る人に見たことのない新鮮な視覚的世界を与えてくれます。
 スポーツや動植物など早い動きを狙う場合は、原則は高速シャッターで動きを止めます。これも、人の目には見えない世界を見せてくれます。高速シャッターをマスターしたら、少しずつ低速にして動きのあるものに挑戦してみましょう。高速でない適度なシャッタースピードで写すと、画面の中の被写体がある部分は静止し、ある部分はぶれて写り、「静」と「動」が入り混じったしゃれた写真が生まれます。
 さらに、思い切って低速シャッターにしてみましょう。手ぶれ、カメラぶれに注意しながら場合によっては三脚を使いましょう。例えば、菜の花畑で風に揺れる株を手前に入れてスローで撮ると、ぶれた感じが表現でき「風」を感じさせてくれる作品になります。
 動く物をレンズで追いながら撮影する「流し撮り」というテクニックもあります。できるだけ背景に何かを置いて、手前の被写体を動きに沿ってレンズで追いながらシャッターを押す手法です。カラフルな背景ですと効果的です。

 

石渡写真クラブ月例会作品(8月)

石渡写真クラブ月例会(8月)作品と講評
講評はクラブ員増田今雄講師(5常会)です。
※写真をクリックすると拡大画像で見れます。

【池田 治雄】「お勤め帰り」(善光寺)
 早朝の「お朝事」でしょうか、善光寺住職がお勤めを終えて帰るところです。日がまだ斜光で、灯ろうの長い影、撮影する自分の影が写りこみ、朝の雰囲気を写し込んでいます。抜けるような空の青と住職に随伴する朱色の傘がバランスよく印象的です。

【笠原 美敬】「2000年前の古代蓮」(木島平村稲泉寺)
 太古の眠りから目覚め、今に花を咲かせる大賀蓮。今年も見事に開いたピンクの花一点を、広がる葉の中央に配した「日の丸構図」が力強く作者の感動を伝えています。半逆光で微妙な光のトーンが、花を立体的に浮かび上がらせました。

【萱津 信子】「エメラルドグリーンの昇竜湖」(須坂市の豊岡ダム)
 ダム湖周辺の木々の緑が水面に反射、エメラルドグリーンに輝く様を表現しています。山肌のまだらな部分から落ち着かない空模様が感じ取れますが、光の当たった木々は立体的でいいです。それと、湖面が湾曲した逆Cに近いアルファベット構図が奥行き感、流れを出しています。手前にある空の映り込みもアクセントになりました。

【倉澤 利和】「静かな運動公園」(南長野オリンピックスタジアム)
  わが足元の運動公園でなく、たまには南の運動公園も新鮮ですね。長野冬季五輪の開閉会式で沸いたスタジアムの花びら模様の外壁、照明塔を少し入れ、秋色に染まる樹木と大空に流れる秋雲が印象的です。人工と自然がうまく調和した作品となりました。

【高山 三良】「私でも襖絵くらいに」(運動公園)
 足元の運動公園に咲く「ハルシャギク」というオオキンケイギクの仲間の雑草です。もともと観賞用として明治時代に日本に移入した外来種ですが、繁殖力が強く、庭先から逃げだしてあちこちで増えて繁殖するように。見た目にはきれいですが、花は悪いわけでもなく、基本的にはほかの在来の植物を駆逐してしまうところが問題視されています。 そんなことはさておき、きれいに咲く花の群落を上手に切り取って作品にし、野に咲く雑草でも襖絵にしたら・・・という思いが伝わってきます。背景の単純化した緑色、適度に散らばる花々が浮世絵風に表現されています。

<写真は引き算>
   
写真をうまくまとめるコツは「切り取り」、「引き算」です。目の前に360度広がる景色や物体の前で、自分はどこに、何に感動をしたか。それをカメラという道具を使い、写真という作品に仕上げ伝える。そのまま漠と写すと、その中に伝えたいものは含まれますが、見る人に自分の感動を伝えるまでは行きません。雑然とした中から、自分の感動(主題)を見つけ、それをいかに切り取ってまとめるかです。
     切り取りには、以前お話ししたかと思いますが、アングルやフレーミング、効果的なシャッタータイミング、絞り、光の使い方、背景処理、レンズ選択などなどが複合的に同時に行われなければなりません。
    ぼーっとしているわけに行きません。ですから写真をやると脳の活性化を促し、若さを保つ(写真県展審査員細江英公氏)と言われる所以です。
    よく目の前の物を観察、主題を見つけ、切り取る。それが写真です。

【竹内 一郎】「ソフィアとマーヤ」(自宅)
 たかがヒマワリですが、大胆な切り取りとミツバチが見る人の目に飛び込む迫力があります。望遠系でひっぱり、深度も深く花びら、雄しべ雌しべ、主題のミツバチにピントが来ています。童話の世界にちなんだタイトルも作品とうまく合い、作者の表現したいこと、見る人に訴えたいことがダイレクトに出た作品です。

【中島 弘】「寺町の朝」(飯山市) 
     飯山市の仏壇通りでしょうか、雁木造りの歩道が続く店頭の植え込みに紫や白色のキキョウが行く人に安らぎと癒しを演出。対面の家並みが遠近感を演出し、小さいがポツンといる人らしきものがアクセントになり画面を引き締めました。

【早川 球喜】「白糸のような雷滝」(高山村) 
     滝を内側から見ることができ別名「裏見の滝」と呼ばれる滝。その裏側の部分に露出を合わせ、岩盤や歩道の様子がよく分かります。その分、明るい滝の水は調子が飛び、白糸のようになりかえって面白い感じの作品になりました。右の樹木、滝、裏側と縦三分割構図でまとまっています。水の部分に露出を合わせると、暗い部分は真っ暗につぶれ、また、違った感じのものになります。

【広澤 一由】「岩に張り付く観音堂」(小諸市布引観音)
         朱色の柱の観音堂がぴたっと岸壁に張り付きその景観に圧倒されます。「右の空間の向こうに浅間山が・・・」という浅間山は残念ながら天気具合で見えません。浅間山が写りこんだ写真をどこかで見たことがありますが、有名なスポットと言っていいでしょう。「どこかで見た作品だなー」になってしまいますが、まずは、そういう写真に挑戦してみることが大切、第一歩と思います。手前の木々が赤や黄色に染まる紅葉と絡めたらぐんと引き立つと思います。

【吉池 安雄】「涼しい家」(木島平村稲泉寺)
 大胆に蓮の大きな葉を手前に、花は一輪。うまく入道雲を背景に奥行き感も出ました。ローアングルで寺の建物を葉で隠すように撮っていますが、少し下の部分をカット、上の青空を活かしたら空気感がもっと出たと思います。少し中腰になりアングルを上げ、建物をさりげなく入れて、雰囲気を盛り込んだ方がしっくり落ち着くのではと思います。タイトルにある「家」が、もっと見えてきます。

石渡写真クラブ月例会作品(7月)

石渡写真クラブ月例会(7月)の作品と講評
講評はクラブ員増田今雄(5常会)講師です。

【吉池 安雄】「夏の湖」(信濃町野尻湖)
 遊覧船でしょうか、自分の乗った船のスクリューの描く軌跡、そこを横切るモーターボートをタイミングよく捉えました。岸辺から広がる湖のブルーが清涼感を表しています。

【広澤 一由】「楽しい水遊び」(石渡区内)
 
面白い場面に遭遇、すかさずレンズを向けてものにした努力が褒められます。アッと思っても、なかなか一枚の写真に残すことはできません。「そのまま、そのまま」とそーと近づく広澤さんの姿、ドキドキ感が思い浮かびます。しかもスマホとのことですが、グーと近づかないとこれだけのものは撮れないだけになおさらです。ただ、もう少し、水たまりの向こうにある車を入れるともっと臨場感が増したと思います。

【早川 球喜】「紫陽花と六地蔵」(長野市蓮台寺)
 
寺境内に咲き誇るアジサイをワイド系レンズを使い右の株をデフォルメして大きくし遠近感が出ました。左奥に花見客の人物をアクセントに入れたのもよかったですね。ただ、左手前のアスファルト部分の面積がやや多く気になります。できれば、トリミングで下と右をやや削るとアジサイがぐっと生きて見えます(トリミング写真下に)。

【中島 弘】「高原に初夏の訪れ」(妙高高原)
 
妙高山ろくの「いもり池」と思われますが、大胆に水面だけを切り取って作画しました。投影した夏を思わせる雲と青空、そして手前に睡蓮の葉とバランスよくまとめました。水面の水平に対し、睡蓮の右から左下に下がる斜めのラインが流れを創出しています。

【竹内 一郎】「朝陽を浴びて」(自宅)
 自宅庭か畑のホオズキ。タイトルにあるように、左側からの朝日が実や葉に当たり印象的です。写真は言うまでもなく光から成立しています。その光をよく観察して作品の中に生かすことが大切な要素です。光には、順光、逆光、斜光などに大別されますが、特に後者2つをうまく使いこなすことが上達の一歩です。例えば、新緑や紅葉の木々の葉がキラキラと輝いて見えるのは逆光、あるいは半逆光で撮ることです。

【高山 三良】「梅雨の彩」(自宅かいわい)
 梅雨時の代表花アジサイの多様な色に目を付けた着眼点がいいいですね。花はもともときれいなもので、誰がどう撮っても今どきのカメラ、きれいに写ります。それを見て「きれい」と言っているうちは初歩段階といっていいでしょう。そこから一歩脱却するのが写真を学ぶわれわれのしなければいけないこととクラブ員の皆さんは認識してください。例えば、アジサイなら花に着いた梅雨時の雨粒、あるいはひょっこり出てきたカタツムリ、カエルなど。花プラスαです。
 
前置きが長くなりましたが、そういう意味で、単にきれいな花を一枚で見せるのでなく、さまざまな色があることに着目し、複数を組んでまとめた点が、「一歩」前進した作品となりました。

【倉澤 利和】「待っていろよ八ヶ岳」(野辺山高原)
 
大きな望遠鏡が並ぶ近くの山稜からでしょうか、残雪の八ヶ岳、その上にちょうど形、量とも適度な雲、そして青空。実に空気感の漂う作品です。そして、夏から秋、「ぜひ登ってみたい」と意欲をそそる主峰赤岳に語りかけるようなタイトルもユニークですね。公民館長役は多忙で登れるかどうか・・・?無理は禁物ですが、いつか八ヶ岳稜線に立った作品が楽しみです。

【萱津 信子】写真①

写真②
写真③
「よみがえった弥生」(桐原、浅川扇状地遺跡群)
 まあ。よく面白い素材を見つけたもんですね。おひざ元で続いている道路工事現場で、繰り広げられていた古代、弥生時代の土器の発掘作業。そして、何とそこから出てきた土器の展示。例会には2枚出品されました(写真①・②)が、いずれも発掘現場、土器の展示と1枚だけの単写真では物足りなく、「組み写真にしたら」とアドバイスさせていただきました。その2枚をクラブ会員の高山三良さんが写真加工ソフトで2枚を1枚にうまく組んでいただきました(写真③)。
<組み写真>とは
1枚の作品は「1枚写真」もしくは「単写真」と呼びます。これに対し、複数の写真を組み合わせたものを「組み写真」といいます。ここで問題なのは、同じサイズの単写真を単純に複数並べただけでは、組み写真としての基本的な概念が違います。あくまで、一枚の規定サイズの写真(枠)の中に、複数の写真を組み合わせたものが「組み写真」です。
(以前、どこかで触れたと思いますが)あくまで四つ切りや半切、全紙など決められた単写真サイズの中に、複数の写真を組み合わせて表現、伝えたいことを盛り込む手法です。
そして、一枚の中に盛り込む写真の枚数、サイズ、レイアウトなどは自由です。自分の伝えたいテーマに沿って、より効果的な枚数、サイズ、レイアウトなどを決めます。写真以外の台紙の色も作品のうち(写真県展審査員細江英公氏談)です。
何か面倒だと思うかもしれませんが、その通り、面倒で手間暇がかかります。が、それだけに長野県の写真界の歴史では、この「組み写真」における表現が特徴と細江英公氏が絶賛しています。「単写真は単写真ならではの表現、魅力があります。しかし、組み写真は単写真では言い足りない、表現できないものを写真を組み合わせるという手法から可能にし、時には1+1がイコール2ではなく、3にも4にも、あるいはそれ以上の想像できないプラス効果を生み出す」と解説しています。
県展では、組み写真の出品はサイズ「A2サイズのスチレンボード」としています。過去、上位に入った作品の中で記憶にあるのは、自宅庭にエサ台を置いてそこに集まってくるスズメたちのさまざまな表情、しぐさなどを20枚ぐらいのサービスサイズ程度の写真を効果的に張り付けた作品。昨年の推薦は、クワガタやカブトムシが集まる「樹液酒場」。そこに集まるほかの昆虫、チョウやガ、スズメバチなどをアップ、ロング含めて組み合わせた作品でした。
ぜひ、手間暇かけて狙い定めたテーマを組み写真にし、クリエイティブな世界にも挑戦してみましょう。

【笠原 美敬】「孫の成長を祈って」(武井神社)
 右上から左下に人物の姿態を斜めにした構図が流れを創出、その流れを食い止めるように、見る人を引きつけるつぶらな瞳がポイントとなりました。視線を感じてシャッターを切ったジージの孫を思う気持ちが画面からひしひしと感じ取れます。プリント裏、あるいはデータのどこかに「撮影笠原美敬」と必ず入れて保存を。孫末代まで残る、笠原家の家族記録写真。何よりの宝です。

【池田 治雄】「薔薇とバッカリヤ」(自宅)
 バラばっかりと思いましたが、違う花バッカリヤが・・・。さまざまな花が百花繚乱とにぎやかな池田亭の庭の中で、バラとバッカリヤの2種に特化してうまくまとめました。両者のできるだけにぎやかな花の部分を天地の二分割構図でまとめ、安定感とすっきり感が出ました。境目の右に無粋なブロックがちらっと見えるのも、「隠そう」とした作者の意図がそれとなく伝わってきますが、そんなに見苦しくなくかえって自宅庭という情報を少し入れてみたといえばそれまでですね。

石渡写真クラブ月例会作品(6月)

石渡写真クラブ月例会(6月)作品
 
講評は、講師増田今雄(5常会)。5月の月例会(13日)は、クラブ初めての撮影会に飯綱、戸隠高原に行きました。

【池田 治雄】「春の訪れ」(千曲川河川敷)
 「4月末といっても、今年は北信濃の山には雪が多く残っており、朝夕は冷え込む日も何度かありました。5月連休を前にして、自転車で落合橋から村山橋に向かい千曲川堤防を散策しました。木々の芽吹きと同時に、桃の花をはじめ野沢菜、リンゴ、ナシの花がきれいに咲いていました。また、農家では畑の種まきの準備のためか、忙しそうに耕運機、農機具を使って畑を耕す姿を目にしました。写真は、遠くに雪を抱いた北信濃山ろくをバックに、カメラに収めてみました」(本人説明)。
 説明の通り、閉ざされた冬から解放の春の様子に感動した作者の思いが画面いっぱいに表現されています。自転車での撮影行脚、ゆっくりといろいろなものを探しながら、考えることができ写真を撮りながら行くには最適の乗り物です。

【笠原 美敬】「水際に咲く水芭蕉」(戸隠森林植物園)
 飯綱、戸隠方面にでかけた撮影会。牟礼のいいづなリゾートスキー場脇の水芭蕉園では、時期が遅く茂った葉だらけ。白い仏炎苞はくたびれていて見る影もなく残念でしたが、標高を上げた戸隠森林植物園のみどりケ池のほとりには、まだ凛と咲く株がありました。群落ではありませんが、池のほとりでほかの植物の間に咲き目立つミズバショウに「やっと絵になる写真が撮れた」嬉しさが感じ取れます。

【萱津 信子】「和美の桜でBGM」(高山村)
 今年も見事な花を咲かせた和美(なごみ)の桜。青空を背景に、満開の花が映え、花を愛でる音楽が聞こえてきそうな作品です。その周りには、複数のカメラマンもアクセントとしてにぎやかな春の雰囲気を助長しています。

<トリミング>
 
桜の上側と右端の下に入ってしまった腕をトリミングするかどうか迷ったようですが、本人が右をばっさり切ってトリミングしたものが写真②です。すっきりしましたが、右上の空の空きがもったいないといえばもったいなく、主題の桜がやや左寄りになってしまいました。そこで、右端にある樹木や人物を少し入れてトリミングしたのが③です。が、これもカットがやや中途半端で、このぐらいの入れ方なら、むしろカットした②の方がいいです。
 
は、元の画像を私がトリミングしてみましょう。③より、わずかですが人物や林を入れ、下のカットしたい腕ぎりぎりで線引きをしてみました=写真④。どうでしょうか?②のすっきりカットもいいですが、邪魔な腕が消えながらも、人物や樹木がもう少し入り、にぎやかさ、広がり感が出たと思います。
 
撮影した元の画像を、より効果的に仕上げるのが加工。画面の傾き、明暗、コントラスト、色調補正などを調整するわけですが、トリミングはその中でも重要なポイントです。画面の中の主題をどの位置に置くかなどいろいろと変えながら、変化を楽しむのも写真をやる醍醐味の一つです。そして、トリミングで得た感覚を撮影時のフレーミングやアングル選びに役立てることも大切です。

写真②右の邪魔な部分を全部カット。すっきりしました
写真③ 右部分を少し入れてみたカット
写真④ 講師がトリミング。③よりわずかながら右をもう少し入れてみた

【倉澤 利和】「遅かった水芭蕉」(むれ水芭蕉園)
 
撮影会の日程調整がうまくいかず遅めのミズバショウでした。が、事実は事実で、ありのままを素直に作品として出したことは評価したいと思います。写真は、その時、その瞬間、起ったことをそのまま写し取る。まさに真を写すから「写真」で、記録性は写真の大切な要素です。何を伝えたいかを明確にすることが大切で、きれいな花ばかりが多い作品群の中で、写真道の中の進むべき道の一つと思います。臆せず、主張を持った作品に乾杯!

【高山 三良】「鏡池でなくたって」(戸隠高原小鳥ケ池)
 天地真っ二つ、二分割構図で池に映る戸隠連峰を切り取りました。鏡池の方が、猫も杓子も足を運んで撮りまくりますが、負けず劣らず「鏡池とは違った趣があるんだよ」と主張する小鳥ケ池を代弁するかのような作品に仕上がりました。たまたま太陽は時折顔を出す程度でしたが、曇りの色調、渋いしっとり感がいいです。

【竹内 一郎】「さざ波の鏡池」(戸隠)
 こちらは猫も杓子も全国から集まった写真愛好家が撮る鏡池。みんな大同小異、似た写真になってしまいます。まあ、残雪の戸隠連峰と新緑、紅葉とか、自分の撮った写真を「きれいでしょう。鏡池ですよ」と自己満足的な作品を残すことを否定はしません。その点、この作品は手前のえん堤を入れ、水面右にある何だか分からない邪魔者を入れ、自由奔放に作画しています。その意味であまり見たことのない作品となったと思います。

【中島 弘】「ナニコレ」(飯綱高原)
 
撮影会でのひとコマですが、撮影会であろうと、日常の身の回りであろうと何を見つけ、感じ、それにカメラレンズを向けシャッターを切るのが写真を撮るという行為です。つまり、写真撮影の第一歩は、何を見つけるか、主題は何かです。次に、その主題をいかに見る人に伝えるかで、どういうカメラ、レンズを使ったら思うような画像になるかです。さらに、アングルやフレーミング、露出・・・などと進み、ようやくパチリ。この作品は、写真撮影の一番初期の「主題」が明確で、その思いが素直に見る人に伝わってきます。

【早川 球喜】「肩を寄り添う水芭蕉」(戸隠高原)
 
お馴染みのミズバショウで、白い苞に包まれた花は見飽きていると言えばその通りです。図鑑のカット写真は、解説文とともにその様子がよく分かるように撮ることが条件ですが、われわれが目指すところはそうではありません。いかに、自分の感じ、思いなどを盛り込むかが勝負どころです。その意味で、「肩を寄り添う」に込めた幸福感や安ど感など、このミズバショウの小群落を見た時に感じた気持ちが伝わってくる作品です。欲を言えば、一株ぐらいは、苞と花がしっかり見えているとさらにグレードアップ!

【広澤 一由】「森の水車」(白馬村・大出公園)
 
新緑と桜などの花々の彩りの組み合わせが訪れた春を表現しています。雪解け水が回す年期の入った水車がいかにも重々しく存在感たっぷりです。できれば、もっと水量が多いとよかったですが、無いものはないから仕方ないですね。しかし、そういう自分の描いたイメージの写真を追求すべく、それでは水は多くなる事はあるのか、あるとすればいつか、何時かなどなどを聞いたり調べたりし、それに近づけて再撮影するということも一歩進んだ撮影行為です。多い水をスローシャッターでぶらすと動感が出てさらに存在感が増すと思います。

【吉池 安雄】「望郷」(戸隠高原小鳥ケ池)
 画面の周辺がぼけ、独特の雰囲気を醸し出しています。タイトルとともに、何か現実の世界から引き離されたような気配を感じさせてくれます。「ぼけ」は、レンズフードとレンズの焦点距離の不適合、もしくは最近のデジタルカメラ内にある特殊効果を作画するメニューを使うと簡単にできます。天地対称や色変換などいくつかのファンクションがあります。が、現実離れした作品になりますので、多発しては「またか」になりますので注意が必要です。しかし、クリエイティブな一面も合わせ持つのが写真ですので、大いに挑戦してみてください。

 

 

 

 

 

石渡写真クラブ4月月例会作品

石渡写真クラブ4月月例会作品を紹介します。講評は、増田今雄(5常会)講師。

【吉池 安雄】

「朝ぼらけ」(運動公園)
 朝起きは三文の徳。とりわけ、朝夕にさまざまな表情を見せてくれる空。刻一刻と変わるので、忙しい瞬間です。運動公園の空をテーマに撮り続けている吉池さんならではの作品。重なり合う重々しい雲の表情が面白いです。人っ子一人いないと思ってよく見たら、左下にある中央のポール右に小さく1人いました。

【広澤 一由】

「春を待つ松本城」
      烏城とも呼ばれる松本城を植え込みの間から三角構図の中に入れまとめています。安定した画面となりました。タイトルにあるように左右は常緑ですが、真ん中の木が芽吹いてグリーンが入るとまた別の写真になったかと思います。

【早川 球喜】

「さくら咲く」(善光寺)
     善光寺東に咲き始めた枝垂れ桜。まだ早めといった感じですが、うまく本堂を背景に収めました。絞りを開けて、背景をもう少しぼかすと桜の花がもう少し目立ったと思います。

【中島 弘】

「春の知らせ」(松本市四賀)
     春を代表するフクジュソウの花。四賀の群生地は、うたい文句は万単位の株数ですが、行ってみると意外と花が小さく、点在していて絵になりにくいです。加えて、大岡村日方のように背景に残雪の北アルプスなどは見えなくて残念。さらに、天気が悪いと花が開かないなど結構難しい花です。その点、この作品は、一斉に鮮度よく咲いた密度のある群落をうまくまとめたと思います。斜めの斜面、向こうの点景人物や集落をぼかしたところもいいです。

【竹内 一郎】

「孫のおもちゃ」(自宅)
 懐かしいビー玉。面子と並び子どもの遊びの王様は今でも変わらないのでしょうか。色とりどりのビー玉にそっとアンズの花を添え作画した竹内さんの芸術心が読み取れます。ただ、ややアンダー気味なのと、光線具合を工夫し、もっとさまざまな色をカラフルに表現するともっとインパクトある写真になったかと思います。

【高山 三良】

「春待ちわびて」(自宅)
 ラッパスイセンの群生を狙ってみました。少し中央より上ですが3花の一番上の花にピントを合わせ、「日の丸構図」でまとめました。絞りを開けて手前の2枚と背景をもう少しぼかすと主題の一輪がぐっと引き立ってきます。それと、もう少しローアングルでさらに向こうの背景、環境(家並みなど)を盛り込むと遠近感が出てよかったかなと・・・。

【倉澤 利和】

「開花はまだまだ先です」(小布施橋下菜の花公園)
 春の代表的な花「菜の花」。河川敷を利用し、小布施町が公園に整備、春をまちわびた多くの花見客が訪れます。期待して行ったら、まだ花は少しだけ。絵にならずとあきらめずに、作画した倉沢さんのどん欲な心意気が伝わってきます。花がまばらなだけに、橋ばかりが目立ってしまいました。少しアングル(画角)を下げ空の空間を減らし、菜の花がまばらな大地を思い切って入れる(比率を多くする)と、タイトル通りの花がちょぼちょぼの菜の花畑が見る人の目に飛び込んできます。
「あっ!」といい素材を見つけたら、その主題を表現するのに、見る人の目に一目瞭然、分かってもらう写真にするために、どうしたらレベルアップになるか・・・。その一つにアングルがあります。主題に対し、自分の立ち位置を右、左、あるいは高いところ、低い所、はたまた、被写体によってはぐるりと背景を考えながらひと回り。すると、自分のいいなと感じた素材が一番輝く場所があるはずです。あれこれ考えてばかりいてシャッタスピード押さないと作品は生まれませんので、ベストアングルを見つけつつシャッターを押しながら進めてください。後で、パソコンで、撮影カットを見ながら、結果的にはどのアングルが一番か、見応えがするかを検証することもお忘れなく。

【萱津 信子】

「アンズの木と共存。ユリの苗」(千曲市森)
 有名な森のアンズ畑。通常は、果樹畑の中は、草ぼうぼう。時折、春先ともなればタンポポの群落が黄色の風景を演出するぐらい。そんな中、見かけない何かを感じ、すかさず作品に仕立てた感性がいいですね。手前右にあしらった古木も力強いです。農家のおじいさんに「これ何ですか?」。「ユリだよ」。そんな会話が聞こえてきそうな作品。ついでに?ひと休みする姿を点景に入れてアクセントになりました。

【笠原 美敬】

「青空に立ち向かうモクレン」(運動公園)
 真っ青な空に純白のモクレンの花が鮮やかです。構図的に、花の上を頂点に、左下、右下を結ぶ三角、つまり「三角構図」でまとめました。この構図は、作品に安定感を表出します。

【池田 治雄】

「麦畑」(千曲川河川敷)
 殺風景な春先に緑色の麦の列。構図的にはアルファベット構図の「C」構図の「逆C」ですが、流れを感じさせてくれます。このほか、「S」や「Z」などがあります。写真の中に一定の流れ、動きを表現してくれる構図です。

 

石渡写真クラブ3月月例会作品

<五十音順に掲載>講評は石渡写真クラブ:増田今雄講師

*写真をクリックすると大きく鮮明に見れます。

【池田治雄】

「春の千曲川」(村山橋上流)  千曲川の河川内を蛇行する流れをさえぎるようにほじくり返された河床。堤防かさ上げのための採土工事という。重機やダンプカー、車が点在、工事進展中を思わせます。歴史の中の一コマを記録した報道写真です。

【笠原美敬】

「春近し」(石渡区内)
 春一番に花開いたクロッカスの群落。大地からにょきにょきと命の息吹きを感じます。やや上からのアングル、アップでずばりという感じですが、アングルを下げ花の横に位置してローアングルで迫ると、周りの環境が入ってきます。まだ動き始めないほかの植物や樹木などと比較出来て効果が増します。

【倉澤利和】

「のどかな田園風景」(安曇野)
あちこち目ぼしい場所を長年撮影していると、だいたいどの場所か想定できます。これは、安曇野市の大王わさび農場の入り口付近からの光景。有名な場所は、多くの人によりさまざまな写真が撮られていますので、写真を愛好する人はより多くの作品を目にすることが上達の第一歩です。
中高年を主に膨らみ続ける写真愛好家。多くのサークルや団体が発表の場として展示会を開いています。それらの作品を時間、暇の許す限りできるだけ見ること、鑑賞すること。そして、作品の中から①素材②撮影方法(時間帯やレンズ選択)③光の使い方④シャッターチャンス⑤トリミング⑥構図⑦タイトル⑧プリントやサイズ、額装などなどを注意深く見ることです。参考になることは、頭の中に入れる、メモするなどして自分の血となり肉としてください。

【高山三良】

「春風に泳ぐ」(運動公園)
 凧あげを素材に組み写真でまとめました。4枚ですが、上と下、真ん中の2枚それぞれが類似した感じで2枚組でもよかったのではと思います。あるいは、下写真に子どもが小さく写っていますが、子どもの表情ものをアップ気味にして3枚目にするという手もあったかと思います。それか、おじさんの顔を見せたアップ表情も考えられます。

【竹内一郎】

「春がそこに」
 膨らんだ梅のつぼみ、花。背景のぼけ具合と相まって、感じた春が伝わってきます。ただ、ピントが中央のつぼみに来ていますが、前回で説明した被写界深度が浅く、やや物足りないです。つぼみの右上の花までキリリとピントが来るとぐっと締まりグレードアップ。

【中島弘】

「目覚めようか」(飯綱町)
真っ二つに割れた古木。長い間、実を提供しながらも生き続ける生命力を感じさせます。倒木を支えるはぜん棒がたくさんあり、人との関りずっしりと重い年月、歴史を感じさせます。背景の左側の樹木との重なりや青空に向って伸びる枝の配置などうまくまとめました。

【早川球喜】

「春霞(はるかすみ)(大室)
ホワイトリングを中央に春先の霞の中の農村風景を切り取っています。春霞のイメージが感じた通りに表現できています。やや、曇り空の真っ白な空部分が大過ぎるので半分強、カットするとまとまりが出ます。それと、作業が始まったころ、人物の動きを入れてもう一度狙ってみてください。息吹き感がもう少し増すかも。

【広澤一由】

「早春の菊芋収穫祭」(屋島河川敷)
まだ風が冷たい中での菊芋の収穫。掘る人、袋詰めする人・・・と参集した人たちの忙しい作業の雰囲気が伝わってきます。空の部分が大半ですが、横筋の雲が少し弱く残念。この構成でいいですが、少し立ち上がって人々の広がりが出てくると飯縄山までのつながりが遠近法で強調できたと思います。

【吉池安雄】

「春はあけぼの」(運動公園)
運動公園を象徴するケヤキや照明塔をシルエットに、朝焼けの空をテーマに作画しました。テーマ部分の比率を多くした構成はGooです。もっと、茜色が強いとよかったですが・・・。

石渡写真クラブ2月例会写真集

<五十音逆順に掲載>講評は石渡写真クラブ:増田今雄講師
作品の下に、「タイトル」、<撮影場所>、(講評)の順に掲載
*写真をクリックすると大きく鮮明に見れます。

1.吉池 安雄

「眠る高社山」(中野市)
こんもり、おむすびのような山を左下に配置、空の青空と雲を主題に空気感ある作品になりました。冬特有の山頂付近を漂う雲と、手前上の空と雲をバランスよくまとめました。山ろくの家並みが白っぽいのも全体の雰囲気を壊すことなくシンプルな色調でいいです。

2.広沢 一由

「私達のダウン、素敵でしょ!」 (吉田 辰巳池)
スマホ撮影とのことですが、いくら人慣れしているのか、餌欲しさか分かりませんが、最接近し、ワイド系レンズで撮ったようにデフォルメした感じが意表をつきます。さらに、地面に這って撮ったかのようなローアングルも新鮮です。欲を言えば、カモのどれかにアクション(動き)があるとグレードがアップ。

3.早川 球喜

「ゆめ常夜灯」 (善光寺)
オーソドックスな配置は、灯ろうを右か左、つまりわき役に置き善行寺本堂の真ん前に邪魔にならないように並べます。しかし、行燈に囲まれた灯ろうをど真ん中に、本堂を背景にした大胆な配置がユニークです。右の六地蔵、ライトアップされた本堂と夜景の雰囲気も出ました。人が1人もいないのも何か不思議な感じがします。

4.中島 弘

「極寒を楽しむ」 (霊仙寺湖)            夜明け前のワカサギの穴釣り。しらしらと明け行く霊仙寺湖の氷上に並んだ釣り人らのテントがカラフル。黒姫山や妙高山を背景に、照明がともるテントやシルエット状の人の動きが渋い色調で大自然の中で息づいて見えます。早朝の雰囲気を想定し、早起きして作品に仕上げた労作です。早起きは三文の徳。ご苦労様でした。

5.竹内 一郎

「寒い朝」 (自宅庭)
例年になく雪が少なく温かな冬でしたが、朝夕の冷え込みは例年並み。庭先でしょうか、ぐんと冷え込んだ朝にできた霜柱をモチーフに作画しました。手持ち撮影でしょうか?フォーカスは一点にきていますが、やや深度が浅く物足りない気がします。もう少し深度を深く、きりきりとした霜柱の神秘さが出るとよかったですね。運よく、朝日がさーと差し込むとよかったですが、なかなかそうは・・・。

深度とは、カメラの中の絞りの数値を変えることによるピントの合う範囲の度合いをいいます。レンズの明るさはF値(絞り)で表され、そのレンズの1番明るい数値(F1.4とかF2、F3.5)を開放値といい、F4、F5.6、F8と段階があり、1番数値の多い方(F16、F22)が最高絞りです。そして、深度が浅いとは絞りが開放値で、ピントは1点のみでその前後はぼけています。逆に、深度が深いとは絞り値が多い状態のことをいい、ピントの合った1点から前後までほどほどにピントがきます。         簡単に言えば、ピントの合い具合は絞り具合によって変わるということで、手前から向こうまでピントがきりきりと合っている風景写真や、マイクロレンズを使った小さな花や昆虫写真などは、概ね絞りを絞って撮影します。

6.高山 三良

「平和を願って」 (善光寺参道)
 善光寺灯明祭りを組み写真にまとめました。文字が読める一枚を無駄なスペースを省いて横長に上に配し、下には、路上に並ぶ灯ろう(行燈)を見物人とともににぎやかな感じの一コマを置きました。上と下を考え計算した組み写真で、安定した感じを見る人に与えます。

7.倉澤 利和

「恥ずかしい(ひめ・雌)」 (自宅)
一番近くでさまざまな表情を見せてくれるのは何といっても家族です。ぬくぬくと温かな室内で、食べる心配もなくのんびりと毎日を過ごす猫。そんな生き方をしている猫の一端をすかさず捉えたところに「何でも被写体にしよう」、「何か写真になるものはないか」といった作者の写真に対する気構えが感じ取れます。ユーモラスに表現、タイトルとともに倉沢さんらしさが出た作品です。

8.萱津 信子

「光の春」(吉田 辰巳池)
 例年になく雪が少なく、カモの飛来数も少なめ。氷の張り方も今いちで冴えなかった今冬の辰巳池。例年と比較してしまうと、「もっとにぎやかさがほしい」という評になってしまいますが、今年ならではの状況を現した記録写真といえます。

9.笠原 美敬

「閑散とした渋温泉郷」(穂波)
 夜間瀬川でしょうか、川筋を手前に、河川敷公園、温泉街と渋温泉の一角をハイアングルから切り取っています。右上から斜めに左下に下る線が、画面に流れを表出、躍動感を出しています。欲を言えば、右上に山の上のそら空間が少しでも入ると遠近感がさらに出たと思います。

10.池田 治雄

「冬の千曲川」 (屋島橋)
 屋島橋の上からのショットとのことですが、点在する玉砂利の島、冬枯れの草木の茶色、流れる水流の青色・・・と微妙な冬ならではの色調がコントラストをなし印象的です。惜しむらくは、向こうの雪を抱いた山塊がクリアに出るとよかった。   

                 (HP掲載担当:広沢)

 

石渡写真クラブ1月例会写真集

<五十音順に掲載>講評は石渡写真クラブ:増田今雄講師
作品の下に、「タイトル」、<撮影場所>、(講評)の順に掲載
*写真をクリックすると大きく鮮明に見れます。

1.池田 治雄

「北風に乗って」 <長野運動公園>
 凧あげの写真は難しいです。高く揚がれば揚がるほど小さくなるし、凧はいっぱいあるのに空ばっかり・・・。捉えどころがない被写体の一つです。しかし、そら空間に見事、凧を浮かせてそんなに高さはないもののいい瞬間で捉えています。そして、数人いる人物群像ですが、ほとんどの人物の表情が見えない(分からない)瞬間が何とも言い知れぬ面白さというか物語性というか・・・。狙いを定めてもなかなか撮れない一瞬を捉えています。

2.笠原 美敬

「無病息災を祈りどんど焼き」<石渡どんど焼き会場>
 人々の健康と幸せを一心に背負い、真っ赤に燃え盛るクライマックスの瞬間を捉えています。背景の家並みも時代をさりげなく盛り込んだ記録写真です。

3.萱津 信子

「野尻湖冬景色」  <信濃町 斑尾より>
 斑尾登山道からの野尻湖。俯瞰したスケールのある冬の野尻湖が映し出されています。二分割構図で上半分を冬ならではの立ち込めた暗雲で占め、下半分を主題の野尻湖。モノトーンの渋い感じで迫ってきます。

4.倉澤 利和

「あっちっち何とかしてよ」<石渡どんど焼き会場>
 被写体の中でも絞り込んだだるまに自分の思いを込めた作品。一年間、家族や地域、会社などを見守り、最後に燃え尽きてその任を終えるだるま。それにしても「あっちーなー」とは最後の試練?伝統の行事、神妙な中にもユーモラスな断面を盛り込んだ作品。

5.高山 三良

「どんど焼き」  <石渡どんど焼き会場>
 燃える前、燃焼、燃え尽きた後、お餅を焼く区民など5枚でどんど焼きの様子を組みでまとめました。時系列、場面転換を考えた組みでよく分かります。写真と写真の間に何色が適切か分かりませんが、線を入れると印象が少し違ってきたかと思います。さらに、県展並みのA2サイズと大きめの台紙の中に、サイズや線を工夫してレイアウトする組みもあります。奥が深いです。さらなる挑戦を。

6.中島 弘

「先人の知恵」  <新潟県 村上市>
 日本海沿岸の川に遡上するサケの乾燥新巻き。中望遠レンズで周りをぼかし主題を明確に浮き立たせ、さらに独特の光線が注ぎ、静物画のような仕上がり。命を「食」として捧げる何か神妙なものを感じさせてくれる作品。欲を言えば、もう少し下をカットし、その分上を入れる。絞りももう半絞りか1絞り開けると、もっと主題が浮き出て生き生きとしてきたと思います。

7.早川 球喜

「朝日に輝く」 <長野市柳原>
 朝焼けの飯縄山、霊仙寺山が印象的に表現できました。手前の霜が降りた水田やまだ眠りの中の民家はややトーンが沈み、上の朝焼けとともにいい露出バランスで迫ってきます。欲をいえば、左に雪を抱いた戸隠連山がもう少し入ると違った印象になったと思います。

8.広沢 一由

「待ってました・さあ焼こう!」 <石渡どんど焼き会場>
 燃え尽きるまでひたすら待つ。頃合いを見計らって一斉に用意したお餅や繭玉などを火に入れる。顔ばっかり熱い。でも、今年一年健康で幸せに・・・。区民の願いが伝わってくる一枚をローアングルから印象的に捉えました。

9.吉池 安雄

「春暁」 <長野運動公園東>
 運動公園東のホクト産業の所有地を前景に、目に止まった朝焼けの光景をすかさず作品にしました。やや画面が左下がりですが、左下から右上に伸びた茜色の雲がかえって流れを演出しています。

               (HP掲載担当:)広沢