投票管理者と投票立会人

 衆議院選挙で投票管理者を、長野市長選挙で投票立会人を務めました。区長だからということらしい。気乗りのしない私に、市の職員が「管理者の両隣には白バラ会の会員が座ります。女性です」と意味ありげにささやきました。「白バラ?」「女性?」・・・。期待が膨らみます。でも、なにごとも人生と同じで、期待するものではないことを知りました。

 管理者にしても、立会人にしても、初めて経験して分かったことは「NST」。つまり「眠い、寒い、退屈」ということです。椅子に座ってひたすら投票する人を眺めているのが仕事。もちろん投票所の秩序が保たれているか、おかしな行動をするものがいないかなどチェックするのが任務ですが、みなさん整然と投票をしており、そんなケースはほとんどありません。朝7時から午後8時までの13時間、ほとんど座りっぱなしです。終わった後も投票箱を開票所まで運びますので、帰宅は夜の10時前。長かった。そして寒かった。なにもしないって疲れるんです。

 投票する人を見ていると、さまざまな光景が散見されました。「こんにちは」と元気に入ってきた中年の女性。なにを慌てたのか、投票用紙の代わりに入場券を投票箱に入れてしましました。「大変、どうしよう。すみません」と涙ぐみながら大騒ぎです。かと思うと、若い男性。記載台の中でごそごそ5分間もじっと何かをいじっています。不審に思って尋ねるとスマホで候補者の主張を調べているとのこと。そのくらい事前に調べて来いよとは思いましたが口には出さず、選挙公報を取りよせて渡しました。結局ほとんど読まないで投票していきました。

 車いすで投票に来たお年寄りも何人かいました。杖をつきながら苦しそうに歩いて投票に来た方もいました。2人の乳児を抱え汗をかきながら投票したお母さんもいました。それぞれの切実な願いを込めた一票です。今度は政治がそれに応える番です。期待を裏切らないでほしい。投票する人の後姿を見ながら、そんな思いが込み上げてきました。

【石渡区長:水越渉】