感動2題

 信州大学付属特別支援学校の運動会が先月下旬あり、来賓として招かれました。知的障がいのある小学生、中学生、高校生が通う学校で、総勢54人の生徒が参加しての運動会です。みなさん玉入れやダンス、太鼓演奏などに一生懸命取り組み、とてもいい表情を見せてくれました。

 中でも「かけっこ」。いっせいに走り出しました。しかし1人が走り出しません。じっとうつむいています。すると、最初に走り出した生徒が、走ろうとしない生徒のところに戻り、手を差し伸べて一緒に走ろうと、誘うのです。ですが生徒は走ろうとしません。それでもじっと手を差し伸べて待っています。10秒、20秒…。そんな状態が30秒ほど続きました。やがて生徒はにっこり笑い、差し出された手をにぎり、2人はゴールを目指して走り出しました。

 なぜか、胸が熱くなりました。気が付いたら手のひらが痛くなるほどの拍手を送っていました。長い人生を過ごしているうち、錆びついたこころの琴線が、2人の光景でよみがえった感じでした。

 保護者席に、以前勤めていた会社の後輩が夫婦で来ていました。聞けばお子さんがダウン症でこの学校に通っているとのこと。あれこれ話しました。印象的だったのが、夫婦の関係が険悪になると、子どもはひどく不調になる、だからいつも仲良しの関係を保つよう、互いに相手を思いやっているという内容です。「だからあの子のおかげで私たち夫婦はいまでもラブラブなんです」とけっこう真顔で話したのには、あきれたり感心したり。

 実は前日ケンカをしていました。関係修復のため、後輩の話をパクりました。帰ってから妻に「毎日ありがとう」なんて話しました。妻は「あやしい。何か隠し事をしている」との返事。こころに愛のない言葉は通じませんでした(汗)。

【石渡区長:水越渉】