石渡写真クラブ月例会(4月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(4月)作品&講評
 花よチョウよ…と世の中が一斉に動き出し、素材が身の周りはじめ野に山にいっぱいの季節になりました。
 出品作品も、花を中心に寄せられました。(この原稿を書いている現在)コロナによる規制なしの3年目のゴールデンウイーク。善光寺御開帳、諏訪の御柱と街中にも人の動きがあり素材がいっぱいです。コロナの感染対策をしっかりとし、風景ものからちょっと矛先を人ものに変えてみてはいかがでしょうか。
 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【倉澤 利和】

「桜のちり際 たたずむ親子像」(辰巳公園)
コメント:桜の花びらの落下を狙おうかと思って辰巳池まで出かけてみました。小雨のふる中誰もいませんでしたが寂しく立っている親子像を入れてシャッターをおしました。
講評:ご存知、吉田の辰巳公園の中にある銅像。倉澤さんは「寂しい」と感じながらのシャッターですが、防寒着をまとった親子が長い冬を耐え、桜に囲まれ、落下の花を浴びてやっと訪れた春に嬉々としている感じに見えます。銅像の頭の辺に落花がちらほら載っていますが、これがもっとたくさんあると、倉澤さんが感じた春は、もっと強烈に寂しくない形で表現できたかと思います。

【高山 三良】

「ドカーンと春」(自宅=3月29日)
コメント:自宅の水仙ドカーンと真ん中に。
講評:スイセンの花を大胆に切り取りました。やや垂れ下がった花をおそらく地べたに這うようにして(今様のデジカメは、背部の液晶を操作するとその必要がありませんが)超ローアングルで迫らないとこのように写りません。花芯をほぼ真正面に、そして天地左右をほぼ均等に割り振り、さらに軸の中心を画面中央に置いた典型的な「日の丸構図」です。見る人の目をすっとそこに誘導してくれます。深度も浅く、芯にしっかりとフォーカスがきてその他はぼけている点、そら空間を入れた事、背景を暗っぽくしたところも主題を引き立てています。

【竹内 一郎】

「夕陽の朝陽駅」(朝陽駅)
コメント:夕日が線路に反射と電車が長野方面と須坂方面と同時に停車。
講評:一瞬、ど真ん中の柱が何とも…と思いきや、よくよく読み取るとこの柱を境に左右対称なのが分かります。でも、鏡のように写っているのではなく電車は別の車両。夕陽とともにいいタイミング を逃さず収めたところがすごいですね。左奥に2人ほど人物がいますが、この人影がもう少し手前で、後ろ姿だったりするとまさに「たそがれ時」が、もっと強烈な作品になったかと。

【中島 弘】

「春の音」(長野市大岡日方=3月15日
コメント:雪解けを待ちわびた福寿草のワクワクした姿を撮りました。
講評:咲き始めたばかりで葉がまだ伸びてこない、花だけの生き生きとした息吹が感じられます。画面構成も右上から左下へ斜めに配置した“斜め構図”でリズム感が演出できました。そのために、角度を意図的に傾けたのかと?背景左にある樹木の傾きから推察しましたが、よく見るとさらに左にある土蔵の建物はしっかりと水平、垂直で、「わざと傾けたのではない」と納得しました。でも、超ワイド系レンズですと、収差が生じて見た目よりはそっくり返っている可能性もあります。

【早川 球喜】

「杏の里に春」(千曲市森)
コメント:杏は千曲市の花に指定され、森・倉科地区の緩やかな山腹に古木が点在し、訪れたときは春の温かい日差しに花が「乱舞」のように咲いておりました。元禄時代、伊予宇和島藩主の娘・豊姫が故郷をしのぶよすがに、種を持参したのが始まりだそうです。
講評:主題のアンズの花を手前に、やや下り加減で重なりゆく山々、そして集落と遠近感、スケールのある一枚となりました。コメントに温かい日差しとありますが、やや色調が柔らかい、落ち着いた感じがいいです。

【原 芳幸】

「春先の山風景(西岳)」(戸隠宝光社周辺)
コメント:垂直な大樹とワイドな岩壁
講評:戸隠といえば樹齢300年超の奥社参道の杉並木を連想しますが、その代表的な樹木の杉木立とうまく戸隠連峰西岳が引っかかる場所を見つけました。コメント通り、木立の縦線と不連続ながら横に延びる西岳の稜線がT字構図でバランスよく構成、安定感のある作品となりました。スマホ撮影とのことですが、前回までの超横長(縦長)比率から、ほぼ既定の写真サイズの比率になり、プリントの際に極端にカットして写真イメージが変わってしまうことが回避できると思います。

【広澤 一由】

「臥竜の桜」(須坂市臥竜公園)
コメント:待ち遠しかった桜の開花が、一日そこそこで満開近くに咲きほころんだので人手がどっと出た。近所の中学生も桜の回りで楽しく課外授業を楽しんでいた!
講評:奥に向かい、桜の木が手前左、右、左と順に配置していますが、できれば手前左の桜は幹をもう少し入れると安定感が出たかと思います。もう少しズームをルーズ(広く)するとよかったかなと。点景に中学生を入れて雰囲気を盛り上げていますが、中でも手前に小走りにこちらに向かってくる1人の動感が出て効果的です。

【宮澤 一成】

「お待たせ」(自宅=4月7日)
コメント:自宅の梅の木にやっと数輪の花を付けました。去年よりかなり遅い開花です。次は、桜ですね。
講評:前回のフキノトウも自宅でしたが、やや背景が詰まり気味でした。しかし、今回の梅は、背景を選び、ぼかし、主題がぐんと引き立ち空気感も出ました。主題の花の位置は高山さんのスイセンと同じ「日の丸構図」ですが、画面のどこに置くかで違った印象の作品になります。迷ったときは「日の丸構図」が無難ですが、そのほかの方法として「黄金分割点」といって、中央からやや右上、左上、右下、左下(4点)のいずれかに配置すると主題が一層効果的によりよく見えるとされます。この場合は、こちらを向いている花の向きが右向きで、やや下向き加減ですので、左上の分割点が適切かと。長玉なので背景はぼけますが、色とか構築物を排除するなどの配慮が必要です。

【吉池 安雄】

「あんずの花が咲きました」(千曲市森)
講評:早川さんのアンズ作品とは違い、ぐっと手前に枝を配し、向こうに全体、そして少し霞んでいますが飯縄山と遠近感も出ました。この作品もスマホと思いますが、上記原さんの講評でも触れましたが、サイズの比率が超縦長ですね。このHPで見ている分には全く問題ないですが、プリントするとなると規定の写真サイズでは天地が切れてしまいます。最悪、このまま縦長にプリントし、額の中の台紙をそれに合わせて切ってもらうという手法もありますが・・・。設定の中で画面の比率をもう少し四角に近い比率にするとよいでしょう。

【吉田 幹男】

「レンギョウと桜」(長野運動公園テニスコート東の築山)
コメント:今年は、急に夏日の天気が続き春の草花が一気に咲きだしました。運動公園の桜をバックにレンギョウを撮りました。
講評:レンギョウ、桜、芽吹きとうまくバランスを取って作画し、春の息吹を感じさせてくれます。左下に枯れ葉とその右に運動公園の建物の屋根が垣間見えますが、もう少しアングルを下げるかズーミングをルーズ(広く)にし、枯れ葉の木、建物をもう少し入れるとよかったかなと。すると、冒頭の3つに「まだこれからの枯れ葉」が加わりにぎやかさが増したのではと思います。