石渡写真クラブ月例会(4月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(4月)作品&講評
 1月の例会から、新型コロナウイルスの感染回避とともに時間を短縮し実施。4月には第4派の兆しが見え始め、細心の注意を払っての例会となりました。
 今回は、例年になく早い開花となった桜を素材にした作品が多くを占めました。場所、狙い方など、それぞれに違いがあり個性がたっぷりです。
 今回から新たに4常会の吉田幹男さんがお仲間に入り、作品初登場です。よろしくお願いします。

 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【倉沢 利和】

「満開の桜」(小布施橋下)
コメント:この時季、写真撮るなら桜でしょう ! 小布施の桜の名所 平日でしたので花見客2名のみでした。
講評:桜がボリューム感あふれる迫力で迫ってきます。右下あたりに微妙に太陽光線が入ったのも立体感が出ました。点景の人物配置、その向こうに続く桜の並木と遠近感も出ました。

【高山 三良】

「裏見のさくら」(長野運動公園サブトラック)
コメント:3月なのに、桜が満開。広角20㎜で面白い感じに。
講評:見た目はきれいで感動する桜の花ですが、さてどう撮ったら褒められるか?この先が、オリジナルを生む分かれ目ですね。普通に撮れば普通にしか写りませんが、この作品は、思い切って露出をアンダーにしてほぼシルエット状に。さらに左下から対角線に出て弓なりに反る幹。右下から斜めに配した木は左の木を支えるように一体感を成しています。夕暮れ時の沈む太陽をきらりと入れた心配りもいいですね。普通ではないオリジナル作品に仕上がりました。

【竹内 一郎】

「上には何があるだろう?」(雲上殿)
コメント:桜咲くころ、行ってみたかった。
講評:満開の桜の白、お堂の朱、空の青がコントラストを成し、沸き立つような雲が正に「雲上殿」。絵に描いたような作品となり、多くの魂が眠る場所だけにタイトルとともに作者の気持ちが伝わってきます。

【中島 弘】

「春を呼ぶ福寿草」(長野市大岡日方)
コメント:今年も大岡日方の福寿草を撮ってきました。福寿草とアルプスの共演です。
講評: 全部がパッと開き、見事に咲き誇るフクジュソウですね。超ワイドレンズのデフォルメ効果でぐっと主題が大きくなり迫力満点です。背景の残雪の北アとマッチし、冬から解放された春一番の雰囲気が漂っています。ただ、もう少しアングルを高くし、花の向こうの中間部の集落から続く山並みの広がりを見せると山里の広がりが盛り込めたのでは・・・。

【早川 珠喜】

「春爛漫」(長野市村山)
コメント:桜がちょうど満開でした。ここは昨年も撮影した場所ですが、今回は桜の内に入って撮影してみました。(ここは伐採を免れた桜つづみの一部でしょうか?)
講評: 確か前回(か前々回)作品は、お年寄りグループが桜の花の下(画面の左側)で座って花見を楽しみ、花と人物がうまく調和している感じでした(「いしわた通信」→公民館→写真クラブ→月例会作品を検索すると出てきます)。今回の桜は多分同じ老木と思われますが、前回よりは花のボリューム感がたっぷりと出ました。反面、点景人物が小さめで、前回よりは花と人との関係が薄い感じがします。

【広澤 一由】

「可憐に咲く桜」(長野市運動公園)
コメント:珍しく3月末にほぼ満開になった桜!枝にはびっしり花を付け、太い幹にはポツンと可憐に咲いている桜が印象的だった。
講評:高山さんの評でも触れましたが、さて早めに咲いた桜の花を撮りに来たが「どうやって撮るか?」。ありきたりにシャッターを押しては、ただ満開の花が「写っている」だけ。そこで、見つけた。枝に水分や栄養分を送る親分肌の太い幹からちょこんと芽を出し花まで咲いた一輪を。まるで孫、ひ孫のよう・・・。いい所に目を付けました。開花した花は白色で、ややもすると露出の関係で「白飛び」(真っ白に近い状態)してしまいがちですが、周りのトーンの中でひと際存在感ある感じに仕上がりました。背景に満開の樹木全体をぼかして配置したアングルも適切です。

【宮澤 一成】

「秋葉(大権現)さんもビックリ!」(石渡公民館)
コメント:石渡公民館前の桜が3月中に満開になるのは、記録的なことらしい。
講評:祠を取り囲む満開の桜。ローアングルでうまくまとめました。ただ、画面から外れた(写っていない)ところに何か邪魔なものでもあったのでしょうか、できればもう少し枝、花を倍以上入れて、祠をもう少し小さめにすると、主題の桜が強調された作品になったかと思います。秋葉さんには申し訳ないのですが、石の祠が大き過ぎて、こちらが主題、やや固い感じの作品となっている気がします。

【吉池 安雄】

「どっこい生きている」(須坂市臥竜公園)
講評:この場合は、老木が主題ですので、咲いている枝や花、幹の比率はこの位でいいと思います。特に右側の水面に斜めに張り出している幹は、うろになりながらも花を咲かせ倒れずに頑張っているように見え印象的です。この姿に感動しシャッターを押した作者の思いが重なり合うように伝わってきます。向こうにいるボートの点景もグーッ。「頑張れっ‼」。

【吉田 幹男】

「春到来」(長野運動公園)
講評:運動公園内を散策。桜やコブシ、レンギョウなど一斉に咲き始めた花の作品を寄せられました。手前にレンギョウの黄色を配置、左に桜並木、右から斜めに出た桜の木と画面全体をうまくまとめました。欲を言えば、青空の下の方に雲がありますが、もう少し空の真ん中にあるとバランスがよかった(自然現象なので仕方ないですが、画面をそつなくまとめるという意味合いです)ですね。やや画面全体が左下さがりで不安定なのが気になります。

<画面の傾き>
 皆さんの作品を見せていただく時、さまざまな要素を基に講評させていただきますが、その1つに「傾き」があります。人間の目は、見たものを頭脳を通して「平衡」に調整して見てくれます。縦位置で真っすぐなものは真っすぐな垂直に。横位置で平行なものは一直線水平に。ところが、レンズを通したカメラというものには頭脳がありません。所詮機械の塊で、少し傾けるとそのようにしか写し取ってくれません。真っすぐな電柱や建物が傾いたり、水平のはずの湖沼や海の水面が傾いたりしてしまいます。そのまま作品になると、見る人(頭脳を持った人間)に不安定感を与えてしまいます。
 特に、画面の中に電柱、あるいはそれに類するもの、建物などが入る場合は垂直、海、湖沼など水もの、建物でも横一直線のものなどは水平に気を付けてシャッターを押しましょう。三脚を使用する場合は、三脚に水平器が付いているものがありますし、デジカメのカメラ内に水平を表示する機能が付いているものもあり積極的に利用しましょう。また、最終のコマを選び、トリミングする場合も、傾きに細心の注意を払いましょう。万が一、気が付いたらPCソフト内で矯正しておきましょう。
 ただし、あくまで作品(芸術)は自由でクリエイティブな世界でもあります。無理やりに傾けたり、思い切って天地を反転したりしてイメージを膨らませることもありますので、一概に上記のことを必須にする必要はありません。
 が、まずは教科書通り、見る人に安定感を持って鑑賞していただく作品作りをマスターしましょう。(増田)