石渡写真クラブ月例会(2月)作品&講評

石渡写真クラブ月例会(2月)作品
 先月と同様に、新型コロナウイルスの感染回避とともに時間を短縮し実施しました。
 講評はクラブ員で講師の増田今雄さん(5常会)です。
 写真をクリックすると拡大して見えます。

【倉澤 利和】「寒くないよ!」(長野市城山動物園)
コメント:ふと動物を撮りたくなり動物園へ出かけました。動物園といったら猿です。母の愛を感じました。
講評:「写欲を感じたこと」が素晴らしいです。何かないか?何か撮らなきゃ!と脳が働き始め、ふと目指したのは動物園。私も記者駆け出しのころ、先輩から「何もネタがなかったら動物園へ行ってみなさい」。
 前置きはさておいて、寒さの中、懐にわが子を抱き温めている様子に感動した思いがそのまま伝わってきます。前ぼけの雪も寒さを助長し、背景のすっきりした感じも望遠レンズの効果が出て主題を引き立てています。ただし、やや調子がアンダーでせっかくの子猿の表情が分かりづらいのが残念。少し明るくし、無駄な部分を削りトリミングしてみました=写真下。

【高山 三良】
「仲良しⅡ」(自宅)
コメント:メジロ第2弾。ヒヨドリがいなくなると大急ぎで食事、滞在時間2分。ポーズはとってくれません。
講評:ほかの鳥や天敵を気にしながらの食事。たったの2分と見るか、たっぷり2分と考えるかはとにかく、あっち、こっち、カメラ目線、食事とさまざまなシーンを効果的に並べた組み写真となりました。この作品のほかにもう一枚、何種類もの野鳥を見せた組み写真が出品されましたが、これはこれで視点が違い面白いと思います。そのうち、鳥同士がニアミスし、壮絶な闘いのすごいシーンが撮れるかも。粘り強く頑張ってください。

【中島 弘】「霧氷の華」(木島平村)
コメント:24ミリ ワイドレンズを入手したので、霧氷を撮りに快晴日とマイナス気温の日を狙い、撮ってきました。
講評:倉澤さんと同様に、狙いを定めて足を運んだ点に脱帽ですね。甲斐あって、見事な霧氷に出会えましたね。この光景を目の前にし、「写真やってよかったな。写真って面白いな」と感動している中島さんの気持ちが伝わってきます。震撼とした寒さの中、朝の斜光を浴びて青空に輝く霧氷がコントラストを持って迫ってきます。中央の影も単調な雪面にアクセントを醸し出しいい感じですが、手前の中央と右の雪の塊が中途半端に見えます。すっきりと幾筋もの影でまとめるとさらにグレードアップ!

【早川 珠喜】「仁王門の雪景色」(長野市善光寺)
コメント:善光寺仁王門は、1918(大正7)年に再建されました。仁王立像は、巨匠である高村光雲とその弟子の米原雲海の合作による彫刻です。善光寺の仁王像は通常と逆で、右に吽形を左に阿形を置いています。なぜか知りませんが、建物の形式及び位置に関係しているのではないでしょうか。
講評:参道、院坊の庭木に降り積もった雪と雪降りの善光寺仁王門。暗かったのでしょうかストロボ一発。近く、また遠く、雪の粒が大中小の玉になって画面にアクセントを添えました。惜しむらくは、暗くて仁王の姿が見えませんが、小さくても見えると面白かった。

【多灯ライティング】
 原則、この世の中、太陽さんは一つ。被写体にできる影も一つで、写真の世界でも光源は一つが原則です。しかし、暗くてつぶれたり、立体的に見せるなどの目的で、もう一つの太陽(光源を)を意図的に作り出し照射することがあります。場合によっては、3灯、4灯、5灯・・・と複数を使うこともあります。このことを「多灯ライティング」と呼びます。
 そして、この作品の仁王像のように奥行きのある被写体が遠くてストロボなどの光が届かない場合、カメラに接続したコードを伸ばしてもう一発、遠く(仁王像の近く)を照射するという手があります。コードを隠したい向きには、こちらのカメラのシャッターに合わせ、向こうも同調する「スレーブユニット」なる小さな機材を使います。使い方は、例えば遠くの仁王像の前に、スレーブユニットを接続したストロボを配置します。こちらのシャッターとともに光ったストロボ光を感知して光ってくれるという仕組みです。ただし、感知する距離的な限度があるので要注意です。最近のストロボでは、この機能が内蔵式のものもあります。
 このほか、人物のポートレートや塑像などの撮影では、人工的にサイドや後ろ下などから光を複数当て、立体感を創出することもあります。

【広澤 一由】「コロナの終息を願って!」(善光寺・灯明まつり)
コメント:コロナ感染医療従事者への感謝の意を込めたブルーライトアップがとても美しかった山門と灯籠を中心に、バルブ撮影を試みました。
講評:左右に配置した行燈や柱から中央の石灯籠、さらにその向こうに薄いブルーに染まる山門と見る人の視線を主題に誘導、奥行き感が出ました。その間に点在する人物配置のバランスもいいですね。ただ、左側の参道を往来する群衆がいっぱい通行しているように見えますが、長時間露光のためぶれてしまい、残念。バルブの露光中にストロボを一発ボン。すると光が当たった人物だけが浮いて写り、残像のように動いている人はぶれて面白い感じになります。お試しを。

【宮澤 一成】「感謝」(運動公園東の空き地)
コメント:年頭行事である「どんど焼き」が無事できるのも消防団員のご協力があってこそです。これからも、お体に十分留意なさって頑張ってください。ありがとうございました。
講評:赤々と燃え盛るやぐら。対峙させるように消防団員の姿をどんと置き、見守る様子を切り取っています。火と人物を対照的に配置したのは分かりますが、団員の目線が別方向で惜しまれます(顔が熱いので横向いている?)。もっと、火をかき回したり、前後の動きなど「火と闘う?」男の姿をアクションや表情を集中的に狙っても良かったのではと思います。
 感謝は大切ですね。

【吉池 安雄】「春はあけぼの」(長野運動公園)
講評:メタセコイヤとヒマラヤ杉を左右に、中央にテニスコートの照明塔を絡め運動公園の朝焼けの光景を写しました。朝の刻一刻と変わるドラマはいつ見ても感動しますね。ただし、やや画面が左下がりで不安定な感じがします。特に、照明塔は人工物とはいえ直立しているものなので苦になります。いつも撮影時に注意することと、もし加工段階で気が付いたら矯正してみましょう(以下、角度を矯正、照明塔を真っすぐにしたみました)。